知事定例記者会見
- 日時/令和2年4月22日(水) 14:31~15:28
- 場所/記者会見室
- 記者数/25名(テレビカメラ2台)
会見項目
知事からの話題
- 新型コロナウイルスに関する対応について
- 就任1周年に当たって
記者からの質問
- 新型コロナウイルスに関する対応について(1)
- 就任1周年に当たって(1)
- 新型コロナウイルスに関する対応について(2)
- 就任1周年に当たって(2)
- 予算の執行について
- 北海道の将来像について
- 観光施策について
- 新型コロナウイルスに関する対応について(3)
- 情報発信について
- 就任1周年に当たって(3)
- 新型コロナウイルスに関する対応について(4)
- 組織のあり方について
- 道内政財界との関係について
- 道議会との関係について
- 新型コロナウイルスに関する対応について(5)
知事からの話題
新型コロナウイルスに関する対応について
新型コロナウイルスに関する対応について、まずお話をさせていただきます。初めに昨日および本日、道内においてお二人の方がお亡くなりになりました。お亡くなりになりました方々に哀悼の意を表しますとともに、ご遺族の皆さまに心からお悔やみを申し上げます。
一昨日、北海道における緊急事態措置といたしまして、新たに事業者に対する休業要請を行いますとともに、休業要請にご協力いただき、感染リスクの低減に取り組む事業者の皆さまに対しまして支援金の検討を行っている旨、お話をさせていただきました。昨日、北海道のホームページにQ&Aを掲載いたしますとともに、事業者の皆さまからのご質問やお問い合わせなど、さまざまな相談に対応いたします休業要請相談専用ダイヤルを開設したところでございます。昨日、1200件程度の問い合わせをすでにいただいているところでございます。また支援金につきましては、チラシを作成いたしまして、各振興局や各市町村のほか、関係団体を通じまして、事業者にお届けできるように通知させていただいたところでございます。事業者の皆さまには、まずはホームページのほうにQ&Aや、また対象となる事業などが掲載されておりますので、ホームページをまずはご確認いただきまして、さらにその上でご質問等ございましたら、こちら休業要請相談専用ダイヤルのほうにお問い合わせいただきますようお願いいたします。なお、制度の詳細につきましては現在検討中でございますが、当然のことですが新たな情報が皆さまに提供できる段階になりましたら、速やかに随時お知らせさせていただきますとともに、皆さまからのお問い合わせを受けましてQ&Aについても定期的に更新してまいりますので、繰り返しになりますけれども、一度ホームページのほうをご覧いただきたいと思います。
また、緊急事態宣言後、皆さまには不要不急の外出を控えていただくこと、札幌市と他地域との不要不急の行き来を控えていただくようお願いしているところでございます。NTTドコモが公表しております人口変動分析、こちら(モニター)にございますけれども、感染拡大以前というのはいつだということですが、これはドコモのほうで1月18日から2月14日までの平均値として出しているものですが、感染拡大以前との比較で、札幌駅前の人出でございますが、平日(4月)21日火曜日についてはマイナス49.3パーセントでございます。19日日曜日、お願いをして初めての週末でございましたけれども、こちらがマイナス68.8パーセント、約7割ということでありまして、皆さまには週末の外出を控えていただきますようお願いした中で、お願いから実際の週末まで時間がかなり短かったわけですが、日曜日については7割近く、平日については5割弱(の減少)という状況でございますが、外出自粛の効果が出ていると思います。ご協力いただいております道民の皆さまに対して、心から感謝申し上げたいと思います。
しかし、政府が掲げます接触機会の8割削減、こちらにはまだ皆さまにご協力いただく必要がございます。大阪などでは8割、80パーセントを超えるような状況になっているわけでございますけれども、不要不急の外出につきましてはお控えいただきまして、また平日は仕事などでなかなか難しさがあるわけでございますけれども、時差出勤の徹底ということでご協力をお願いしております。この時差出勤の実施やテレワーク、こういったものなども活用いただきまして、ぜひ取り組みを進めていただきたいと思っております。
また、これはテレビなどでも報道されておりますけれども、週末に公園、これは屋外での感染リスクが低いということでランニングですとかそういったことで公園に行かれるという方が多い中で、結果としてそういったところでの「3密」の可能性、三つの密の可能性が出てきてしまっていたり、またスーパーなどで大勢の方が一度に集まるということによって、またこちらも三つの密の可能性が高まるという状況などが、これは全国的に起きているわけでございます。例えばスーパーなどにおきましては、適切な入場制限や行列での人と人との距離の確保、これを皆さまにお願いしております。ソーシャルディスタンシングの取り組み、社会的距離を取りましょうということをお願いしているわけですが、そういった行列での人と人の距離の確保、また必要最小限での来店、ご家族皆さんご一緒にお店に行きたいということは当然あるかと思うのですが、お買い物などで必要最低限の人数で来店をいただくですとか、また混雑していない時間帯でお買い物をしていただくなど、お願い申し上げます。
