知事定例記者会見
- 日時/令和5年7月14日(金)16:32~17:22
- 場所/記者会見室
- 記者数/18名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
- 令和5年第2回北海道議会定例会の閉会に当たって
- 蘭越町における蒸気噴出等への対応について
- 「ウポポイ」開業3周年について
記者からの質問
- 蘭越町における蒸気噴出等への対応について(1)
- 蘭越町における蒸気噴出等への対応について(2)
- 蘭越町における蒸気噴出等への対応について(3)
- マイナンバーカードについて
- 次世代半導体について
- 生乳・乳製品の需給について
- 新たな観光財源について(1)
- ヒグマ対策について
- 道内発着の国際線の再開について
- 新たな観光財源について(2)
- 道議会での答弁準備について
知事からの話題
令和5年第2回北海道議会定例会の閉会に当たって
私から三点、お話しさせていただきます。
まず一点目ですけれども、6月22日から始まった第2回定例会が本日終了いたしました。このたびの議会では、私が公約に掲げました政策などを進めていくため、総額2776億円の補正予算案、12件の条例案を提出いたしまして、これらを踏まえた私の2期目の道政に臨む姿勢や、さまざまな道政上の重要課題について、議員の皆さまと活発な議論をさせていただきました。今議会での議論を踏まえまして、道民の皆さまの命、健康、暮らしを守り抜く、北海道の確かな未来を創っていくために、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。
蘭越町における蒸気噴出等への対応について
二点目でございます。
蘭越町における蒸気噴出などの対応であります。蘭越町において、先月29日に発生いたしました蒸気の噴出などについて、事業者の情報によりますと、13日時点におきまして、9名の方の健康被害の報告が確認されたということとともに、現在も蒸気の噴出の勢いに変化が見られないということ、また、ヒ素を含む水の敷地外への流出が続いているという状況にあります。自然環境への影響、さらには風評被害への懸念もあります。蘭越町や町民の皆さまに大きな不安が広がっております。事業者には、万全の対応をとっていただくことが必要であると考えております。私といたしましても、町民の皆さまが不安に思っていることを受け止めて、その気持ちに寄り添い、道としてしっかりと対応していきたいと考えています。
道としてのこれまでの対応でありますけれども、環境審議会温泉部会の専門家とも協議しながら、温泉法に基づく指導を行うほか、農業用水の確保に対する支援など、関係部局が連携して対応に当たってきたところであります。先週11日火曜日でありますが、私が事業者である三井石油開発株式会社の原田社長と面談いたしました。流出水への防止対策に万全を期すことなどについて、直接要請を行ったところであります。翌日12日水曜日には、金蘭越町長と土屋副知事が、西村経済産業大臣、そして環境省を訪問し、今回の事案に対する最大限の支援について要請したところであります。
現在の状況などについて、道では、道道の占有許可などを速やかに行い、現場では既に流出水の移送が始まっているところであります。本格的な移送に向け、現在取り組みを進めているほか、河川等のヒ素濃度は、取水地点の選定について、事業者に指導を行った上で、専門の検査機関による測定が行われております。このほか、大気中の硫化水素濃度についてでありますが、事業者による検査方法や検査結果の記録を確認し、道の検査機器による数値と比較するなど、必要な対応を行っているところであります。また、JOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)の専門家、経済産業省北海道経済産業局の職員が現地に駐在して、技術的支援を行っているという状況にあります。
今後に向けてでありますが、事業者より、蘭越町、国、JOGMEC、道および道総研などとの連絡会議について、こちらは18日火曜日に現地で開催したいという連絡があったところであります。道の担当者が出席し、情報共有とともに、技術的助言を行っていきます。
まずは、1日も早く周辺環境への影響が懸念されます流出水を防止していく。加えて、流出水の原因となっている蒸気の噴出の長期化を防いでいくことが重要になります。道としては、温泉法に基づく指導などの必要な役割を果たしながら、連絡会議との連携の下で、流出水の防止などに取り組みます。その上で、このたびの事案が発生した原因の究明を進めていくため、国をはじめとする関係機関と協議していきます。
