知事定例記者会見
- 日時/令和5年4月21日(金)16:30~17:12
- 場所/記者会見室
- 記者数/16名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
- 知床遊覧船事故から1年を迎えるに当たって
- 新型コロナウイルス感染症対策について
記者からの質問
- 知床地域の観光振興について
- 新型コロナウイルス感染症対策について(1)
- 新型コロナウイルス感染症対策について(2)
- 「チャットGPT」の活用について(1)
- 「チャットGPT」の活用について(2)
- 高レベル放射性廃棄物の最終処分について
- 冬季五輪招致について
知事からの話題
知床遊覧船事故から1年を迎えるに当たって
私から二点お話しさせていただきます。
まず一点目であります。知床遊覧船の事故、あの痛ましい事故から明後日23日で1年を迎えます。20名もの方々がお亡くなりになり、いまだ6名の方々が行方不明になっております。まずは、お亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、行方不明となっている方々が、一日も早くご家族の元に帰られることを心からお祈りいたします。
明後日、斜里町ウトロにおいて、町と地元実行委員会の主催によります「知床遊覧船事故被害者追悼式」が執り行われることとなっております。私も参列させていただきます。
この1年を振り返りますと、道では事故発生当日、災害対策連絡本部を設置し、消防防災ヘリコプターや漁業取締船を使いまして、関係機関による合同捜索に参加いたしました。このほか、ウトロに国土交通省が設置した現地対策本部に職員を派遣いたしまして、ご家族への対応などで、連携、協力を行ってきたところであります。ご家族への対応では、道警の臨床心理士などの支援チームが、被害者のご家族ごとに個別にサポートする体制をとりまして、心のケアを行ってきたところでございます。現在も災害対策連絡本部を継続設置し、国土交通省や海上保安庁と情報共有を続けながら、必要な協力を行っております。今後も道に求められる役割を果たしていきたいと考えております。
また、国に対し、事故の再発防止や北海道観光の需要回復などに向けた対策を求める要望を重ねてきております。一昨日19日においても、斉藤国土交通大臣にお会いし、知床の状況をお伝えし、多くの方々に足を運んでいただけるように、お力添えなどもお願いしたところであります。国に対しては、事故の再発の防止、そして北海道観光の需要回復などに向けた対策を求める要望を重ねてきたところです。
国においては、こうした要望も踏まえまして、事故後速やかに「知床遊覧船事故対策検討委員会」を設置いただきました。昨年末に旅客船の総合的な安全・安心対策を取りまとめ、これに基づく改善策を進めていただいております。今月からは、海上保安庁の釧路航空基地に機動救難士を配置していただくほか、本道の海難救助体制の強化にも取り組んでいただいております。観光分野におきましても、さまざまなご協力をいただいているところです。
道としては、今後とも国や市町村、地域の皆さまとより一層連携しながら、この事故を決して忘れず、知床はもとより、道内各地を訪れる方々に安心していただけるように、全力で取り組んでまいります。
また、ゴールデンウィークを目前に控え、これからまさに本格的な旅行シーズンを迎えるわけでありますが、地元の観光事業者の方々はしっかりと安全対策に取り組んでおります。道民の皆さまや観光客の皆さまに、こうした取り組みについて広く知っていただきたいと考えております。ぜひ、報道の皆さまにもお力添えいただければと思います。
新型コロナウイルス感染症対策について
二点目でございます。新型コロナウイルス感染症対策についてであります。
道内の感染状況でありますけれども、本日の新規感染者数は625人であります。人口10万人当たりでは72.7人となっています。3月下旬まで減少傾向が続き、3月22日には37.7人となったところでありますが、翌日から増加に転じまして、足元では増減を繰り返しているという状況にあります。一方で病床使用率は7.1パーセントであります。最近は10パーセントを下回って横ばいが続いております。重症病床使用率については1.6パーセントということで、低い水準で推移しています。
感染が増加傾向にある中で、来週末からはゴールデンウィークが始まります。この時期は旅行や帰省など、移動が活発になります。人との接触機会も増えます。これまでもこの時期に感染者数が増加してきたという経緯があります。道民の皆さまには引き続き、手洗いなどの手指衛生や十分な換気といった基本的な感染対策に取り組んでいただくようお願いいたします。また、オミクロン株対応ワクチンの接種につきましても、連休前に速やかな接種の検討をお願いいたします。
