知事定例記者会見
- 日時/令和5年1月27日(金)15:31~16:16
- 場所/記者会見室
- 記者数/16名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
- 新型コロナウイルス感染症対策について
記者からの質問
- 新型コロナウイルス感染症対策について(1)
- 新型コロナウイルス感染症対策について(2)
- 新型コロナウイルス感染症対策について(3)
- 新型コロナウイルス感染症対策について(4)
- 泊発電所の再稼働について
- 高レベル放射性廃棄物の最終処分について
- 苫小牧エリアにおけるCCUS実施に向けた共同検討開始について
- 障害者支援施設等の実態調査について
- 札幌聾学校の児童による訴訟提起について
- 道州制特区について
知事からの話題
新型コロナウイルス感染症対策について
私から一点お話しさせていただきます。
新型コロナウイルス感染症対策についてです。道内の感染状況ですけれども、本日の新規感染者数は1367人であります。人口10万人当たりでは211人と減少傾向が続いています。先週との比較では30.6パーセント減少となっています。現在の状況は、昨年の夏以降で最も低い水準になりました。また、北海道は昨日現在で、23日連続で全国で最も低い感染状況となっています。病床使用率についても28.4パーセントとなっています。減少傾向が続いています。こちらも一昨日現在ですけれども、全国で43番目の低い病床使用率になっています。また、重症病床使用率は4.8パーセントと横ばいで推移しています。こちらは一昨日現在で全国で35番目、こちらも低い水準になっています。
インフルエンザの感染状況でありますけれども、引き続き全道で報告数が徐々に増えてきています。五つの保健所管内で注意報が発令されています。詳細については道のホームページでご確認いただければと思います。新型コロナの感染状況は減少傾向が続いています。インフルも急拡大している状況にはないわけでありますが、道民の皆さまには、引き続き基本的な感染防止行動の徹底について取り組んでいただきたいと思います。特にこれから冬のイベントの開催が本格化いたします。接触の機会が増える場面では、より一層徹底することをお願いいたします。また、日ごろからの備えも重要になります。解熱剤や検査キットを用意するなど、セルフケアや自己検査の準備をお願いいたします。
オミクロン株対応ワクチンの速やかな接種、そしてインフルエンザワクチンの接種についてもご検討をお願いいたします。オミクロン株対応ワクチンの接種率でありますけれども、全体といたしましては44.2パーセントとなっていまして、全国は40.8パーセントでありますので、全国を上回っています。65歳以上で見ますと、68.1パーセントと若干全国よりも低い状況になっています。オミクロン株対応ワクチンについては、寒さの厳しい時期と重なっておりますが、接種できる時期を迎えている方につきましては、早期の接種の検討についてぜひお願いいたします。道のワクチン接種センターですけれども、オミクロン株対応ワクチン、ノババックスワクチンの接種を行わせていただいておりますが、現在、全ての日程で予約することが可能な状況にあります。接種を希望される方は、道のホームページでご確認の上、ご予約いただければと思います。
新型コロナウイルス(感染症)の感染症法上の位置づけの見直しについてです。本日午前中に国の厚生科学審議会感染症部会、午後からは新型コロナ対策分科会と基本的対処方針分科会が開催されています。そして本日、この後になりますが、政府対策本部が開催され、5月8日から新型コロナを5類感染症に位置づけること、医療提供体制などは段階的に移行を行うこととし、具体案を早期に示すといった国の方針が正式に決定される見通しとなっております。コロナ対策は大きな節目を迎えることになります。
明日、1月28日、道内初の感染確認から丸3年になります。私たちがこれまで3年間という長きにわたって行ってまいりました感染症への対応は、医療のみならず、社会経済活動を含めたものとなっています。今回の見直しは幅広く影響を及ぼすこととなります。先週も申し上げましたけれども、例えば医療、療養はどうするのか、公費負担は国費による対応を行っていくのか、また、マスク着用の見直しはどのように幅広い理解を得て進めていくのか、さまざまなことがまだ明確に示されてはいない状況にあります。こうした中で全国知事会においては、全都道府県によるワーキングチームを設置いたしました。見直しに向けて、実態の把握と課題整理を行い、国と協議することとなりました。道といたしましても、近く対策本部を開催し、道としての対応について議論を行い、全国知事会とも連携しながら、明確な方針が早期に示されるように働き掛けを行ってまいります。