なお、町長も繰り返し発言されていますが、蘭越町は「らんこし米」という、大変素晴らしいブランド米の産地であります。地元の生産者の方々は、風評被害に対する懸念を大変心配しているところであります。今回の事案に関しましては、お米の品質や安全性への影響は全くない状況にありますので、マスコミの皆さまにおかれましても、これまでもそういった情報発信にご協力いただいているところでありますけれども、こうした情報の発信にも、引き続きご協力いただきますよう、この場をお借りして、ご協力をお願い申し上げます。
「ウポポイ」開業3周年について
そして三点目でございます。
「ウポポイ」につきましては、今月12日に開業3周年を迎えたところでございます。先週8日土曜日になりますが、「ウポポイ」において記念セレモニーが開催されました。私も岡田アイヌ施策担当大臣、また関係の皆さまとともにセレモニーに出席して、皆さんとともにお祝いをしたところであります。またこれに先立ちまして、前日7日には、札幌市においてアイヌ政策推進会議、こちらは北海道で10年ぶりの開催ということで、開催されました。私からは、より積極的な広報による「ウポポイ」の認知度向上の取り組みなどについて、発言させていただいたところであります。
そして、明日からの三連休でありますが、「ウポポイ」におきまして、3周年の「ウポポイ祭」ということで、全道各地のアイヌ古式舞踊の鑑賞や体験ができるプログラム、アイヌ料理の試食会、多彩な催し、企画というものがありますので、この機会にぜひ、道民の皆さまをはじめ、多くの皆さまに足を運んでいただきたいと考えているところであります。道といたしましても、「ウポポイ」の3周年にあわせまして、関係する市町と大学などと連携して、アイヌ文化の発信イベントや来場に向けたプロモーションを実施させていただいております。
新型コロナウイルス感染症が5類ということで移行いたしました。社会経済活動が活発化する中で、今年こそ「ウポポイ」の開業効果を全道に波及させていくということで、その思いを新たに、国、市町村、関係者の皆さまと連携しながら、誘客促進に取り組んでいきます。国内外から多くの方々に「ウポポイ」にお越しいただいて、多様なアイヌ文化の価値のご理解を深めていただけるように、関係機関、団体の皆さまとアイヌ文化の保存、そして伝承に取り組むとともに、アイヌの方々の民族としての誇りが尊重される共生社会の実現に努めてまいります。
報道の皆さまにも、さまざま取り上げていただいているところでございますが、3周年ということでございますので、引き続きのご理解とご協力をお願い申し上げます。
私からは以上です。
記者からの質問
(日本経済新聞)
蘭越町の蒸気噴出の件に関連して何点かお伺いします。まず一点目ですが、先日、知事のもとにもですね、三井石油開発の社長がいらして陳謝されておりましたけれども、北海道知事として、今回の事象に至った責任、やはりこの会社側にあるというふうにお考えなのか、それとも国ないしは道の行政側にも一定の責任があるとお考えなのか、その点をまず一点お伺いしたいです。
(知事)
まず社長がいらっしゃったときに私から申し上げましたのは、これは蘭越町からも、また住民の方からもいただいていたお話でありますけれども、健康被害に関する情報共有のあり方について、やはり非常に課題があったというふうに考えております。
そのことによってさまざま、ある意味での信頼関係、そういったものが、非常に難しい状況にあるのだということも地元からもお伺いしましたので、そういった最も皆さんの関心の高い健康被害に対する初期の対応についての問題点、これは指摘させていただいたところであります。社長からもその点について謝罪もあったところです。
ただ、まずは今、現状起きたことに関する対応を取り急ぎやらなければならないということがありますので、特に流水の関係は、その基準濃度を上回っている状況がありますので、今これ(防止)をまず、速やかにやらなければいけないと思っています。
もう一部、この作業はスタートしますけれども、その上でこの蒸気が噴出している状況が長期化しないように、これをやりながら、さらにやはり原因を究明していく、これは専門家にもしっかりご助言もいただきながら、国にも入っていただいて、実はこれ、全国的にも事例として今まであまりないようなケースでもありますので、しっかり原因を究明し、そして国をはじめとした関係機関と協議していく、このことが必要であるというふうに考えています。
道としてできることをしっかりやっていく。このことをまずは皆さんと共有した上で、しっかり取り組みをしていきたいというふうに思っています。
(日本経済新聞)
やはり今回の問題の一義的な責任は、現時点でも会社側のほうにあるというふうに、知事としてもお考えということでよろしいでしょうか。
(知事)