そしてゴールデンウィーク後の5月8日には、新型コロナウイルス感染症の5類移行が予定されています。国が予定どおり移行するかについては、来週にも決定する見込みであります。大きな節目を迎えることになります。移行に向けて、道としては必要な準備を進めてきたところであります。有識者などの方々、市町村の皆さまのご意見をお伺いした上で、本日、移行に向けた道の対応を決定させていただきました。
道の対応のポイントとして、まず医療提供体制でありますが、国の段階的な移行という考え方を踏まえ、道としては、外来、入院などを幅広い医療機関に対応いただけるように、働き掛けを行っていきます。また、段階的移行を進めながら、必要な取り組みは今後も継続していきます。そして国が策定を求めます、入院等に関する移行計画については、道の対応を踏まえ、本日、国に提出させていただいたところであります。今後、移行計画で予定する最大確保病床、1862床を活用していくことはもとより、新たな医療機関において、患者受け入れなどのご協力をいただけるように、丁寧な働き掛けを行っていきます。 医療提供体制について、具体的な場面で、今後どう変わるのかということをご説明いたします。発熱等の症状がある方の対応についてでありますが、段階的な移行を進めていくという観点に立って、引き続き、健康相談センターでの対応を継続いたします。なお、かかりつけ医がいる方は、かかりつけ医にご相談していただくようにお願いいたします。一方で、これまで陽性者登録センターで行ってまいりました、陽性判定や無料検査キットの配布は終了いたします。次に、療養中に体調が急変した方への対応として、これまで相談窓口として、陽性者健康サポートセンターを設置しておりましたが、今後は相談機能を健康相談センターに一元化いたしますので、そちらをご活用いただければと思います。
なお、療養期間については、国は、他人に感染させるリスクの高い発症後5日間を経過し、かつ、症状軽快から24時間経過するまでは、外出を控えていただくことを推奨しております。道としても、こうした変更をしっかりと周知していきます。高齢者施設などについては、引き続き市町村と連携し、必要な支援に取り組んでまいります。
また、ワクチン接種も、特例臨時接種として無料接種を継続いたします。5月8日からは、高齢者などを対象に新たな接種が始まります。秋には全世代を対象とした接種も開始されますことから、引き続き接種体制の整備に向け、市町村の取り組みを道として支援していきます。
二つ目のポイントとして、5類移行後は療養のあり方も変化いたします。外出自粛等の行動制限はなくなります。自主的に療養していただくことが基本となります。これまで行ってきた自宅療養中の方への食料品などの配送や、パルスオキシメーターの貸し出し、そして宿泊療養施設については終了いたします。また、感染に不安がある場合に活用をお願いしてまいりました無料検査につきましても、終了いたします。
三つ目のポイントは、道の本部体制についてであります。新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類となっても、新型コロナウイルスがなくなるわけではありません。このため、道としては現在の対策本部の廃止後においても、移行を円滑に進め、新たな感染症危機にも備えていくため、私を本部長といたします「北海道感染症対策連絡本部」を設置いたします。柔軟かつ機動的に対応できる体制を整備してまいります。この新たな本部についてでありますが、5月8日の移行に合わせて立ち上げていけるようにしたいと思います。本日の対策本部で指示したところであります。今後とも、市町村や関係団体と情報共有を図り、対応していきたいと思います。
基本的な感染対策についても、5類に合わせて考え方が変わります。国は、個人や事業者の判断に委ねることを基本とし、それぞれの方の判断に資するよう、引き続き手洗いなどの手指衛生や換気は有効であること、また、流行期において、高齢者など重症化リスクの高い方は、混雑した場所を避けることが有効であるとの考えを示しました。さらに事業者の方々における検温の実施や、アクリル板の設置などについては、対策の効果などを踏まえ、事業者自らが実施するかどうかを判断するといった考え方も、国は示したところであります。道としては、こうした国の考え方を踏まえ、企業などの皆さまと連携して進めてきた「新北海道スタイル」の取り組みは終了し、庁内における感染対策についても見直すことといたしました。例えば、私の前にアクリル板があるわけでありますが、道庁内の職場に設置されているものは、原則取り外すといった方向で対応する考えであります。来週には、そうした取り扱いの変更について通知する予定です。