5類への見直しなど、新型コロナウイルス感染症を取り巻く状況が大きく変化しているわけでありますが、冬のイベントなどを安心して楽しんでいただくためにも、道民の皆さまには、引き続き基本的な感染対策の徹底について、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
私からは以上です。
記者からの質問
(北海道新聞)
今のコロナの関係で二点お伺いしたいと思います。まず一点目、先ほど知事のお話の中でも道内でコロナが確認されてから明日で丸3年になるというところで、この3年間、道民にとって大変厳しい3年間でしたが、知事としてこの3年間、どのようなものだったと振り返るのか。まずそれを一点教えていただきたいのと、先ほどのご説明でもあった5類への引き下げに関連して、5月8日という具体的な日程が出てきた中で、今後円滑に体制の移行というのができるのか、知事としてどのようにお考えでしょうか。
(知事)
まずは(令和2年)1月28日に北海道初の感染確認、それからの長きにわたりますコロナへの対応に、道民の皆さま、事業者の方々、多くの方々にご理解、ご協力いただき、これまで対策を講じてまいりました。
北海道は3年前、全国に先行して感染が拡大しました。知見も情報もない、前例もない、そういう中で、今は検査を必要とする方が検査を受けることができる、また入院が必要な方に適切に医療を提供するなど、医療提供体制についても整ってきているわけですが、当時は十分に整っていない状況の下で、道民の皆さまの命と健康を守ることを第一に対策を講じていく、また医療崩壊といった事態を避けるということから、独自の緊急事態宣言をはじめとして、さまざまな判断を繰り返してきました。
その後、特措法(新型インフルエンザ等対策特別措置法)も改正されまして、全国を対象とした緊急事態宣言をはじめとして、道民の皆さまと取り組んできたそういった対応について、結果として全国で同じような対策が講じられるということにもなりました。
この間、オミクロン株をはじめとして、新たな変異株が確認されて、道内の新規感染者数も、今は全国で最も低い感染状況にありますけれども、増減を繰り返してきました。その時々、専門家の皆さま、市町村の皆さんから、さまざまな知見、またはさまざまな指摘などもいただきながら、感染対策を講じてきました。保健医療提供体制の充実とワクチン接種の促進などに、皆さんと共に取り組んできたところであります。
その中でも昨年は、新型コロナに関するさまざまな対応が大きく変わった1年になりました。国は新たな行動制限を行わないという方針を示した中で、道としてもそうした考え方を踏まえた対応を行ってきました。また、全数届出の見直しは、私も全数把握の必要性について、全国知事会の場でも問題提起をしてきました。その中で、この見直し(があり)、また新たな療養支援の取り組みといったものにも向き合ってきました。
今は全国の中でも低い水準にありますけれども、この感染対策へ長きにわたってご理解、ご協力いただいた道民の皆さま、そしてご来道いただく際にご協力、ご理解いただいた皆さま、事業者の方々、そして今もそうですけれども、最前線でご対応いただいている医療従事者の方々をはじめとする皆さまに、心から感謝を申し上げたいと思います。
そしてこの3年の時を経て、5類への見直しということであります。本日にも国の方針が正式決定になるということでありますけれども、大きな節目だと思っています。感染症を取り巻く状況が大きく変化しているわけでありますけれども、コロナがなくなるわけではないのですね。ですので、感染防止と社会経済活動を両立していくこと、そしてコロナを乗り越えていくこと、この目標に向けて、みんなで協力して取り組んでいくことには変わりがないと思っています。
そして、2類相当から5類へという話はあるのですけれども、例えば、医療、療養をどうするのかという話ですとか、今、国会でも議論されていますけれども、公費負担、国費による対応や、今日も国会で質疑があったマスクの着用の見直しについてですとか、これまで道民の皆さま、広く国民の皆さまにさまざまご理解、ご協力いただいてきた対応がどう変更されていくのかについては、まだ明確に示されていないという状況の中で、法律上の見直しの方針が示される形になります。やはり私は、これまでさまざまな皆さまに理解をいただいて、ご協力をいただいてきたコロナ対策ですので、大きく方針を変える際も、国会での議論はもちろんなのですけれども、しっかり丁寧に説明していただきながら、対応してきたのは市町村や都道府県、日々、患者の皆さま、陽性になられた方々と向き合ってきた医療機関や地域の現場の皆さんですので、何か国会で患者さんの対応をしているわけではないと私は思っていますので、そういった皆さんの声を聞いていただいて、みんなが理解と共感の下で進めていける体制を作っていく必要があると思っています。