そうですね。今、会社としてさまざま対応いただいているところではあるのですが、その対応状況にさまざま課題があったのは、事実ではないかと思っています。
ただやはり、これは会社だけで対応できる課題でもございませんので、国、そしてわれわれ道、さらには今窓口でさまざまな声を受けていただいてるのは蘭越町なのですが、こういった関係の皆さんと共に、18日にも一堂に会して、この会議を行ってまいりますが、そういった場面なども含めて、しっかりとそれぞれが役割を果たしていく、このことが大事だと思います。
(日本経済新聞)
最後にもう一点なのですけれども、先ほど知事からも、温泉法に基づく指導をしていくということもおっしゃっておりましたけれども、今後、北海道として、何かしらの行政指導とか行政処分のようなものが出せる、そもそも出せる権限があるのか、出せる権限があるのだとすれば、そうしたものの発出もですね、道として検討されていくのか、その辺の対応はいかがでしょうか。
(知事)
今、必要な指導を行っています。これは温泉法に基づく部分で言えば、この数値が基準を超えて(水が)流出しているわけですね。このことをもって、そういった必要な措置を求めることができるということに法律上なっていますので、その点については、事業者に直ちに求めながら、今まさにそのことを受けて、この水を違うところに移送しようと、道道の許可だとかそういったものも速やかに行いながら、もう既に始まっています。ただ、これはまだ一部なのです。ですので、そこをしっかり、速やかにやっていただく。このことが大事だと思っています。この噴出している部分については、(止まるのは)8月下旬にもということで、事業者としてはお話ししているということでありますけれども、それをできるだけ早くしていくのももちろんですが、今まずやらなければいけないのは、この水がどんどん出てしまっていますので、これをしっかり移して管理していく、これが大事だと思っています。これは法に基づくそういった措置を講じるようにということでお願いしていますので、ここはしっかり道としても(役割を)果たしていくことが大事だと思います。
(朝日新聞)
蘭越町の関係で、他社さんもお尋ねになった点にちょっと追加で確認なのですが、自然公園法であったり温泉法であったり、これは知事としての許可というプロセスを経ています。そういった意味で許可した、まず掘削を温泉法に基づいて許可した、自然公園法において許可したと、そういう意味での責任であったりとか、あとは今後の検証、許可に至るまでの検証について、どのようにお考えなのかというのをまずお伺いします。
(知事)
今二つの観点でお話がありました。国定公園内でのそういった地熱開発という形にもなっています。ここ(自然公園法)でいうところのいわゆる景観上の基準などのお話。それと採掘許可については温泉法に基づく許可、これがありますので、それぞれについて、当然申請に当たってのルールといいますか、守っていただかなければならないことがあります。この採掘の許可に関して言いますと、温泉法に基づく専門家の意見を伺っていくということなどの適正な手続きを経て、(道が)許可を行ったものであります。
しかしながら、現在、この蒸気が噴出しています。流水が発生しています。こういうことを踏まえて、それらの防止に向けて関係機関が連携して、今全力で対応に当たっているところであります。その上で、過去にこういった事例というのが、なかなか国内において確認することが難しい状況にありますけれども、原因についてはしっかり、専門家を交えた上で究明していく、これが重要だと思っています。そして地熱の活用という観点でいいますと、北海道のポテンシャルは非常に高い状況があるのですけれども、温泉法が適用されますのは、北海道だけの話でもございませんので、そういった意味では、国をはじめとした関係機関でこの原因を究明しながら、さまざま協議をしていくことが必要ではないかと思っています。ただ、まだ状況が全て明らかになっている状況ではないものですから、今の時点で、どういった対策が全国的に講じられるべきなのかということは、まだはっきり申し上げることはできないかなと思っています。
(朝日新聞新聞)
今、知事がおっしゃった点で一つ付け加えますと、環境審議会温泉部会というのは、非公開で、議事録も一切公開されず完全にブラックボックスの中での審議で、それに基づいて許可が出ているので、今後、原因究明であるとか審議過程について、外部からは見えないので、ぜひ内部でしっかりと検証して、再発防止をお願いしたいと思います。
(知事)
温泉部会の中で、今回非常に注目されている案件でもありますから、今後、原因をまずしっかり明らかにしていかなければいけないということがありますので、そういったところについては関係者と共に、多くの関心を持っている皆さんに、しっかり情報が提供されるような形で原因究明などを行って、分かってきた内容についても共有していく、これが重要だと思っています。