5類移行により、医療提供体制や基本的な感染対策のあり方など、これまでの取り組みが大きく変化していくことになります。有識者などの方々や、市町村の皆さまからは、情報発信の重要性についてご意見をいただいたところであります。道民の皆さまや事業者の方々に向けて、今後、より一層分かりやすい情報を速やかにお届けしていきたいと思います。
最後となりますが、今後、5類への移行という大きな節目を迎えることとなります。道民の皆さまに混乱を生じることなく、円滑に移行していくことが何よりも重要になります。
今後とも、移行に向けた道の対応や、国の動向について情報発信を行うなど、さまざまな対応に万全を期してまいりたいと考えております。
私からは以上です。
記者からの質問
(NHK)
知床の観光船の事故の関係でお伺いします。来週から知床の観光船業者もシーズン開始ということで運航が始まると思うのですけれども、国に対して観光回復の要望を出されたりということを聞いたのですけれど、道としても、何か引き続き、観光の需要回復に向けた取り組みとしてはどのようなことを、考えているものがあればお願いします。
(知事)
知床地域の観光振興に関してですけれども、道ではこれまで、観光協会などが実施いたします情報発信に対する支援を行ってまいりました。そして、旅行事業者と連携した全国紙によるPRなどのさまざまな取り組みを展開してきたところであります。今後、(北海道)観光振興機構と連携した情報発信を強化していきたいと考えております。
そして、今ご質問にもありましたゴールデンウィークを目前に控えております。これからまさに、本格的な旅行シーズンを迎えることとなりますが、観光事業者はしっかりと安全対策に取り組んでいるところであります。道民の皆さま、そして観光でお越しいただく皆さまに、この取り組みを広く知っていただくために、われわれもしっかり取り組んでまいりますが、ぜひ報道の皆さまにも、お力添えいただければ大変ありがたいと思っています。
また、国の事業となるわけでありますけれども、先日、高付加価値旅行者の誘客に向けた集中的な支援などを行う全国のモデル観光地に、北海道からは、東北海道エリアが選定されました。インバウンドの本格的な回復につなげる観光再始動事業に、カムイワッカ湯の滝の公開事業も採択されたところであります。その波及効果にも期待しているところでございます。さらに、9月に開催されます「アドベンチャートラベル・ワールドサミット」を見据えながら、知床ならではの雄大な大自然を生かした多彩なアクティビティの魅力などを、世界中の皆さまに広く紹介していきたいと考えています。
宿泊実績などを見ましても、知床地区は、他の地域と比べても厳しい状況がございますので、道としても、さまざまな取り組みを強化していきたいと考えています。
(時事通信)
新型コロナの関連で、5類移行が近づいてきているということで、3年間の振り返りについて伺いたいと思います。まずこの3年間、道の対応、新型コロナへの対応、知事ご自身としてどのように評価していらっしゃいますでしょうか。
(知事)
北海道は他の地域に先行して、このコロナの課題に向き合うこととなりました。2020年1月から現在に至るまで、知見も経験も積み重なっていない中での対応を求められることとなりました。当初、全国初となる緊急事態宣言をはじめとする、まだ特措法が整っていない中での対応など、取り組みを進めてまいりました。その後、全国的に感染が拡大して、このコロナとの国の向き合い方、また、各都道府県、市町村の対応のありようが、基本的対処方針を踏まえて、全国的に共通の対応、対策に取り組むこととなりましたので、道としても、そういった感染対策のあり方に移行し、現在まで取り組みを進めてまいりました。有識者会議、また専門家からのご意見の中にあっても、これまでの道の対応に対する一定の理解も示されたところであります。
今後も、新興感染症をはじめとするさらなる対応についてもあり得るわけですので、今後の対応にも、これまでの間の対応をしっかり生かして、対策を講じていきたいと考えています。
(時事通信)
続けてなのですけれども、対応の中で最も厳しいと感じられたこと、例えば緊急事態宣言というお話がありましたけれども、そういったことや、感染爆発への対応などで最も厳しかったと、今お感じになることは何でしょうか。
(知事)
そうですね、やはり全国に先行して北海道で感染が拡大して、国も対応をどうしていいか分からないという状況で、さまざま庁内議論を積み重ねた中で判断、決断を繰り返してまいりました。国内でも早い段階で感染が確認され、さらに全道での感染拡大の中で対応を判断していく。ここは大変厳しいものがありましたし、庁内においても初めての経験の中で、さまざまな戸惑いもある中、職員が一つの目標に向かって頑張っていただいたとも思っています。