ワーキングチームを(全国)知事会に設置いたしましたので、国の方針が出る前に、やはり皆さんの声をしっかり吸い上げて、知事会の中でもみんなで問題提起をして、議論して、国の方針が出る前に、やはりしっかり知事会として、今まで対応の最前線に立ってきた都道府県知事、また市町村の首長の皆さま、関係する方々の声を政府に届けた上で、対応していきたいと思っています。いずれにしても、やはり明確な方針が早期に示されることが重要ではないかと思っています。
(NHK)
今、知事もおっしゃっていたのですけれども、これまで権限が都道府県だったりに付与されて、2類相当というものの中で対策を講じてこられたと思うのですけれども、それが今後、都道府県の対策がどう変わっていくか、まだ内容は明らかにはなっていないというところなのですけれども、大きく権限が変わっていくというところがあると思います。そういった中で、今後の対策で難しい課題になる面だったりとか、どういうふうに進めていきたいなどありますでしょうか。
(知事)
今は、感染症法上は2類相当となっています。その中で、各都道府県に対策本部が設置されて、政府が示す基本的対処方針の変更を繰り返しながら、全国の都道府県も、基本的にはその対処方針に基づいて、さまざまな対策を講じてきました。
法的位置づけが見直しになるということであれば、基本的には対策本部の設置はもうなくなっていくということになるのだと思いますが、市町村においても本部を設置していただきながら、ネットワークを形成して対応に取り組んで来ましたので、やはり移行フェーズにおいては、そういったものを継続していく必要性の議論(が必要)であったり。また変異株ですよね。この監視体制は継続した中で、今とまた違った、より感染力の高い、症状も異なる、そういう(変異株が流行する)状況が出たときには、直ちにまた対応を強化していくなどの迅速性も求められると思うのですね。ですから、そういった点で、やはり移行フェーズというのはどうしても非常に大きく体制を変えていくことになりますので、経過措置なども設けながら、とにかくできるだけ皆さんが安心して移行していけるように、また、事態が変わったときに迅速に対応できるように、こういった考え方の下で、国としても枠組みを検討していただきたいと思いますし、私としてもそういった問題認識を持ちながら、道民の皆さまへの対応に当たっていければと思っています。
(NHK)
加えてですね、今後、道として(移行の)実態がどう変わるのかというのは、実態の把握だったりとかを進めていかれるということだったのですけれども、今現在でどういうふうに把握していくだとか、どこに確認していくみたいなもので決まっていることはありますでしょうか。
(知事)
何をですか。
(NHK)
現場の中で例えば、この日に(移行に関する)説明会が設けられているなどの具体的な予定みたいなのは今ありますか。
(知事)
まずは今日、2類相当から5類へということについても、この後正式に決定された後に、基本的には毎回そうなのですけれども、基本的対処方針の見直しですとか、さまざま通知文書などが来ますので、そこをしっかり確認した上で、まずは今の情報を、対策に当たっていただいている市町村も含めて、みんなと共有したいと思っています。その中でやはり、さまざま課題が見えてくると思っています。
まず一つは、その(移行に関する)方針を明確にしてください。要は、先ほど言ったような医療だとか療養だとか、マスクはどうするのですかとか、いろいろなところがまだ決まっていない中で、2類相当から5類へというところをまずは決めるという形なので、そこ(方針)はできるだけ早く、早期に明らかにしていただくと。明らかにしていただいて、それで終わりかというとそうではなくて、その中で必要な対応が出てきます。その部分を課題として整理して、国に届けていくと。今も対策本部を置いていますけれども、専門家の方だとか市町村や関係の方と、さまざまディスカッションしながら対策も講じてきましたので、そういった枠組みなども活用しながら、しっかり問題点、またこういった対応が必要ではないかということも議論していきたいと思っています。
