知事定例記者会見
- 日時/令和5年8月4日(金)15:32~16:16
- 場所/記者会見室
- 記者数/16名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
- 大雨への警戒について
- 新型コロナウイルス感染症対策について
- 北海道と熊本県との半導体関連産業に関する連携強化について
- 「北海道花の日」について
記者からの質問
- 次世代半導体について(1)
- 次世代半導体について(2)
- 次世代半導体について(3)
- 次世代半導体について(4)
- 洋上風力発電を巡る収賄容疑について
- 新たな観光財源について
- 高レベル放射性廃棄物の最終処分について
- ゼロカーボン北海道推進基金について
- いじめ重大事態に関する調査報告について(1)
- いじめ重大事態に関する調査報告について(2)
- 「プレスト1・7」について
知事からの話題
大雨への警戒について
はじめに、私から四点お話しさせていただきます。
まずは、大雨への警戒についてであります。道民の皆さま、そして道内にお越しの皆さまに注意いただきたい点について、お話しさせていただきます。
道内では、昨日から道北方面で激しい雨が降っております。羽幌町、豊富町など、降り始めからの総降水量が100ミリ近くに達する大雨となっているところがあります。稚内市などでは一時、自主避難所が開設され、JRにも運休が発生しているところです。気象台によりますと、日本海側やオホーツク海側北部を中心に、今後も断続的に雷を伴った激しい雨が降り、降り始めから明後日にかけての総降水量が、8月の平年の1ヶ月の量を超える恐れがあります。今後の雨による低い土地の浸水や、土砂災害、河川のはん濫に警戒が必要な状況にあります。
道では昨日、本庁と振興局のほか、気象台や開発局、自衛隊などの防災関係機関と会議を開催し、今回の大雨への対策を確認したところでありますが、道民の皆さまの安全・安心を確保するため、引き続き、市町村や関係機関の皆さまと連携して、災害対応に万全を期してまいります。
夏休みの期間を迎えています。多くの方々が、旅行などで道内にお越しいただいているところでもあります。その地域の状況にも不慣れな場合があるかと思います。道民の皆さまをはじめ、こうした道内にお越しの皆さまにおかれましては、お住まいの地域はもとより、訪問先の地域の気象情報や交通情報をご確認いただくとともに、市町村から出される避難情報などに十分注意をされ、身の安全を確保する行動をとっていただくよう、お願いいたします。
新型コロナウイルス感染症対策について
二点目であります。新型コロナウイルス感染症対策についてです。
新型コロナウイルス感染症が(感染症法上の)5類に移行してから3カ月が経過しようとする中、本道の感染状況でありますが、おおむね横ばいの状況が続いているわけでありますが、昨日公表の7月24日から30日までの報告数は8.83となっております。全国を下回っているものの、緩やかな増加傾向にあります。
こうした感染状況等に鑑み、記者の皆さまにも資料を配付させていただいておりますが、道では、夏の感染予防対策リーフレットを作成いたしました。北海道医師会と協働して積極的に広報してまいります。夏休みに入り、これからお盆の帰省や各種イベントなど、普段会わない方との接触機会が多くなりますので、道民の皆さまには、手洗いなどの手指消毒や換気など、基本的な感染防止対策に取り組んでいただくとともに、体調不良を感じたときは無理せず静養するなど、健康管理に十分気をつけていただくようにお願いをいたします。また、体調不良時に備えて、解熱剤や食料品など必要な生活用品についても、あらかじめ用意いただきたいと思います。こういった内容の注意喚起を、マスコミの皆さまを通じて広く道民の皆さまに周知していきたいと考えておりますので、皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。