さらに、これからゴールデンウィークを迎えます。都道府県をまたいで人が移動することを控えていただきますよう、これは強く皆さまにお願い申し上げます。例えば、これはそういった方々だけがということではないのですが、学校などもお休みだということもございまして、大学生など若い方々を中心に帰省されるということ、そしてその際懐かしい友達とお酒を飲みたいということだったり、みんなとお出掛けしたいということなどがあるかと思うのですが、その点については今はぐっとこらえていただきたいと思います。また、家族内感染の事例ということで、これも都市部を中心に非常に顕著になってきているということでございますが、先ほどの帰省の話もございましたが、特にご高齢の方がいらっしゃるご家庭につきましては、ご高齢の方以外の若い方も含めまして体調の管理、こちらを徹底していただきたいと思いますし、感染を広げない、そういう意識をしっかりと持っていただきたい。このことを重ねて皆さまにご協力をお願い申し上げます。
皆さまには、大変ご不便をお掛けするところでございますけれども、感染拡大防止のためにあらためてご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
就任1周年に当たって
2点目でございますけれども、本日は毎回の(新型)コロナ(ウイルス)関係の臨時会見とは違いまして、定例の会見でございます。私も、知事に就任しまして明日でちょうど1年を迎えるところでございます。現在、新型コロナウイルスとの戦いということで、皆さまと共に全力で戦っているところでございますけれども、4年の任期のうちの1年を迎えようとしているわけであります。4分の1が、そういう意味では過ぎようとしているわけであります。
この間、北海道は国内外から憧れの地、そして世界に誇る北海道ということで、知事に就任して本当に多くの方々とお会いして、その魅力を多くの方々と触れ合う中でより強く実感し、そしてその魅力を知事として国内外、世界に発信していく、その思いからさまざまな仕事をさせていただいてまいりました。G20観光大臣会合をはじめ、国内のみならず世界に対して発信する機会にも恵まれました。そして令和の時代になりまして、民族共生象徴空間ウポポイですとか、また日ロ地域・姉妹都市交流年の開会式、また東京オリンピックのマラソン・競歩などの開催ということで予定されていたわけでございますけれども、新型コロナウイルスの全国的な拡大を受けて、それら多くの事業が延期などになっている状況でございます。
われわれは、1月に初めての患者の方が確認されてから、ずっとこの戦いをしているわけですが、本当に多くの方に支えられたと思っています。緊急事態宣言、2月28日に出しましたけれども、その前後を含めまして、今までまさに交流をしてきた国内外の方々から温かい激励の言葉もいただきました。それは世界からもそうですし、わが国で先んじて、感染状況が拡大していましたので、他の地域の方々からも、「北海道頑張れ」ということで多くのお言葉をいただきました。そして何より、道民の皆さんが一丸となって、力を合わせて取り組んだことによって、第1波は何とか回避しつつ、医療提供体制、また検査体制、さまざまな体制を構築する時間を確保することができた。このことがあったわけでございます。
ただ、今、第2波とも言える感染拡大がございました。さらには、特定警戒都道府県にも指定され、緊急事態措置ということで今まさに取り組んでいるところです。「今は、きょりをとって」ということで、北海道ソーシャルディスタンシングの取り組みにありますとおり、人と人との距離を取って接触の機会を低減しようということではありますが、われわれにはそういった国内外の多くの方々との、今まで培ってきたつながりがあり、そして北海道には、変わらず世界の方々、国内の方々が感じる魅力、誇るべきものがある、このことが何も変わったわけではありません。第1波を乗り越えた、このみんなの力を再び呼び起こして、この新型コロナウイルスに打ち勝って、再び多くの方々に北海道の魅力をより一層知っていただく、そういう日が一日も早く訪れるように、この1年という節目に、決意を新たにしているところでございます。
私からは以上です。
記者からの質問
(北海道新聞)
コロナ対策の関係でお伺いいたします。休業要請に伴う支援金の支給を開始する時期についてなのですけれども、昨日秋元札幌市長が会見等で、道と窓口の一本化を目指して5月中にも事業者にその支援金が受け取れるようにというような発言をされていました。道としても同様の認識で対応する考えということでよろしいでしょうか。
(知事)