(時事通信)
5類移行に関して、マスクの着用についてお伺いします。政府の方針としては個人の判断に委ねる方針ということですが、これに関して、知事としてマスクの着用について何かお考えのことがあれば教えてください。
(知事)
マスクの着用について、今、例えば屋外で人との距離が十分に取れる状況の中でも、マスクを着用するケースなども見られます。まずメリハリを徹底していくことが、基本的には重要なのではないかと思っています。また、大声で発声を伴う中で、また、多くの方々が密集する中で、マスクを外して接触機会が増える状況では、どうしても感染の状況が高くなり、そういう環境に置くとリスクが非常に高いということは、これまで議論されてきました。例えばそういった場面では引き続き、心配な部分はマスクをしていくとか、また、高齢者の方だとか、感染することでよりリスクが高い方については、そういったこと(マスクの着用)を行っていただくだとか、再度の整理をしながら、メリハリを持った中で対応を進めていく。完全な自主判断というよりは、ある程度の考え方を示しながら、皆さんも納得と共感の中で移行していくというのがいいのかなと思っています。
(時事通信)
知事ご自身は今、会見もアクリル板とマスクとでやられていますけれども、今後、実際に判断を委ねるということになりますか。
(知事)
私も、この会見場でマスクを外そうかなと思ったのですけれど、会場が結構狭いところで、皆さんと結構長時間お話しするという状況があって、(記者会見が)記者クラブとの共催ということもあるので、ご相談しながら、皆さまにご迷惑がかからない形で見直しなどしていければなと思っています。
(STV)
新型コロナの道内の感染者確認から3年についての質問に関してですけれども、あらためて国のですね、そういう方針について、この3年、知事としては、なかなか今回方針が国から出ないというような、そういう状況がたくさんあったかと思うのですけれども、そういった中でですね、もっと早くですね、そういう国として詳しく方針を出してほしいとか、そういった国の動き、コロナに対する対策、このあたりはどのように感じていますでしょうか。
(知事)
(令和2年)1月28日に初めて感染確認があったときから、特に初期段階は、日本として対応すべき枠組みみたいなものが、まだない状況もありましたが、皆さんからもさまざまご意見があったわけですけれども、緊急事態宣言や学校の一斉休業なども行いました。学校の一斉休業について、私たちの議論の中でも、保護者の方のご負担とかを考えると1週間が限界だと。当時は発熱の確認とかも皆さんができていなかったので、先生たちとか子どもたちに、過去2週間の体調は大丈夫でしたかとか、学校を1回清掃しましょうかとか、コロナの感染症としての特性とかをその(当時)分かっている中で、保護者やお子さんとお話ししながら、1週間を経て再開しようということだったのですけれども、結果としては、その後に(当時の)安倍総理が小中だけでなく、全国の全ての学校の休校ということで、道としては確か2日間とかでしたかね。2日間ぐらい休校して、その後は国のほうにフェーズが移っていったのですけれども、結果としては、道がやったような対策を全国でやるという形にはなったのですけれども、初期段階では、なかなか国の対策が見えなかったというところはあったのではないかと思っています。基本的には、どの地域でも感染が確認されるようにフェーズとしてはなっていきました。その当時は北海道は大変ですよねとみんな言っていたのですよ。北海道は感染が多いですよねと。感染が出ていないところのほうが多かったですから。そういう状況だったのですけれど、結果としては全国(での感染)になりました。そうなると当然、北海道だけの問題ではないわけですから、全国の国民の皆さまに対して、統一的な感染対策をしっかり国として講じなければならない状況があったと思いますが、そこら辺がなかなかうまくかみ合わないところも正直あったと思っています。いずれにしても、3年の一つの節目だと思いますけれども、2類相当から5類へというところで、われわれとしては、道としてのコロナ対策は節目ごとに検証していますけれども、全体としていろいろなことを振り返りながら、次の新たな感染症も含めて、対応していくことが大事なのかなと思っています。
(日本経済新聞)
昨日、北海道電力の電気料金値上げの発表がありまして、家庭向けで大きく値上げを申請して、道民の負担は増えていくと思います。一方、その中で社長からは、原発再稼働後は値下げするというはっきりとしたコメントもありました。再稼働が道民負担減の方法にはなると思うのですけれども、知事もコメントで道民負担の軽減であったり、北電の経営効率化を求めていますけれども、仮に原発、泊(発電所)が再稼働した場合、知事はこれを容認する立場でしょうか。これまでの考えに何か変化などあれば教えてください。