また、コロナ以外の感染症でありますけれども、いわゆる小児の夏風邪が流行しているところです。まず、RSウイルス感染症についてでありますが、2歳までにほとんどの子どもが感染すると言われる感染症であります。発熱や咳など、風邪に似た症状を伴うものであります。道内におきましては、おおむね横ばいの状況が続いているわけでありますが、過去3年の同時期では、令和3年に次いで2番目に多いという状況になっています。また、ヘルパンギーナは、夏に乳幼児を中心に流行する感染症になります。発熱のほか、咽頭痛や口腔内の水泡の出現が主な症状であります。道内においては、過去3年間の同時期と比較いたしますと、こちらはかなり多い状況になっています。現時点で、19の保健所が国の警報基準値を上回る状況など、感染の広がりを見せています。いずれの感染症につきましても、飛沫感染、接触感染により伝播するため、道民の皆さま、特にお子さんのいるご家庭の皆さまには、これらの予防策として、手洗いやうがいのほか、子どもが日常的に触れるおもちゃの消毒、集団生活の場ではタオルの共用を避けるなど、ご家庭などでの取り組みをお願いいたします。
道としては、この夏の感染拡大にしっかりと対応できるように、引き続き地域の状況に注視しながら、道民の皆さまへの的確な呼びかけなど、感染拡大防止に向けてさまざまな取り組みを進めていきます。
最後に、この3年半もの長きにわたる厳しい環境の中において、新型コロナの医療に最前線で従事された方々への支援を目的に、令和2年4月に募集を開始いたしました寄附金「エールを北の医療へ」については、これまで約13億9千万円もの温かなご支援をいただきました。医療従事者の皆さまへの感謝品の贈呈などに活用させていただいたところでございます。こうした中、新型コロナの5類移行に伴いまして、季節性インフルエンザと同様に、幅広い医療機関が診療する一般的な医療体制に移行していくことに鑑み、8月末をもって、コロナ関連に限定した寄附金については閉じることといたしました。現在の積立額の活用については、引き続き、医療従事者の皆さまの支援につながるものを検討しております。これまでご寄附をいただいた方々、現在も患者の対応に当たられている医療従事者の方々には、あらためて感謝を申し上げます。また、コロナ医療に従事された方々への応援に代わりまして、医療全般を視野に、「エールを北の医療へ」を、本道の多くの医療課題に応援いただける仕組みとして、継続を検討していきたいと考えています。
これが二点目でございます。
北海道と熊本県との半導体関連産業に関する連携強化について
三点目です。
ラピダス社の立地が決まった2月以降、台湾の半導体メーカーTSMC(台湾積体電路製造)が進出する、半導体関連産業の先進地であります熊本県と情報交換を続けてまいりました。そうした中、共通の課題などもあることから、半導体に関連する事業を推進する上で、密接な連携を図ることで認識が一致し、連携協定の締結に向けた協議を行ってまいりました。このたび、一昨日でありますが、熊本県を訪問させていただいて、双方の産学官関係機関のトップの皆さまのご同席の下で、半導体関連産業に関する連携強化に向けて、協定を締結させていただきました。
国においては、北海道と九州を東京(圏)と大阪(圏)に次ぐ第3、第4のデジタルインフラの中核拠点に位置づける中、道としては、今回の協定締結が北海道と熊本県の連携、交流拡大に向けた第一歩となり、両地域の経済の活性化が図られること、そして、我が国の経済安全保障への貢献はもとより、国民の豊かな暮らしと経済の実現につながることを期待するものであります。
また、10月14日から21日までの1週間を「北海道・熊本県観光交流ウィーク」と銘打ちまして、14日に札幌市、21日に阿蘇くまもと空港で観光交流イベントを開催することといたしました。札幌会場には蒲島知事も参加いただけるとお伺いしております。このほか、県と道で連携して、航空会社、マスコミ向けのセールスコールや、お互いのSNSを活用しPRを行うなどの観光交流を、より一層進めていきます。
熊本県には、TSMCの関連で多くの台湾の方々が滞在される予定ということであります。台湾の方々には、昨年度は、韓国に次いで多くの方々が北海道にお越しいただいております。台湾の方、北海道に大変強い興味を持っていただいておりますので、北海道はぜひ訪れたいと思う場所ですという声もいただいています。北海道と九州を結ぶ航空路線については、現在、福岡間で運行しています。ビジネスと観光両面における交流が活性化しまして、かつて直行便が熊本県とあったのですけれども、熊本県との直行便の運航につながれば幸いだと考えています。
「北海道花の日」について
次、四点目でございます。最後です。