当然できるだけ早く皆さまに給付できる、そういう状況をつくっていく必要があると思っています。また、今回の休業要請を受けての支援金の話でございますけれども、道として10万円から30万円の範囲内で支給を決定し、そして上乗せする形で札幌市が結果としては一律30万円の支給となるような単独での支援策を発表されました。これは休業要請の趣旨、それを実現するべく札幌市として判断いただけた、このことに大変感謝しておりますし、また先ほど申し上げたようなできるだけ早く皆さまにお届けするという観点から、連携してどのように取り組むのが最も効率的なのかについては、調整させていただきたいと思っております。ただ、作業ボリュームが非常に大きいところがございますので、こういった状況も踏まえて、どういった形で取り進めていくことが最も効率的なのか、連携しながら早急に取りまとめていきたいと思っています。
(北海道新聞)
5月中に受け取れるようにということは、基本的にはそこに目標を定めているという。
(知事)
当然できるだけ早くやりたいと思っています。
(北海道新聞)
併せてコロナ関連ですけれども、道庁として職員の在宅勤務ですとか、休暇を取らせたりということで出勤のほうを5割抑制するという目標を昨日掲げられて、全道的に発出されたと思うのですけれども、政府のほうは7、8割という民間向けではあるのかもしれないですけれども、目標を定められて進めようとしています。道の5割、この理由と実際これを達成するための工夫として、知事として考えられることを教えてください。
(知事)
医療機関もそうですけれども、行政機関もどうしても機能を維持していかなければならない。道庁も新型コロナウイルスの対応で、遅い時間まで仕事をしている状況もございます。総務省が5割という一つの削減目標というのを掲げていますから。今の仕事をしっかり行い、道民の皆さまに安心を提供しながら、5割減らすということは非常に困難ではあるのですが、ただやはり、自分たちの足元でできないことを民間の皆さまにお願いする、これはおかしな話ですから、やはりいま一度、徹底してその目標を掲げて取り組んでいくということで考えています。
(HTB)
新型コロナウイルスの対応と就任1年に関連してちょっとお伺いします。今おっしゃられたように第2波とも言える時の対応をしている最中であると思うのですが、1回目の独自の緊急事態宣言を出した知事の対応を評価する道民の声というのも多く聞かれます。会見でモニターやパネルを使ったりだとか、見え方や見せ方を追求する知事の政治スタイルというのが、道民に訴えかけたというところも大きいと思うのですが、ご自身としてこの1年間貫いてきた政治スタイルというのはどういうふうなものだと分析されますでしょうか。
(知事)
自分自身を客観的に捉えるというのは、非常に難しいことだと思っています。緊急事態宣言を2月28日に出す、また2月25日に小中学校の一斉休校という判断をしましたけれども、なかなか前例がない状況の中で、私自身もその決断に当たって悩まなかったのかと言ったら嘘になりますし、ただやはり道民の命や健康を守るという観点から、あの強力なお願いをしましたが、後から見れば、鈴木は本当にやり過ぎなのではないか、馬鹿だったのではないかと言われて笑われても、それは私が責任を取れば良い話なので、良いと。そうであれば、皆さんの命を守る観点からお願いしようということで判断しました。それが良かったのか悪かったのかも、たぶん1年、2年、3年、5年たたないと分からないと思うので、そこは時間がたって振り返った中で評価されることだと思っています。
私自身、どういうスタイルでやろうということではなくて、どうやれば道民の皆さんに受け止めてもらえるかということを考えた中で、説明などを行ってきたと思っていますので、それはただ道民の皆さんがどう受け止めたかということに尽きるのかなと思いますが、これからもどうやれば皆さんに思いが伝わっていくのかという視点で、取り組んでいきたいと思います。
(HTB)
もう1点聞かせてください。休業要請についてなのですけれども、道の支援金に上積みして札幌市ですとか道内の各市町村で支援金を検討する動きが加速しています。その自治体の財政力によって、事業者に支給される額に格差が出てきかねないと思うのですが、この点についての懸念というのも持たれていたりとかありますでしょうか。
(知事)
今マスコミの皆さんの中でも、休業に対する協力金とか支援金に目が奪われているのですけれども、休業補償、いわゆる休業したことに対する補償については、これは国がやるべきことです。今回は休業要請をしたことに対して協力いただいたことなどに対する政策として行っているわけですから、当然30万円で休業したことに対して補償が釣り合うなんてことはないわけです。ですから、休業などに伴う、そういう補償の問題というのは、本来これは国がやるべきことなのですが、一方でそうは言っても国が動かないわけですから、しょうがないわけです。そこで私は乾いた雑巾を絞りに絞ってと言いましたが、もう本当にそういう中でやるしかないということで、札幌もやってくれているのだと思います。ただ、これは本来であれば全国で差が付いたらおかしいと思うのです。だから、そこはどういった形でやっていくのかというのを、本来は国としてルールを作った上で、例えば国、都道府県、市町村がこれぐらいの負担でこういう協力に対する仕組みを作っていこうというのを構築するのが筋ではないですか。ただそんな文句を言っていても何も変わらないので、もうやるしかないからみんなやっているのだと思います。ただ、そこはぜひマスコミの皆さんにもそういう順序がやっぱりあるので、そこはちょっとご理解いただけたらありがたいなと思っています。