(知事)
泊発電所は、現在、(原子力)規制委員会における厳正な審査が継続中でありますので、予断をもって申し上げる状況にはありません。ただ、電源の構成ということで言えばですね、電力は暮らしと経済の基盤であります。安全性の確保を前提に、安定供給、経済効率性、環境への適合、こういった基本的な視点として、社会経済の変化にも柔軟に対応できるよう、多様な構成とすることが重要であるというふうに考えているところであります。原発は安全性が確保されることが大前提であります。再稼働については、規制委員会において最新の知見を反映した厳格な基準に基づく厳正な審査、確認を行っていただくことが重要であると考えています。
(日本経済新聞)
これまでと特段変化というのは、知事の中では現状ないということでよろしいですか。
(知事)
当然、この厳格な審査、また規制委員会による審査、そういうものはしなくていいですよとか、そういうことにはならないと思います。
(日本経済新聞)
もう一点伺います。最終処分場の選定についてなのですが、12月にも岸田首相から文献調査の実施地域拡大を目指すというような発言がありまして、また、先日もフランスになりますけれど、地層処分場の設置許可申請というのが政府に出されています。道内の寿都町、神恵内村で文献調査が始まって以降、環境が大きく変わっているかと思うのですけれども、こちらに関しても、知事の最終処分場、文献調査からの移行への立場というのは変わらないのでしょうか。
(知事)
私の認識としては、文献調査を行っているのは寿都町と神恵内村のみではないかと思っていますので、そういった環境の変化はないのではないでしょうか。
(日本経済新聞)
仮に寿都町、神恵内村で今後、文献調査から概要調査に進んだ場合の知事の立場というのは、引き続き反対ということですか。
(知事)
そうですね。繰り返し申し上げていますけれども、反対の意見を述べる考えであります。
(読売新聞)
昨日発表されました苫小牧エリアでのCCUS事業の関係のご質問です。二酸化炭素の分離、回収、貯留の大規模プロジェクトとしては、国内で初の事業地になるらしいのですが、今回、CO2の貯留だけではなくて、再利用、利活用というのも目指していくというふうに、出光とか3社の連合は言っているのですが、そういった新事業とかに係る地元の知事としての期待と、これに限らずゼロカーボンを目指す上で結構、洋上風力とかブルーカーボンとかいろいろな事業が動いていくと思うのですけれど、そういった上で、地元理解とか、機運醸成とかに関して、知事としてどういうふうに今後進んでほしいなという期待の声があればお願いします。
(知事)
私は夕張市長時代に、石炭層にCO2を固定化する、そして石炭層に付着するメタンガスを利用できないかということで、大学、また国などのご協力をさまざまいただきながら取り組みをしてきた経験もありまして、空知管内でも三笠市とかでも同様に、CO2固定の取り組みも行われているわけですけれども、昨日、CCUSの実現に向けた苫小牧エリアでの共同検討を開始すると表明されたのは、私もさまざま関心の高い分野でもありましたので、非常に大きな第一歩ではないかということで、歓迎しているところであります。やはり「ゼロカーボン北海道」、2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを達成するために、今回の一歩は大変重要な技術だと認識しています。
苫小牧市は2012年度から、この実証試験を実施してきたわけであります。何か突然今回、急に出てきたわけではなくて、長年にわたって取り組みを進めてきた中で、3社(出光興産(株)、北海道電力(株)、石油資源開発(株))がタッグを組んで、強みを生かして事業化を目指そうということでありますので、ここで得られたさまざまな取り組み内容などについても、道内の企業立地ですとか、脱炭素関連産業の創出への波及も期待したいと思いますし、また他の地域で、CO2の固定に取り組んでいる市町村に対して、技術的な情報の共有も期待できるのではないかと思っています。
道としては、この地域の皆さま、そして今回挑戦する事業者の方々と連携いたしまして、CCUSに取り組むということ、そして培われた技術の道内各地への展開を進めていくことなど、わが国の2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、北海道として貢献していきたいと考えています。