毎年8月7日は「北海道花の日」ということになっています。こちら私の横に花のアレンジメントがあります。ちょっと皆さん、わからないかもしれませんけれど、北海道の形になっているのです、この花。わからないですかね。なんとなくうなずいてくれている方もいますけれど。先ほど、花キューピット北海道ブロックの皆さまから贈呈いただいたものなのですけれども、すべて道産の花を用いております。北海道で生産される花については、色の鮮やかさですとか、日持ちの良さなどで、市場から高く評価いただいております。夏場は、北海道は主な産地となっているわけであります。
北海道では、令和2年7月に、「北海道花きの振興に関する条例」を制定させていただいて、毎年8月7日を「北海道花の日」とさせていただいているところです。「北海道花の日」では、「HOKKAIDO+1(プラスワン)」ということで、「毎日の生活にお花をプラス」ということをキャッチフレーズといたしまして、花が身近にある豊かな生活を提案しています。来週7日、花の日でございますけれども、私も参加いたしまして、赤れんが庁舎の前庭において「北海道花の日キャンペーン」と銘打って開催させていただきます。北海道産のひまわりを先着500名の皆さまに無料配布することも行います。
条例を制定したのが令和2年でございました。コロナ禍の中で、家で過ごす時間、おうち時間が多くなったということで、花を贈り合うことが見直されたということがあったとお話をお伺いしました。一方で、やはりイベントの縮小などの関係で、花の生産者の皆さまが非常に厳しい状況にもありました。現在、5類に移行しまして、社会経済活動も徐々に戻ってきているわけであります。
道民の皆さまには、ぜひ花を生活の中に取り入れていただいて、素敵な毎日を過ごしていただくと。そして道産のお花をぜひ選んでいただければありがたいなというふうに思っています。報道の皆さまには、毎年、花の日にご協力いただいておりますけれども、北海道の花産業の応援ということでございまして、ご理解とご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
私からは以上です。
記者からの質問
(北海道新聞)
熊本県との連携協定の関係でお伺いしたいと思います。TSMC(台湾積体電路製造)のですね、工場建設が進んでいる熊本県では、道路の拡張や工業団地の整備などの事業を急ピッチで進めてきました。今後、道内でですね、ラピダスが工場建設するにあたって、道としても熊本県と同様にインフラ整備などの関連事業を急いでいくお考えがあるかどうかお伺いしたいと思います。
(知事)
インフラ、特にですね、用排水施設には巨額の負担が伴う状況もございます。そういった状況の中で、国に対する支援の要望なども北海道として行いながら、そのスケジュールにしっかり間に合うような形で取り組みを進めていきたいと思っております。また北海道、そして地元千歳市においても、(ラピダスの)進出にあって、今後、整理が必要になる取り組みなどもさまざまありますので、熊本県での課題、またその課題解決に向けた取り組みなどでも、連携できるところがあると考えていまして、今回の協定の中にも、国への働きかけ、要望なども一緒に行っていくということも項目として盛り込んだところでありますので、そういった取り組みをしながら実現をしていきたいと考えています。
(北海道新聞)
今、さまざま、今後ラピダスの進出に当たって、取り組みを進めていくというお考えを示されたと思いますけれども、この中に道路の拡張だとか工業団地の整備ということも念頭に置きながら、そういったものを進めていくのでしょうか。
(知事)
必要な道路などについては、今、2025年にパイロットラインをまずは稼働させていく、そして、2027年に量産をしていく、こういうスケジュールの中で、まずはパイロットラインを作って稼働させていく取り組みを進めつつ、今お話のあった道路やその他必要とされる機能などについては、地元の立地自治体の千歳市、そして国、ラピダス社ともさまざま課題を共有しながら、取り組みを進めていきたいと思います。
(日本経済新聞)
私からも半導体のところについてお伺いしたいと思います。ラピダスの工場建設、いよいよですね、9月1日の着工まであと1ヶ月を切ったところでございますけれども、あらためてですね、ここまでのラピダス誘致の段階、またその進出が決まってからの道の支援、あらためてここまでを振り返ってですね、知事の中でどういうふうに思われているのか、特にその印象的な場面とかですね、こういった出来事があれば、その北海道に半導体が進出していく意義も含めてですね、あらためて知事の所感を伺ってもよろしいでしょうか。
(知事)