(北海道新聞)
この1年間を振り返ってのお話をさせていただければと思います。この1年間IRや初の本格予算の編成、また最近のコロナ対応など、さまざまな課題に対応してこられたと思います。この1年間を振り返りまして、ご自身の取り組みの中で最も大きなエネルギーを費やした仕事はどんなものだったのでしょうか。また、成果についてお話しください。
(知事)
新型コロナウイルス(感染症への対応)以外のことに一番(エネルギーを)使いましたということはあり得ないですよ。この新型コロナウイルスの対応というのは、本当に誰も予想しなかったわけで、世界的な流行、日本国内でこういう状況というのを分かっていたという人はいないのではないかと思います。だから、そういった意味では今もそうですけれども、目下最大の懸案であり、力を注いでいるところです。評価などについては、これは道民の皆さんが判断されることですので、とにかくもうやるべきことは全てやっていくという考えの下で、コロナの関係だけではなくて、これはやっていかなければいけないと思いますし、そういった政治信条で、これからも仕事をしていきたいと思っています。
(北海道新聞)
これもちょっと総括的で恐縮なのですけれども、知事は選挙の時に157の公約を掲げて当選されたと思います。この中で手をつけられたもの、実現しているもの、そうでないものというのはあると思いますけれども、現在の進捗状況について、どのようにお考えでしょうか。また、これから次の1年、残りの任期3年に向けての課題について、どのようにお考えでしょうか。
(知事)
皆さまに掲げました157の公約については、全て着手はさせていただいております。しかしながら、政策をそれぞれ実行するに当たりましても、今、新型コロナウイルスの問題を早期に解決させていくことが前提となるような取り組みが多くございまして、これは好むも好まざるもこういった問題を早期に解決していかなければ、残り任期の中でも、結果としては公約達成において影響を与えざるを得ないという状況になってしまっているという認識であります。
(北海道新聞)
今おっしゃっていただいたように、予算、また公約などが、新型コロナウイルスの対応でいろいろ影響を受けている状況だと思います。今、もうすでに執行されている予算、それから公約について、これから変更していくおつもりがありますでしょうか。例えば五輪の予算とか海外の観光プロモーションも、予算を組んだ時と現段階では全く意味が変わってきていると思います。また、予算を組んだものを効果的に執行するために組み替えたりする必要もいろいろ出てきているのかなと思います。その辺について今のお考えをお願いします。
(知事)
当然、今のご質問にあるようなことがございますので、この新型コロナウイルス感染症の発生(による影響)を踏まえて、実施の可能性なども含めて十分精査するように全庁に対して指示しております。限られた財源で効果的な事業を推進するに当たって、どのような形で予算執行、管理に当たっていくのかについては、しっかりと検討を進めていきたいと思います。
(北海道新聞)
現段階で予算の組み替えについて、どのような指示をされて、どういった検討状況でしょうか。
(知事)
今申し上げましたけれども、新型コロナウイルス感染症の発生を踏まえて、現時点で影響を受けているもの、例えば予定をしていたけれども、開催をすることができないであろうと判断された事業などもございます。また、今後国と連携して行っていく取り組みなども、国の判断が今後変わってくるかもしれないなどの状況もあるので、そういった現時点での状況と、今後想定される状況、これをそれぞれの部において事業ごとに整理しています。その上で、先ほど言ったような限られた、財政的に厳しい状況の中で、どう執行管理していくかも含めて、今後検討していくということです。
(北海道新聞)
もう一つお願いします。知事は選挙後も含めて、北海道のあり方について、課題解決で全国のトップランナーを走る、そういう自治体にしていきたいという話をされてきました。ただ、道民生活をこれからどのようにしていくか、将来北海道をどのような地域にしていくのかというところについては、具体的なお話がなかなか見えてきていないとわれわれは考えております。知事は北海道の将来像について、今どのようにお考えでしょうか。
(知事)
図らずも、この新型コロナウイルスの状況の中で影響を受け、例えば1次産業においては、今、技能実習生の確保などに困難があるとか、また価格が残念ながら下がってしまっているなどの状況はありますけれども、やはりこれから北海道の食が果たしていく役割というのは、今なかなか外出さえも難しい状況が続く中で、世界のそういった物流などにも影響が出てくる可能性もあるかと思います。そういった意味では、北海道の価値というものがさらに高まっていく可能性も私はあるのではないかなと思いますので、そういった足元にあるすでに強みとされているところも、徹底的に強化していかなければならないと思います。