今後の対応などについては、法律を所管する環境省をはじめとして、関係する省庁などにおいても協議していく必要があるかと思いますので、多くの方との情報共有のあり方、これを関係者間で議論する必要があるのではないかなと思います。
(HTB)
蘭越町の蒸気噴出の件で質問させていただきます。まず、これまで9人の方が体調不良を訴えていらっしゃいますが、この点について受け止めを聞かせていただいてもよろしいでしょうか。
(知事)
まず、健康被害を訴えていらっしゃる方が増えていますね。この因果関係なども含めて、会社においてもさまざま受け止めているのだと思いますが、繰り返しになりますけれども、まず初動の中で、そういった健康被害を訴える方がいたわけですけれども、その情報共有について、やはり対応が誤っていた点があったのではないかと思っています。
そのことによって、やはり正しい情報が会社側から町民の皆さまや、町に対して伝わらない、そういう状況なのではないかという、この信頼関係、ここが非常に課題になったと、地元からも声を聞いているところでありますので、このことをしっかり重く受け止めて、対応していっていただきたいと思っています。
(HTB)
もう1点お聞かせいただきたいのですけれども、北海道は再エネの宝庫とも言われていますが、今回は地熱発電に向けての調査段階での事案でしたが、ほかにも小樽市、余市町の風力発電の事業でも、地域からの反対があって中止となったりしていますが、今回の蘭越町の件も含めて、知事が掲げる「ゼロカーボン北海道」への影響は、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。
(知事)
北海道がそういった再生可能エネルギーのポテンシャル、これがわが国随一であるということは、地域振興につなげていく、また道民の皆さまの豊かな暮らしを確保していく観点からも、これは非常に北海道の強みですし、重要な視点であるということに変わりはないと思っています。
ただ、この再エネを活用する、特に事業者の皆さまにおいては、この事業の実施に当たって、やはり地元の皆さんの理解、そして、環境に十分配慮していく、そしてその上で、この豊富な再エネを活用していく、推進していく、このことがやはり大前提であります。ですので、まずは今回の件について言いますと、町、国、事業者、専門機関も参画したこの連絡会議、北海道も当然参画してやっていきますので、しっかりこの原因を究明していく、今回の件はどういった事態で起きたのかということをしっかり究明した上で、このような事態が繰り返されないように取り組んでいく、このことがやはり重要だろうと思っています。再エネのポテンシャルがやはり高い中で、これをしっかり生かしていく、このことは引き続き重要なことだと思っています。
(HTB)
道として今後、再エネ事業に関する今後の方針でしたり、何か規制する条例を作る考えというのは、今のところございますでしょうか。
(知事)
今回の件で、先ほど申し上げたような温泉法のお話など、やはりさまざま許認可に係る対応としての、さまざまな原因を究明した上での今後の対応については、国なども含めて協議していく必要があるのかなと思っています。
(共同通信)
マイナンバーカードを巡るトラブルについて質問なのですけれども、北海道では札幌市で登録ミスが発覚していると思うのですが、それ以外に北海道内のトラブルについて、現時点で把握していることがあれば教えていただきたいという点と、マイナカードと保険証の一体化、あとそれに伴う保険証の廃止についてですね、知事ご自身のお考えをお伺いしたいなと思います。
(知事)
トラブルの事例の状況は、今、手元に(資料が)ないものですから、後ほどお渡しします。その上で、マイナンバーカードなのですけれども、まずマイナンバーカードとマイナンバー制度があるのですけれど、マイナンバー制度については、やはりこれはデジタル社会の基盤であると考えていますし、マイナンバーカードについても、デジタル社会のパスポートということですけれども、そのこと自体がいらないよ、ということではないと私は思っていまして、このマイナンバー(制度)、マイナンバーカード、これは必要なものだと思っています。