これだけ長い期間、戦いが続いてまいりましたので、その時々、大変厳しい状況がありましたが、道民の皆さま、そして事業者の皆さまに、さまざまご理解とご協力をいただきながら、5月8日、予定通りであれば5類に移行していく予定でありますので、多くのご協力いただいた方々に、心から感謝を申し上げたいと思います。
ただ一方で、コロナがなくなるわけではございませんので、引き続き感染対策などにもご注意いただきながら、新たな感染症にも備えつつ、しっかりと危機管理対応を担っていきたいと思います。
(時事通信)
あと二点だけ伺います。一点目が、国との情報共有や国からの指示など、そういったコミュニケーションについてどう評価されていますでしょうか。国にあのときこうしてほしかったなどといった要望がおありでしたらお聞かせください。
(知事)
それはその時々に、国に対して、私も各種要望などをしてまいりました。先ほど申し上げた緊急事態宣言の翌日には、総理の元にお伺いして、当時、安倍総理でしたけれども、さまざまな要望なども行ってまいりましたし、状況変化に対応する形で、国に対するさまざまな要望もしてまいりました。なかなか日本だけではなくて、世界がどう対応していいか分からないという状況にもありましたので、そういった意味では難しさは政府にもあったのではないかと思っておりますが、連携しながら対応を進めてきました。また今回、全国知事会がですね、各知事がさまざま対策の中心を担うような場面が多かったですので、全国知事会で、同じ知事の皆さんと課題認識を共有して、国などへの働き掛けを行っていく。この点は、今までにない頻度で行ってまいりましたし、非常に機能した点でもあったのではないかと思っています。これはコロナ対策だけではなくて、今後も国に対する働き掛けなどでは、一つの前例になったのではないかと思っています。
(時事通信)
最後に、この3年間のコロナ対応の中で、何か教訓だと感じられたこと、得られた教訓というものがおありでしたらお聞かせください。
(知事)
それはあらゆる教訓があるのだろうと思っています。これまでも、感染の増減を繰り返す中で、節目ごとに検証なども行ってまいりました。その中で、有識者、専門家の方々からも、さまざま道の対策についてのご意見などをお伺いしてまいりましたので、そういったものをしっかり教訓としながら、今後の対応にも向き合っていく必要があると思います。
(釧路新聞)
二点伺わせてください。一点が新型コロナウイルス関係です。感染症はもう既に大きな転換点を迎えましたけれども、分析の指示などについては今後されていくことなのだろうとは思いますが、昨日それから一昨日の専門家会議、有識者会議に配布された資料を見ますと、死亡者数、これがすっぽり抜けています。どこにも死亡者数は、北海道の死亡者数がどうだったのかということは書いていません。札幌医科大学のフロンティア医学研究所がホームページで公表している都道府県ごとの死者数、これは1位が大阪府、2位が東京都、3位が北海道になっています。100万人当たりの死者数では、北海道は大阪府に次ぐ2位です。医療研究者の一部からは、北海道の感染症対策への手厳しい批判もあります。知事はどういうふうに受け止めていらっしゃるでしょうか。それが一点です。
それから二点目なのですが、北大の北島正章准教授らが、下水から感染者数、感染状況を観測するサーベイランス、下水サーベイランスですか、札幌市などで実験も行って、かなり成果も出ているようです。国交省の検討委員会でも評価されていますが、今後の道内の感染症が、定点観測以外に、実際起こっているのか起こっていないのか、その辺も含めた観測に振興局単位ですとか、そういう形で活用されるようなお考えはありますでしょうか。その二点です。
(知事)
まずは、この間の対策などについて、さまざまなご意見がございますので、それは道の有識者の方や専門家のみならず、さまざまな方々がさまざまな視点でご意見があると思います。それをしっかり受け止めた中で、今後の対策に生かしていく必要があると思います。
そしてお亡くなりになられた方の数のお話がありました。これは、まずは他の都府県と比べると、北海道は高齢化率が高いという状況や、かつ社会福祉施設への入所、医療機関に長期入院されている方が多い中で、高齢者や基礎疾患を有する方は、この感染症の重症化リスクが高いということが明らかになっていますので、これまでの3年間を総じて見ると、そうした方々の多くが入所、入院をする高齢者施設や医療機関などで、集団感染が発生したことも、感染者に占める死亡者の割合が高くなっている要因の一つではないかというふうには考えられるところであります。さまざまな意見をしっかりお伺いしながら、そこは今後の対策にも生かしていく必要があると思っています。