北海道版Society5.0、これも図らずも北海道版を作ろうということで、新型コロナウイルスの関係がここまで拡大するということを想定していない中で話を進めてきましたけれども、例えば遠隔による事業だとか、これも北海道は広いですから、人口減少の中でそういったものを進めていかなければならないと言っていましたし、また先ほどの農業の話で言っても、無人トラクターの話ですとか、そういった取り組みを進めていかなければならないとされていたものではありますけれども、こういった世界的状況も踏まえて、さらにその必要性がより求められるような状況もございますから、そういった特性をしっかり磨き上げていくことによって、結果として北海道の価値というのをさらに底上げしていく状況というのを、ぜひ作りたいと思っています。これは先ほどご質問にありましたそういった課題の先進地の話で、将来の姿がそういう意味では語られていないのではないかというのですが、それは、私は必ずしも切り離される話ではなくて、課題を巡り乗り越えていくということは、その地域が変化していくということと同じですから、そういった将来像を共有して取り組みを進めていくというのが、私は必要ではないかなと思っています。
(朝日新聞)
1点お伺いしたいのですけれども、今1次産業についてこれから力を入れていく、新たな力点を置く可能性について言及されました。今回のコロナのことでは、観光に相当部分依存することのリスクというものが、かなりあぶり出されたと思います。特にIRはある種「3密」の塊になる可能性もあるわけですよね。今回、コロナがあぶり出したこの状態、今後の観光政策、IRなどについて、どのように進めていくべきだと現時点でお考えなのか、まずその点をお聞かせください。
(知事)
観光振興について言いますと、対象国を増やしていこうと、中国をはじめとするこれまで多くの方が来道されている国や地域のみならず、欧米などの国々にもお越しいただく。来てくださっている方々の国が偏っているという状況を是正していこうと、広くプロモーションをかけていこうということを取り組んでいくこととして方向性を出していたところです。今の状況というのはそもそもインバウンドもそうですし、国内の旅行さえも人と人との接触を避けるために控えようという状況ですから、海外からの旅行者のみならず、国内旅行の全ても今大ダメージを受けているわけです。これは北海道だけの問題ではなくて、観光全体に対して非常に大きな問題であると思います。ですから、今これらの感染リスクの低いものから、結果として順を追って開放していくということに、長い時間軸で見ていくことになるのでしょうが、今お話があったように、観光地においても、その世界的流行状況などを踏まえて、社会的距離を取りながらそういった自然環境を、屋外観光とか、そういう「3密」を避ける中での観光のあり方というのがもしかしたら議論になってくるかもしれませんし、そういった世界的トレンドというのがあるかもしれません。ただ、ここの点について、まずは今の感染状況というのを抑制していかなければ、次の景色というのが見えてこないので、その点というのは今の時点でこういう形が良いのではないかと言うことはできないのではないかなと思っています。
いずれにしても、観光への依存度が高い産業構造などについての課題が確かに明らかになったということは言えると思いますので、国全体の取り組みももちろんさることながら、そういった産業構造上の強みと弱みについては、しっかり状況を冷静に見た上での政策展開というものが必要になってくると思います。
IR(統合型リゾート)の状況についてでございますけれども、これは今回の認定から7年後に行われる区域数の検討ということを見据えた話でありますので、そういった全体の新型コロナウイルスにおける影響というのももちろん重要視しなければなりませんが、そういったことなども踏まえて、計画的に取り組んでいるところでありますので、そういった考えの中で今後も取り組んでいきたいと思っています。
(朝日新聞)
もう1点、関連するといえば関連するのですけれども、できれば回答していただきたい点があります。ニューヨークの州知事が産業ビジネスを再開するために、抗体検査なるものをトランプ大統領とも協力して実施して、健全な形での、科学に証明された形でのビジネスの再開というのを目指しています。日本国内では今のところそういった声は大きくありませんが、全国を引っ張る鈴木知事ですので、その辺り、ご所見があれば教えてください。
(知事)
私は、この抗体検査をやるべきだと思います。検査キットのレベルだとかそういったものは100パーセントではないですから、そこを十分精査する必要がまずあると思います。その上で、100パーセントの疫学的な調査というのはありませんから、ある程度地域だとかそういった範囲をどうするかというのを考えなければいけませんが、一定の基準になるような、疫学調査の一環としての抗体検査というのはやるべきだと思うし、やらないと結局、今の状況を冷静にどう捉えるかの指標が、客観的に乏しい部分があると思います。全ての皆さまに対してPCR検査を実施するということにもならないでしょうし、そうなってくると、一定の人数、抗体検査を行った上で、それだけのメルクマール、基準で判断すると危ないので、患者発生状況だとか、リンクを追えるかだとか、そういう今まで言っていたものと、あとそういった抗体検査という一つの指標を踏まえた中での議論というのは、必要なのではないかと私は思います。ただ、専門家のご助言なども必要なことだと思いますし、その中で議論が行われるべきだと思いますが、今5月6日までの(緊急事態宣言)期間を今後どうしていくのかということを結果として考えなければならないのであれば、それは一つ早めにやるべきではないかと、私個人は思っています。