ただ、これは今、保険証の話ですとかいろいろあったのですけれども、国民の信頼を得て、理解を得てやっていくというのが大前提の話だと思っています。いろいろなトラブルが起きていることによって、非常に不安だという声も多くの国民から出ているのも、やはりこれは真摯に受け止めなければならないことだと思っています。その上で、国として今回、総点検をやりますよということでありますけれども、これはですね、総点検をやると言ったら、国が何かいろいろやるのでしょうと思うかもしれないですけれど、結局、市町村や都道府県が必死にこのマイナンバーの手続きとか、いろいろなことをやっているわけです。ですので、総点検をするにしても、それを円滑に進めるためには、市町村ですとか都道府県が、しっかり一緒になってやっていかないとできません。国に対しては、全国知事会として、総点検はどのような作業工程でやっていくのか。やってくださいと言われるのが市町村や都道府県なので、どういうふうにやっていこうとしているのですかということと、自治体の負担ですよね。このマイナンバーに係るいろいろなことを市町村、都道府県がやっているのですけれども、今回の総点検に関しても、自治体の皆さん、総点検をやってくださいということで、あとはお任せしましたと言われても、負担が生じるということになります。それをどうするのですかという話になるので、そこ(負担)をしっかり配慮してほしいですよということ。あとやはり、何より実際に窓口とかやっているのは市町村なものですから、その現場の声にぜひ寄り添って、この総点検というのをやってほしいということで、緊急でこの3点を国に申し入れしました。ですので、まずは国民の皆さんの不安が払拭される、丁寧な説明を国にやってほしいというふうに思いますし、今回の総点検についても、今申し上げたような3点をはじめとして、自治体としては今度国からどのようなものが来るのかなとなっているものですから、こういうものも明らかにしてもらって進めていく、このことが重要だと思っています。
(日本農業新聞)
次世代半導体工場をラピダスが千歳市内に建設することが公表され、道内では経済効果などが期待されています。一方、半導体工場のうち、2025年稼働を目指す試作ラインでは、1日4千立方メートルの水が必要とされ、取水も排水も千歳川水系で行われます。
千歳川は農業用水としても利用されており、取水、排水で農業への影響が出る可能性も指摘されています。また半導体工場では、一般に分解しづらく発がん性が指摘される有機フッ素化合物、PFASを使用しており、ラピダスの工場においても排水に含まれる可能性があるのか産地は気にしています。こういった水についての農業分野での懸念に対する受け止めと、今後の対応をお願いします。
(知事)
今お話がございましたけれども、まず、このラピダス社のパイロットラインに必要な用水については、千歳市において市の上水道から供給します。排水については、法令に定める基準値を満たすように、ラピダス社で処理を行った上で、市の下水処理場に接続して、千歳川へ放流することを検討しているということであります。なお、このラピダス社の説明では、有機フッ素化合物、先ほどありましたPFASに関しては、人の健康への影響を及ぼす可能性が指摘されておりますPFOS、PFOAについては、既にこの半導体の製造材料から全廃されていて、工場に持ち込むことはないということで説明を行っています。また、その他のPFASについてでありますけれども、これは現在、国が専門家会議を設置して、科学的根拠に基づく総合的な対応の検討などが行われています。
いずれにしても、道としては、千歳市、ラピダス社などと緊密に連携いたしまして、今申し上げた国の専門家会議の検討状況も注視し、環境保全対策、これが確実に実施されるように対応していきたいと考えています。
(日本農業新聞)
次に脱脂粉乳の過剰在庫問題などを背景に、生産者団体が生乳の減産を進める一方、飲食業界の消費が新型コロナ禍から回復してきたことで、今後長期的には業務用バターなど、需要の大きい乳製品が不足するのではという懸念も出ています。今後、生乳や乳製品が不足するのかどうかの見通しと、生産者団体による減産の取り組みへの受け止めについて教えてください。
(知事)
今お話ございましたけれども、Jミルクが5月に公表したものですが、インバウンドをはじめとして、牛乳乳製品の需給見通しについては、消費の回復傾向もあります。スイーツやお土産向けの需要の多いバターについては、業務用を中心に回復してきているということがあります。
一方で脱脂粉乳については、家庭消費の多いヨーグルト向けを中心に、需要の低迷が続くと見込まれているということであります。こうした状況の中で、生産者団体の皆さまは、生産抑制の取り組みによって、この生乳需給の改善に着実に取り組んでいるということがあります。
道としては引き続き、この需給の改善が進むように、国に対し、全国的な需給調整の確実な実施を求めていくということと、関係機関、団体と連携しながら、牛乳はもちろんのことなのですけれども、スキムミルクを使った料理レシピ、こういったものをSNSなどで発信して、牛乳乳製品の消費拡大に努めていくことなど、酪農家の皆さんが安心して生産できるように、道としてしっかり取り組んでいきたいと考えています。