また、下水サーベイランスでありますけれども、これは政府機関や民間企業などによる実証事業が札幌市において行われて、感染症対策に活用できるかの可能性の検討を目的に、大学と連携して測定調査を実施しているということであります。
道としては、感染症対策に係る疫学情報の有効な把握手法の確立の見込みなども含めて、引き続き国などの調査研究に係る情報収集に努めていきたいと考えています。また、5類移行後の監視体制でありますけれども、これは当然のことですけれども、北海道というよりは全国で把握していかなければいけませんので、国の方針に沿って、定点把握とゲノムサーベイランスによって、しっかりと監視体制については対応していきたいと思います。この下水サーベイランスの研究状況というか、取り組み状況などにつきまして、詳細については事務方にお尋ねいただければと思います。
(読売新聞)
対話型AIサービスの「チャットGPT」についてなのですが、中央省庁とか自治体とかで、業務の一部に活用する事例が最近増えていまして、ただ一方で、機密情報の取り扱いとか個人情報の観点で慎重な意見も出ています。今後、道の業務で「チャットGPT」を使うような検討があるかというのと、もしそういう検討がある場合は、どういうところに留意するのかというのをお聞かせください。
(知事)
「チャットGPT」は、幅広い分野の質問に対して、短時間で詳細な内容を、人間が自然と感じられるような表現で回答が生成されるということで、使い方によっては、職員の業務負担軽減につながる可能性があるのではないかと考えています。
ただ一方で、今質問にあったとおり、誤った情報ですとか、個人情報の漏えい、そして著作権侵害の恐れなど、利用に当たって懸念されることも示されております。こうした対話型AIについては、G7などの国際的な議論も行われているところであります。政府では、開発の進行、利活用の推進、適切な規制の三つの要素いずれも重要であるとしています。
道としても今後、国や他の自治体での利用状況や課題などについて情報収集を行って、その利活用の可能性について検討していきたいと考えておりますが、利用の制限については、もう一部の大学で、例えば、レポートや論文といったものに、AIを使用することを制限するとお話しされた大学、また、小中高の読書感想文コンクールの募集要項を見直すと、AIを悪用した作品を審査の対象外にしようとする団体の動きもあります。
道としては、道が実施する各種コンクールなどで、AIにより公平公正な競争が阻害されることはないようにしなければいけないとも思いますし、こういった点などについても、他の地域の情報収集などにも努めながら、適切に対応していきたいと考えています。
(読売新聞)
ちなみに知事は、「チャットGPT」は個人的には使われたことはありますか。
(知事)
話題になっていたので、家族でちょっとやってはみましたけれども、私の見た範囲では、正確性がどうなのかなという感じではありました。精度レベルがどうなのかなと。事実関係は大丈夫だろうかというような部分もあるのかなと思っていまして、例えば、英語表記、日本語表記でも精度の部分で差があったりだとか、いろいろなこともあると個人的には聞いています。さまざまな技術革新の中で、それをどう生かして仕事に反映させていくのかという視点は、前例主義を脱していくだとか、新たなことに挑戦していくということで、私は職員にも呼び掛けをしています。ただ、そのリスクをしっかり認識した中で使うのと、リスクが分からない中で使うのは全く違う話だとも思いますし、まだまだ懸念もありますので、道庁内で使うということに関しては、今の時点では慎重を期す必要があると思っています。
(北海道新聞)
今の質問の関連だったのですけれども、「チャットGPT」の議会答弁への活用について伺います。鳥取県の平井知事は、昨日の会見で、議会の答弁資料作成などでの使用は、昨日時点ではっきりと禁止すると発言して、「私は議会と対峙する際、全身全霊でアドリブも交えて話している。」、「機械の出した言葉を使うなら有権者に失礼で、民主主義の自殺行為だ。」などと語って、明確に姿勢を示してるのですけれども、知事は議会対応で「チャットGPT」を活用するということは、現時点では考えていらっしゃいますでしょうか。
(知事)
考えてはおりません。議会答弁のみならず、道庁内で今使うということは考えていません。慎重に対応すべきものだという認識です。
(北海道新聞)
核のごみ(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場の選定についてお伺いいたします。今週、長崎県の対馬市商工会が、文献調査受け入れの検討を求める議会への請願について、議論していくということを明らかにしました。知事はかねてから、処分場が北海道だけの問題と捉えられる恐れがあると懸念していて、国やNUMO(原子力発電環境整備機構)に対して、全国においてこの処分場事業の理解促進に向けた取り組みを一層加速していくように求めていらっしゃると思いますが、今回の動きというのはどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