(日本経済新聞)
知事の情報発信姿勢の考え方について、この1年で振り返ってちょっと教えていただきたいのですが、先ほども道民の方に最後判断してもらえば良い、そのためにいろんなチャンネルを使っていらっしゃると思うのですが、この会見もそうですし、会見に関しても臨時会見を3月、4月と結構な頻度よくやっていただいたと思います。一方で知事、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)もよく活用されて、会見内容の要約であったりとか、リリースのものであったりとかされていると思うのですが、SNSとわれわれ記者会見との違いで、SNSの良い点と思われるところで、双方向性みたいなところがあると思うのですけれど、直接道民の方が、あるいは道民ではない国民のいろんなことに関心のある人からのレスポンスがあると思います。そういったものを受け手として得た場合の、政策への反映であるとか、そういったところに含めたことはどういうふうに知事の中でそしゃくされているというか、生かされているのでしょうか。
(知事)
私はツイッターとフェイスブックをやっていますけれども、ツイッターも夕張市長に就任する前からやっていますから、かれこれ10年ぐらいやっているのだと思うのですけれども、良いところもあれば悪いところもやっぱりあると思うのですね。フェイスブックの場合は、だいたい個人を名乗っていらっしゃるということがあると思うのですが、ツイッターは匿名ということで、良さもあり難しさもあります。情報発信の中で個人が特定されない形で、いわゆるデマとかもそうなのですけれども、ツイッター上で事実かどうかなかなか確認ができない情報が拡散していくことが問題になったりとかもありました。私は北海道の知事としてやっていますので、災害時における対応だとか、今はコロナの問題も不安ですよね。何が正しい情報なのだろうとか、いろんなところでいろんな情報を言っているので、私としては、認証アカウントになっているチャンネルで発信している内容については、正確なものをとにかくお伝えするツールとしてやっています。そこでは、さまざまコメントや意見なども寄せていただくこともあるのですけれども、それはこういった記者会見もそうですし、いろんな場面で道民の方々から寄せられる声も踏まえて、政策実行の参考にさせていただいています。
(時事通信)
先ほどの予算、公約見直しの絡みなのですけれども、確か北海道、知事も継承されていると思いますが、三つの代表的な数値目標があったと思うのですけれども、2023年までに道産食品(の輸出額)が1500億円。あとインバウンドが500万人、あとウポポイの年間(来場者)100万人。これは何か、もうどう見ても難しそうな気がするのですが、撤回されるのですか。
(知事)
確かに目標として掲げさせていただいている部分で考えれば、今海外からの(航空)便がゼロになっていますから、インバウンドの目標というのも達成が非常に難しい状況かと思います。また、ウポポイ(民族共生象徴空間)についても、オープンがそもそも延期になっていますし、その延期したオープン日についても、今後の感染状況によってはどうなるか分からないということがございます。また、輸出についても、先ほど少し質問の中で触れましたけれども、(農産物の)価格が残念ながら下落している状況もございますし、お店などの営業がそもそもなされていない状況がございますので、今三つのお話がありましたけれども、このそれぞれの数値目標の達成というのは、極めて難しい状況に置かれていると認識しています。
(時事通信)
ということは、時間をおいて、新しい目標に切り替えられるというふうな受け止めでよろしいのでしょうか。
(知事)
この(新型)コロナ(ウイルス)の状況がどういう状況になっていくのかというのが、正直完全に見通せない部分がございますので、そういった状況をしっかり冷静に分析しながら、考えていくことになろうかなと思います。
(時事通信)
ちょっと話が変わりますけれども、先ほど、「どんなふうに鈴木が馬鹿だと笑われても私が責任を取る」と。前、一斉休校の時の会見でも、政治は結果責任だと、最後は私が責任を取るのだとおっしゃったと思うのですけれども、ここで言われている「責任」というのは、いわゆるその出処進退、進退の取り方ということでよろしいのでしょうか。
(知事)
責任というのは、私は(夕張)市長の時も知事の時もそうですけれども、やはり組織のトップとして、後ろを振り返ったら誰もいない中で判断していかなければなりません。出処進退というのは、政治家として自らが判断するに当たっては、最も分かりやすく重要な話だと思いますけれども、私自身の評価、また私に投げかけられる、そういった判断に対する言葉、そういったことも含めて、全て私自身が受け止めなければなりません。辞めれば全て解決するのかといったら、そういうことではありません。例えば、8年間私は市長をやりましたけれども、夕張市長として8年間やった仕事というのは、私が死ぬまでそれを背負っていく話ですから、それは20年、30年たった時も、あなたあの時市長で、とんでもない判断をしたねと言われることも、やっぱり背負っていかなければいけないわけです。辞めれば何か解決するわけでは当然ないので、生きている限り、そういう責任を背負っていくという意味で、お話しさせていただいています。