(北海道新聞)
観光振興税、いわゆる宿泊税についてお聞きします。知事は検討の再開に当たって、新たに有識者の会合を立ち上げる考えを示していらっしゃると思うのですけれども、具体的にこれはいつから始めるお考えなのか、お願いします。
(知事)
観光振興を目的とする新税ですけれども、高度化、多様化する観光ニーズに的確に対応していくためには、新税による安定的な財源の確保、これが必要だというふうに考えています。今般、コロナ禍で中断していた検討を再開することにしました。
新税の導入に当たっては、何より納税していただく皆さまをはじめ、関係する事業者の方々のご理解が必要であります。検討の再開に際して、有識者のほか、観光関係団体の代表者の方々で構成いたします懇談会、これを新たに設置いたしまして、あらためて意見をいただくということにしています。今後は、この懇談会でのご意見はもとより、幅広い関係者の皆さまのご意向などもお伺いしつつ、関係する市町村とも十分調整を図りながら、丁寧かつスピード感を持って検討を進めて、道の考え方をできるだけ早期に取りまとめていきたいというふうに考えています。この懇談会の開催の日時については、まだお知らせできる段階ではございません。
(北海道新聞)
関連して知事のご認識を伺いたかったのですけれども、今後の議論というのは、コロナ前の懇談会の取りまとめというのがベースになっていくと思うのですが、道内の自治体であったり、観光分野の研究者の方にお話を伺っていますと、道に対しては、宿泊行為に対する税ではなく、道外からの来訪に対する税、入域税であったり入道税と呼ぶのがいいのかあれですけれど、そういったものについて考えてほしいというような声も取材の中では耳にしております。今後の懇談会の中では、これまで同様に、宿泊に対する税の制度設計というのが前提になってくるのか、もしくはもう少し幅広に、入域税のようなものもこの議論の対象になり得るのか、そのあたりのお考えをお願いします。
(知事)
これはですね、令和元年度に設置した有識者懇談会で、その具体的な内容について議論いただきました。宿泊税として全道一律の定額制とすること、宿泊料金に応じた免税点は設けないこと、市町村が導入する場合には独自に条例を定めること、こういった方向性が望ましいというご意見を取りまとめていただいたという経過があります。
今後の検討に当たっては、前回のこの懇談会での取りまとめをベースとしつつ、コロナ禍を通じた社会経済情勢の変化、こういったものなどがありますので、ここを踏まえて、道の考え方をあらためて取りまとめていきたいと思っています。
そして今、市町村の声などのお話がありました。有識者のほか、市町村にもオブザーバーとして参加していただくということを、この懇談会では検討しているところであります。この懇談会とも並行して、道と市町村による意見交換の機会を設けるということも、検討しているところでありますので、そういった必要な調整を図りながら、取り組みを進めていければと考えています。
(北海道新聞)
昨日、道内のヒグマの研究者らでつくる「ヒグマの会」が知事に面会し、ヒグマ対策に関する提言書を渡しました。提言書の内容としては、各振興局に野生動物対策の専門職員を配置することや、道内の小中学校でヒグマについて学ぶ授業を行うことなどが盛り込まれています。その後、「ヒグマの会」の会見でも指摘がありましたが、現在、振興局には専門知識を持った職員が不足し、昨年度設立された道のヒグマ対策室の人員は4人です。道として今後、ヒグマを中心に野生動物(対応)の組織体制を強化する考えがあるか教えてください。
(知事)
まず、「ヒグマの会」の皆さまからグランドデザインという提言を受けました。本当に「ヒグマの会」の皆さんには、対策についてこれまでもさまざまご助言などもいただいてきたところであります。昨今、各地でヒグマの出没が多発しているところです。人身事故も発生するなど、道民の皆さまの安全、安心な暮らしを守る上で、かつてないほど軋轢が高まっている、そういう事態であります。こうした中、道といたしましては、今後速やかにヒグマ保護管理検討会を開催したいというふうに考えています。そして、「ヒグマの会」の皆さまからご提言がありましたグランドデザインについても、この検討会で共有して、ヒグマ管理計画の内容が現状に対応しているのかどうか、確認していくということをやらせていただきたいと思っています。それとともに、今回、新たに実施しました春期管理捕獲、そして問題個体の速やかな排除、こういったことなど計画に基づく施策があるのですが、この施策に必要な対策などについてご意見をいただいて、改善や強化を図っていきたいと考えています。そして、今回ご提言いただきました中で、ゾーニングですとか、今ご質問にありました体制づくりなどについても、やはりこれはできるところから取り組んでいくことが重要だというふうに考えています。「ヒグマの会」の方々にも、さまざまこれまでもご協力いただいてきましたけれども、引き続きお力添えいただきながら、皆さまと力を合わせてですね、道民の安全、安心な生活の確保を図っていければと考えています。