(知事)
今ご質問にもありましたけれども、今、寿都町や神恵内村における文献調査、これが行われていると。唯一、北海道でそういう状況になっています。そして国は、最終処分地を全国で1カ所選定するという状況ですので、道内のみで行われているそのことは、北海道だけの問題と捉えられる恐れがある。このことを懸念しているということで申し上げてまいりました。引き続き、国やNUMOに対して、全国において最終処分事業の理解促進に向けた取り組み、これを一層加速するようにということもお話ししてまいりました。
ただ、そういった報道があったということでございますが、道外の他の地域の詳細な状況は私もよく分かりませんので、そういった地域の取り組み内容について、私の立場でコメントすること自体は控えたいと思います。
(北海道新聞)
もう一点、2030年冬季五輪・パラリンピックの関係をお伺いしたいのですが、先日、報道で、IOC(国際オリンピック委員会)が札幌開催が困難な情勢と、日本の招致関係者に伝えていたとありました。知事の受け止めを伺えればと思うのですが。
(知事)
報道があったということについては、私も承知はしているのですけれども、事実関係などについては、報道で知る以外の状況は分かりませんので、秋元札幌市長も、何らかのコメントをもらっている状況ではないのですよということで、記者会見でも発言されていましたので、札幌市においてもそういった状況なのだろうと思っています。
いずれにいたしましても、札幌市民の皆さま、そして道民の皆さま、国民の皆さまの十分な理解を得ながら進めていくということが重要だと考えておりますし、道としては、市とJOC(日本オリンピック委員会)の検討状況、そして動向に注視していきたいと思っていますし、今後の進め方については、JOC、そして札幌市議会と協議していくということで、市長がおっしゃっていますので、そういった進め方などについても情報共有を図って、どのような協力ができるのか、できないのか、ここは道として検討していきたいと思います。
(北海道新聞)
今お話のあったとおり、進め方について秋元市長だとかJOC側は、東京五輪を巡る汚職・談合事件の影響で五輪への不信感が高まっているということで、現状では招致活動を進めていくことが難しいとの認識を示していらっしゃいますけれども、知事も同じようなご認識でいらっしゃるのでしょうか。
(知事)
それは記者会見で、私は繰り返し、今の状況で機運醸成を進めていくことは難しいという中で、さまざまこれまでも札幌市、JOCとも認識を共有しながら、さまざま想定していた取り組みなども一度停止した中で対応してきました。そこは認識は同じ状況ですし、大変厳しい状況にあると認識しています。
(北海道新聞)
あともう一点、JOCの山下会長なのですけれども、先日、34年大会の招致に目標を変更することも視野に、札幌市と協議していきたいという方向性を示していらっしゃいます。仮に、知事がおっしゃったように、道民の五輪への不信感というものを払拭できた場合に、例えば札幌市やJOCが34年招致を目指すという方向性になったときですね、五輪への招致活動に道として協力していくかどうか、その辺の考えを伺えれば。
(知事)
山下会長も、34年ということではないのだと思っています。30年以降、関心のある都市という形で協議を進めている状況に変わりはないということなのだと思っていますので、そういう状況であるというふうに受け止めています。
まだJOC、そして札幌市も何かを決めたとか、そういうことでは多分ないのだというふうに認識していますので、いずれにしても進め方などについての情報共有をして、道として何が協力できるのか、できないのかについては、しっかりその方向性が出たら判断していきたいというふうに思います。
(北海道新聞)
最後ちょっと確認なのですけれど、先ほど2問目の質問のときに、今厳しい状況にあるとおっしゃったと思うのですけれど、厳しい状況というのは招致活動を進めるのは厳しい状況にあるというふうな理解でよろしいのですか。
(知事)
そうですね、機運の醸成をはじめとしたさまざまな取り組みが今、止まっていますよね。さらに2020(東京五輪・パラリンピック)のさまざまな問題が、より深刻化している状況なども考えますと、厳しさが増しているという状況にあるというのは事実ではないでしょうか。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責:広報広聴課)