(時事通信)
そういう出処進退ということではないわけですね。もっと広い意味でという。
(知事)
そんな簡単な話ではないですよ。
(時事通信)
最近、国会議員でも、責任取る、責任取ると言って、全く責任取らない人が多いもので、それで伺ってみただけなのですけれども。そういう広い意味の責任ということですね。
(知事)
そうですね。私に対して辞めろという声もあるのかもしれませんけれども、私としては、(新型)コロナ(ウイルス)の対応で仕事をさせていただきたいと思っています。
(北海道新聞)
新型コロナ(ウイルス)の話に戻るのですけれども、休業要請の強化についてお聞きします。西村(新型コロナ対策担当)大臣が昨日、休業要請に応じないパチンコ店などに対して、特措法(新型インフルエンザ等対策特別措置法)第45条に基づく、より強い措置について検討しているということを明らかにされました。強い措置というのは、休業の要請だけではなくて、指示することができて、名前とかも、店名とかも公表することができますけれども、道内でもこういった事例というのが出てきた場合、そういった同様の対応をしていくのかどうかというのを聞かせてください。
(知事)
休業要請に当たりまして、関係する皆さまに対し、通知させていただく中で、そういった公表もあり得るということを明文化させていただきました。そういったことはしたくないですし、そうあるべきではないと思いますけれども、他の先進的に取り組んできた地域の状況を見ますと、なかなか要請にお応えいただけない状況もあるやにお伺いしていますので、そういった状況も考えざるを得ないのかなとは思います。
(北海道新聞)
少なくとも現時点では、今はまだそういった状況ではないということでしょうか。
(知事)
私としては、直ちに休業要請に応じていただきたいとは思っているのですが、例えば先ほどの支援金の関係なども、遅くとも25日までに(休業を)お願いしたいということでお話をさせていただいていますので、そういった意味では、さまざまな準備などを踏まえて25日に休業するというところもあるのかなとも思いますし、状況などを踏まえて、いきなり公表するのではなくて、基本的にはお願いをさらにさせていただくだとか、そういうことを行った上で、それでも、何度もお願いしても応じていただけないとか、そういうことも踏まえた上で行うべきだとは思います。いきなり何もなくやるという形にはならないのではないかなとは思います。
(北海道新聞)
知事の1周年のことで追加でちょっとお聞きしたいのですけれども、この1年ちょっとを振り返りますと、公約以外の部分の政策が道庁の大きな課題として示されてきたのではないかなと思います。例えば五輪の札幌開催分であったり、新型コロナの対応、また道議会の喫煙所問題など、知事の公約以外のさまざまな話も道民の注目を集めてきました。そんな中で、道庁組織のあり方をこれからどう考えていくかということについて伺いたいのですけれども、こういう公約や決まった政策以外のものに柔軟に対応していくために、知事もその横串的な対応が必要だ、部局ごとだけではなくて広く対応していく必要があるというようにおっしゃっていましたけれども、道庁は依然として部ごとの対応が伝統的に続いていると思います。こういう組織の改革について、今考えていることはございますでしょうか。
(知事)
(この4月から)グループ制を見直しまして、そういう意味では責任の所在を明らかにした形でスタートいたしましたが、大きな組織ですから、ある意味縦の系列で仕事をしていくというのは、どうしても組織上のメリットとデメリットが共存するような話だと思います。ですから例えばPT方式、プロジェクトチームでそういう仕事を進めていくとか、例えばオリンピックの話とかも出てきた中で、急ごしらえでまずは第1陣の対応をする組織作りをしていくだとか、そういう対応をしています。また今回の新型コロナもそうですが、いろんなところから集まって対応をやっています。だからそういった意味では、柔軟に対応していくことは、通常の状況で仕事をしているところからいかに頭を切り替えて、みんなでこれをやるぞといったときにバーッとみんなで力を出せるかということだと思うのですけれども、今、道職員、私が言うのもあれですけれども本当に頑張ってくれています。ですから、そういった頑張ってくれているみんながよりしっかり生き生き働ける環境というのをつくっていくことが、結果としてその時々で起きてくる問題をいち早く解決していくことにもつながっていくと思うので、こういった枠組みを新しく作ったから、では解決しますという問題でもないと思います。長い時間そういう同じような議論がされていますので、そういう意味では。
(北海道新聞)