(共同通信)
あすなろ福祉会における障がい者不妊処置の問題について、お伺いいたします。1月30日から実態調査が全道で始まりますけれども、あらためて、その意義や狙いについて知事のお考えをお伺いできますでしょうか。
(知事)
全道調査でございますけれども、全道で発生している社会福祉施設内での虐待事案などを踏まえて、道が所管する全ての障害者支援施設、そして介護保険施設の入所施設などを対象に、生活支援員、介護職員並びに入所されている方などの声を通じまして、虐待が起こる背景、要因、従事者の勤務環境、業務上の課題などを把握、分析して、未然防止の徹底によって、必要な改善に向けた取り組みに反映させることを目的に、調査を実施していきたいと考えています。
(共同通信)
今回の調査なのですけれども、任意ですとか、あと施設側の名前を記入しない匿名での調査ということになりますけれども、実態解明につながるのかという点で、懸念といいますか、疑問点もあるかと思うのですけれども、その点については知事はどのようにお考えになられますでしょうか。
(知事)
関係団体の皆さまからもご助言、ご意見をさまざまいただきながら、今回、調査を行うに当たって整理させていただいたところであります。さまざまな指摘についても受け止めながらも、やはり全道を対象に調査して、まずは実態をしっかり把握することが大事だと思っていますので、この調査結果がしっかりと生かせるように、実施について適切に行っていきたいと考えています。
(HTB)
札幌聾学校を巡る訴訟についてお伺いします。日本手話での授業を受けるグループに属していながら、実際、担任がうまく使えなくて、そういった日本手話で授業を受けられなかったとして、本日一件、損害賠償請求の提訴があったのですけれども、去年も同様の提訴がございまして、同様の訴えが相次いでいる事態について、知事はどのようにお考えでしょうか。
(知事)
現時点で訴状が届いていないという状況でありまして、内容について把握できていないわけであります。いずれにしても、私としては、道内全ての特別支援学校において、学習指導要領に基づく適切な教育を提供することが大切だというふうに考えています。今後は、道教委と連携しながら対応に当たっていきたいと考えています。
(HTB)
関連してなのですけれども、そういった日本手話のスキルを持った教員の確保ですね、取材ですと、札幌聾学校のホームページですとか保護者の方に配る資料の中で、日本手話という表記が削除されているらしくてですね、今後、札幌聾学校に関して日本手話での教育を継続するための今後の方針ですとか、あるいは、もう日本手話での教育というのを一時休止するような方向に行くのか、方向性といいますか、お考えをお聞かせください。
(広報広聴課長)
これについては道教委のほうで。道教委の方、今の方針の話はお答えできますでしょうか。
(教育庁特別支援教育担当局長)
現在でも札幌聾学校では、日本手話の授業に関して必要な教員を配置しておりますけれども、廃止するとかそういうことは全く考えておりませんので、引き続き対応してまいりたいと思います。
(HTB)
実際にこのような訴えが起きてはいますけれども、道教委としてはスキルを持った教員は札幌聾学校に配置できているという認識なのですか。
(教育庁特別支援教育担当局長)
そうです。あと、詳しいことにつきましては、現在訴訟中ですので、あらためてしかるべき時期に丁寧に説明させていただきたいと思います。
(北海道新聞)
道州制について聞きます。地方分権や道州制に関する議論は、1990年代から2000年代にかけて活発化し、旗振り役だった道の働き掛けもあって、道をモデル地域に07年度に道州制特区が導入されました。現状、知事は道州制や道州制特区についてどのようなお考えを持っているのか教えてください。
(知事)
ご質問にもありましたけれども、平成19年4月に「道州制特区推進法」が施行されまして、同年7月に「北海道道州制特別区域推進条例」が制定されたところです。国への提案については、平成19年12月の第1回提案を行って以来、これまで6回、33件を国に提案し、このうち特区として実現した2件を含む28件について、国において所要の措置が講じられたところであります。「道州制特区推進法」に基づいて、国に対して権限移譲などを求めることができる仕組みは、北海道にだけ認められているものでありますので、さまざまな課題解決に向けた政策の手段として、この制度も活用していくことが重要だと考えています。今後とも、幅広く国の制度を活用しながら、大事なのは財源と併せて権限が移譲されることだと思っていますので、地方分権の推進に努めていきたいと考えています。