(北海道新聞)
確認だったのですけれども、今の知事のお話の中でありましたグランドデザインを検討会で共有し、現状に対応しているか考えていくというのは、これは確認なのですけれど、現在の管理計画というのが、現状に対応していくか考えていくという理解でよろしいのでしょうか。
(知事)
現計画についてはですね、「ヒグマの会」の皆さんともお話ししたのですけれども、この計画自体については一定の評価をいただいているのです。ただですね、やはりこの計画を実行していく上で、必要な改善や強化、こういったものもさまざまご意見をいただきながらやっていく必要があると思っています。今回、グランドデザインということで提言を受けましたので、まずこれを、ヒグマ保護管理検討会というのがありますので、これを速やかに開催した中で共有して、今の計画が現状に対応しているか確認するということをやっていきたいと思っています。その上で、ご意見をいただいた上での改善、強化を図っていきたいというふうに思います。
(北海道新聞)
現状に対応していくか確認していくということは、今の管理計画を見直す考えがあるということなのか、それとも現状のこの検討会、管理計画というものは、もうこれで大丈夫だというふうに、昨日もですね、記者会見の中で「ヒグマの会」の方たちも言っているのですけれども、そこを強化するための道の体制を考えていくという理解でいいのでしょうか。
(知事)
これは速やかに、この検討会自体を開催したいと思っていますけれども、現状がこの計画内容に対応しているかどうかの確認については、今年度中に確認していきたいというふうに考えています。先ほど言ったように、できるものについてはしっかり早くやった方がいいと思いますので、やりながら、計画自体の評価も「ヒグマの会」にいただいていますから、そういったまずは確認する、これが大事なのではないかなと思っています。
(毎日新聞)
道内発着の国際線のことについて伺いたいのですけれども、中国便が今週、先週、再開しまして、コロナ前と比べると便数ベースで30パーセントぐらいになったというふうに聞いているのですけれども、この再開に対する期待感ですとか、あと副知事が来週というか明日からですかね、中国に行かれて、増便を求められるというふうに聞いているのですけれども、その辺、今後中国便に限らずですね、道として再開に向けてどういうふうに取り組んでいかれるかというのを教えてください。
(知事)
今ご質問にあったとおり、今月に入って、春秋航空による新千歳・上海線、中国国際航空による新千歳・北京線、これが再開されました。このことはこのインバウンドの皆さんに本道にお越しいただけるという観点から大変嬉しく思っています。このコロナ前はですね、中国本土から年間70万人以上の方が北海道にお越しになられていましたので、そういった意味では今回の再開というのは一つ大きな節目かなというふうに思っています。
質問にありました浦本副知事を団長に、今回、中国国際航空などの関係機関に対しまして、再開のお礼などをお伝えし、今後の増便や路線の拡大などの協力に対してお願いする予定でもあります。この国際線の本格的な回復を見据えて、北海道エアポート、そして地元の自治体などと連携して、航空会社への働きかけを強化していきたいというふうに考えています。
また、これは大事なポイントですけれど、インバウンドのみならず、アウトバウンドも含めた、双方の需要の創出を図る取り組み、これを進めていかなければならないということでございます。さらなる国際線の再開や就航に向けて取り組みを進めていきたいというふうに考えてます。
(日本経済新聞)
先ほど他社さんからもあった宿泊税に関連して一点なのですけれども、道内では、倶知安町など既に宿泊税を独自に導入している自治体、また、独自の導入を検討されている自治体もあるというふうに取材上でも話が出ております。例えば、既に宿泊税を導入している福岡県とかですと、県が宿泊税を導入する一方で、例えば既に市も導入している福岡市とかで導入している場合は、県と市でその同じ金額を分け合うというか、多少、広域自治体である都道府県と地元の基礎自治体、ないしは政令指定都市が連携して、税額、税率を決めている例もあるようです。北海道の場合、具体的な議論は今後の有識者の懇談会で話されるものと承知しておりますが、現在の知事のお考えとして、そうしたある意味、その地元自治体と二重取り状態になる可能性になる場合に、そういったケースについてどういうふうに対応していくべきだとお考えなのかお聞かせください。