もう1点なのですけれども、知事は新型コロナの対応などを見ても、官邸とか中央省庁との情報のやりとりやタイミングを見計らった判断などをされていると思います。一方で、道内政財界との関係構築というものには、当初から課題が指摘されてきました。今回のコロナ対応でも、道内の経済界や市町村からタイミングについて疑問の声があったりしています。今後、道内政財界との関係をどのように築いていきたいと思っていらっしゃるでしょうか。
(知事)
北海道新聞が聞かれている中で、そういう声があるということを謙虚に受け止めて、より皆さんと連携していくということしかないのではないかと思います。
(北海道新聞)
最後にしたいと思いますけれども、道議会との関係について伺います。前知事と比べるというのもちょっと失礼な話かもしれませんが、知事と道議会の関係、与党自民党内の対立が今もしこりとして残る中で、さまざまな根回しの仕方なども含めて変化があって、新たな関係を構築しているのではないかなと私たちは受け止めています。議会と知事はどのような関係を作っていきたいというふうに今考えていらっしゃいますでしょうか。
また、今、知事会見を拝見していますと、職員の方々が作られた要点などを見ず、われわれと対話していただけるようになっているのかなと思います。
(知事)
見ています、ちゃんと。
(北海道新聞)
そういった様子を拝見しますと、議会でも答弁調整なしでも対話ができる、できると言ったら失礼ですけれども、そういった姿がもう少し増えることもあるのかなと思うのですけれども、議会との関係、それから議会でも答弁調整に近い調整のあり方について、今、考えていることをお願いします。
(知事)
議会は私が言うまでもない話ですが、道民の皆さまの代表として、二元代表制で車の両輪ですから、議会の皆さんと真摯(しんし)に議論を積み重ねて、北海道にとって何が必要なのかという答えを出していく、このことに変わりはないわけですから、そこをしっかり積み重ねていくということに尽きるのだろうと思います。答弁調整といいますか、議会での答弁のあり方については、その要旨を確認する中で議会答弁をしていこうという形に改めたところでありますので、議会側の全ての会派の皆さんとそういった形で議会のやりとりを進めていこうという状況でございますので、そういった中でしっかり建設的な議論が行われるように、われわれ理事者としても努めていきたいと思います。
(時事通信)
366日間お疲れさまでした。人類、誰も答えはきっと持ち合わせていないのだろうと思うのですが、コロナの問題解決とか、コロナの早期終息という言葉が度々あると思うのですが、何がどうなれば解決、終息と言えるのか、難しいことだと思うのですけれども、知事のお考えのところがあれば率直に伺いたいなと思っています。
(知事)
やはり新型コロナウイルスがある意味ではしっかりコントロール下に置かれることだと思います。そういった意味では、適切な医療の提供によりお亡くなりになるような方を出さないことや、重症化する前に回復されるワクチンや治療方法なども含め確立されて、コントロール下に置くことができる状況をつくり上げていくことだと思います。そこにはやはり一定の時間がかかるという状況があるのだと思いますので、その間しっかりと対応していくことが今求められていることだと思います。
(時事通信)
コロナを気にせず生活することもこれから難しくなるかもしれないですけれども、消費行動をしにくい現状も今あると思うのですね。この先こういう状況が続くのは本当に過酷なことだと思いますし、経済は木っ端みじんになるのではないかと、やっぱり不安も、一抹の不安と言うのですかね、あると思うのですけれども、何というか感染予防を前提にした社会経済活動の両立ということを知事はおっしゃっていると思うのですけれども、何かそういう方向にまちづくりの考え方も少し転換していかなくてはいけない時期に来ているのかなと、何となくそう思うのですけれど、知事そこら辺はどういうふうに率直に考えていますか。
(知事)
私もそう思っていまして、だからこそ世界共通の言葉でもあるソーシャルディスタンシング、ソーシャルディスタンスを道民運動として、社会的距離を取る、事業者だけではなくて消費者もそうですし、そういったものを北海道全体で生活の一部として取り入れることが、ある意味では感染予防対策と共に社会経済活動を一定の中で、維持していくことにつながっていくと。結局三つの密を避けるですとか、いろんな感染リスクを下げる取り組みを多くの方が取り組める状況をいかにしてまち全体でつくっていくかということだと思うので、そこはやはりそういった距離を取るだとか、皆さんにはそれぞれの立場の中で考えていただくことが、最も強い力としてまち全体が発揮できることになるのだと思います。ですので、あえて緊急事態措置の中に1項目として入れたのですね。ですから、道民の皆さんが1月下旬に新しい感染者を確認してから長い期間、意識を持って行動してきてくれたからこそ、それがまち全体でつくり上げることができるのではないかと思いますので、ぜひそういった取り組みを進めていくことが、非常に遠回りなようで近道なのではないかと思っています。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責:広報広聴課)