(北海道新聞)
今のお話にありましたけれども、実際に移譲された件が2件ですとか、あと国に提案する立場である道の(提案)検討委員会の経過を見てもですね、最近は提案自体も途絶えていたりですとか、道民からのアイデアもあまり寄せられなくなっていると聞いています。全国的に地方分権ですとか、道州制の機運がしぼんできたとも言われていて、きつい言い方をすれば、検討委員会も今形骸化しているようにも見えるのですけれども、委員会の今後も含めてですね、今後もこれを続けていくというふうな理解でいいのか、あらためて教えてください。
(知事)
私は続けていきたいと思っています。政策実現の手段としてあるわけですから。いろいろアイデア募集などもやっているのですけれども、かなり意識が変わってきているというのは、率直に事実としてあると思いますけれども、やはり皆さんから広く提案を募集したりだとか、あとは庁内においても、あらためて提案すべき内容がないかだとか、そういうことをしっかり考えながら、検討委員会において審議いただくこと自体は、私は必要ではないかと思っています。
(北海道新聞)
基本的に今の制度を維持して使っていくということだと思うのですけれども、知事は元々都職員をなさっていて、夕張市長をなさって、道知事になられたということで、地方自治ですとか、そのあり方、仕組みについては一家言がおありかと思うのですけれども、道州制というもの自体が、機運がしぼんできたりですとか、なかなかそういうような指摘がある中で、今おっしゃったようなこれまでどおりのやり方ですと、どうしても提案ですとかが出てきたりというのは、ちょっとなかなか考え難いのかなとすると、そういうバックグラウンドがある知事として、新しい打ち出しですとか、もしくはいっそですね、もう一定の役割を終えたという決断をされるというのも、一つ知事カラーの出し方なのかなと思うのですけれども、最後にこれだけもう一度教えてください。
(知事)
法律や制度があるというのは、政策実現の一つの手段としては、私はいいと思っています。あとは国民全体の議論とか、私も内閣府にいたときに、義務付け、枠付けの見直しだとか、一括分権の法案の取りまとめとかをやっていましたけれども、当時は民主党政権で、さまざま法律上に義務付け、枠付けとか、また権限移譲に関する項目とか、法律や関係法令について、一律全ての省庁所管の法律をチェックして、一括法案ということで取りまとめてやっていたのですよね。形骸化している条文があったり、いろいろなことがありましたので、一括してさまざまな見直しを行った中で、義務付け、枠付けとか権限移譲の関係とかも、積極的な提案とか法律への反映とか、ある程度そういうものも行われたのは事実としてあります。また、必要性も時代に応じて変わってくるので、ツールを使って国に対して提案していくこと自体は、社会情勢の変化の中で必要になってくるかもしれませんので、そこは活用する必要があるのではないかと思っています。
ただ、私の大きな問題認識としては、コロナの対策とかもそうなのですけれど、今、異次元の少子化対策ということで政府も言っているのですけれど、国がやるべきことと、都道府県がやるべきことと、市町村がやるべきことというのがあるのですけれど、市町村が一番身近ですよね。都道府県が広域自治体で、国が住民からの距離が遠いのです。そういう状況の中で、地方分権とか地域主権とか、いろいろな言葉で叫ばれてきたのですけれども、国がどこまでやるとか、都道府県がどこまでやるのか、市町村がどこまでやるのか。例えば子育ての今回の件で言っても、少子化もかなり出生率も下がってきていますから、そういう中で明確に役割分担して、全体の整理をしていく時代になっているのだろうと思うのです。だから、自治体経営のあり方とか、その枠組みというのももちろんなのですが、日本全体をどうするのという中で、都道府県の役割とか、市町村の役割というのを整理する時代なのではないかと思っています。私も市町村で首長をやって、都道府県で知事をやって、市と都と国でもそれぞれ働いてきた中で見ると、やはり大きく背景が変わってきているので、そういう議論をする必要があるのではないかと思っています。ただ、どうしても既存のいろいろなルールに肉づけしていくということを繰り返しているので、大胆な対応が難しいという状況が議論を妨げているということがあるのではないかと思いますよね。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責:広報広聴課)