(知事)
これは令和元年に設置した有識者懇談会におきましても、今他県の事例がでましたけれども、同じような議論が当然あったのですね。その中で、望ましい方向性については、まず令和元年度に設置した有識者懇談会で意見の取りまとめをしていただいています。ですから、ここはベースになるということです。さらに、ただ状況変化としてコロナ禍を通じて、この社会情勢の変化などもありますから、こういったことも踏まえた中での考えの取りまとめは今後行っていきますし、また、市町村の皆さんとの意見交換の機会、こういうものも並行して設けながらやっていきたいと思います。
(北海道新聞)
今日で道議会が閉会した関連で伺うのですけれども、道が道議会とですね、事前に質疑の文言を細かくすり合わせる、いわゆる答弁調整について伺います。知事は今回のこの定例会で答弁調整というのは無かったというご認識でいらっしゃいますでしょうか。
(知事)
答弁準備ということで、必要な対応は、議会とそれぞれ理事者側がですね、ルールがありますので、それをしっかり徹底した上で対応していただくように、今定例会におきましても、各部局にそこは指示しているところです。
(北海道新聞)
仮にですね、知事はその答弁調整を巡って、今もご発言がありましたけれども、2019年6月に見直しを表明されて、各会派もですね、今おっしゃったようなそのルールに基づいてやられているということだと思うのですけれども、弊社でですね、今定例会も含めて、道が事前に示した複数の答弁要旨をですね、入手して確認したのですけれども、本来のルールではですね、簡潔な箇条書きにするということなのですけれども、こちらで表現ぶりを確認させていただいたところ、体言止めである以外は明らかな文書と言えてですね、かなり詳しい内容が事前に示されていることがわかりました。
また、ある会派の幹部の証言ではですね、これも見直しの内容に反して、再質問の質問骨子を求める道職員の方もいるようです。本当に、この見直しが遵守されているのか疑問と言える状況なのですけれど、知事はこういう状況をご存知かということと、現状の認識を教えてください。
(知事)
一言一句ですね、すり合わせているという部局があれば、それはルールに沿って適切に対応するようにということで、改善を徹底していきたいというふうに考えています。
(北海道新聞)
知事は元々この関係ではですね、19年の知事選で、自身の夕張市長時代のご経験もあって、道議会のこの答弁調整に違和感があって、道民がそうだよねという方向にすべきだとの認識を示されて、当選後に、まさにこういう見直しに至ったと記憶しているのですけれども、こういう議会活性化のために見直しというのが必要であるという思いは変わらないのか、それともですね、実際に知事になられて4年経ったわけですけれども、やはりこの道議会を経験されたら、どうしても細かな事前調整、答弁調整というかは別にしても、そういうものがやはり必要だという考えに至っているというところがあるのか、ここは本当に基本的なことを確認させていただきたいのですけれど。
(知事)
答弁準備はですね、これは必要だというふうには思っています。やはり広範にわたる質問が出てきますので、やはりしっかりどういう趣旨なのかということを確認しながらですね、限られた時間の中で答弁をしていく上で、各会派の皆さんとこの令和元年に確認した、これをしっかり守りながらですね、やっていくということは必要だということは、就任して今5年目になりますけれども、そこは変わっていません。
ただ一方で、そういう一語一句ですね、そういうところがあるのではないかというご指摘に対しては、やはりそれはルールをですね、ちゃんとみんなで守っていこうということを徹底するということで対応していくしかないというふうに思います。
(北海道新聞)
最後にもう一つだけ、知事はこの定例会、今回の定例会もそうですけれども、自分の言葉でこう答弁をしているというご認識はありますか。
(知事)
知事答弁については全て、当然私が、しっかり各部局とすり合わせをしてですね、表現についてやっていますので、400問とか何百問、全部暗記してですよ、それをお話しするということはなかなか難しいものですから、当然原稿も目を通しながらお話ししますが、もっとこういった言葉でですね、自分としては伝えたいのだと、そういうこともきちんと(各部局に)お話ししながら、当然のことですけれどやっておりますので、そこはしっかりやっていきたいなというふうに思います。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責:広報広聴課)