まずラピダス社が設立され、北海道千歳市に立地を表明していただいてから現在に至るまで、非常に多岐にわたるさまざまな取り組みを道としても進めてきました。体制の構築や、また関係する皆さまとも連携をしながら、製造、研究、人材の育成の一大複合拠点を実現するために、必要となる取り組みをさまざまなレベルで進めてきたところです。
そして国家プロジェクトとして進めていく上で、「骨太の方針」への記載など、国としての考え方を明確に打ち出していただくといった要望活動、さらに先ほど冒頭で申し上げた話題の中で触れましたけれども、九州や北海道が、デジタルインフラにおける中核拠点として、半導体デジタル産業戦略の中間取りまとめに位置づけられるなど、さまざまな動きがこの間ありました。非常にスピードを求められる取り組みでありますので、今後とも、先ほど申し上げた2025年のパイロットラインの稼働、また2027年の量産といったスケジュールに間に合うように、関係機関、関係者としっかり連携して、これからも取り組みを進めていきたいと思っています。
(日本経済新聞)
先ほど、ちょっと他社さんの質問と少し重複してしまうのですけれども、これからですね、着工して、そして工場建設が進んでいく中で、道としては、半導体産業を推進するための方針は年度内にまとめられると思うのですけれども、まず最初に、この工場建設する中で、道として取り組まれるインフラ整備、支援はどういったものになるのか、現状で伺えるものをお聞きしてもよろしいでしょうか。
(知事)
もう既に予算計上をしておりますので、今後、年度末までに、仮称の(北海道半導体産業振興)ビジョンを作っていくと。(デジタル関連産業の集積に向けた)推進方向はこの間作りましたけれども、それがまずあります。さらには今、課題となっている水の確保ですね。ここの部分については先般、スケジュールや考え方を示させていただきましたけれども、有識者懇話会を設置し、水の供給方法や建設工事のスケジュールなどの検討といったものを進めていくということを考えています。これらの予算も議決いただきましたので、こういった取り組みをまずはしっかり進めながら、それ以外の課題につきましても、引き続き共有しながら対応を進めていきたいと思います。
(NHK)
今の質問にもちょっと関連するのですけれども、知事がおっしゃった有識者懇話会の中で、先般、議会でもお示しもあったと思うのですけれども、水の確保について、パイロットラインではなくて、本格稼働した場合の水の確保を、その有識者懇話会の中で10月上旬にもというような話もありましたけれども、いつ決めるのかということについて、知事のご見解がありましたらぜひ伺いたいと思います。
(知事)
今、いただいた質問の前に少しお答えしましたけれども、有識者懇話会を設置して、検討を進めていくとさせていただきました。具体のスケジュールについては、8月上旬に(取水可能性調査の委託)業務を開始させていただいて、8月下旬から10月上旬にかけて、水源候補地の決定に向けて、3回程度、有識者からのご意見をお伺いしたいと考えています。また、この水源候補地が決定した後に、10月中旬以降からは、送水ルート等の検討を行います。そして、来年の3月中旬には、最終報告書を取りまとめるという予定のスケジュールで進めていきたいと考えています。いずれにしても、2027年の本格稼働がまず目標としてありますので、スピード感を持って検討を進めていきたいと思います。
(毎日新聞)
熊本県との連携協定の関連でちょっと伺いたいのですけれども、TSMCがですね、世界トップレベルというか世界トップのですね、技術を持った会社ですということで、技術とかノウハウを持った人材というのが熊本県の中にもたくさんいらっしゃると思うのですけれども、そういったところも含めて、今後、人的交流ですとか情報共有というのを進めていこうというお考えがあるのかというのを、ちょっと聞かせてください。
(知事)
熊本県の中でも、さまざま九州全体で人材育成に係る取り組みをやっています。また、熊本大学においても、大学としての人材の育成といったものを、まさに先駆的に取り組んでいます。そのへんもわれわれ今回学ばせていただいて、大学や関係者の皆さんも北海道から行って、共有いたしました。北海道においても、人材育成、確保を北海道経済産業局が事務局を担って行っていきます。また日本全体でも、いわゆる学術的機関がありますけれども、あれはLSTCですか、そういったところでまさに先進的な研究なども行っていきます。ですから、それぞれが役割を果たしながら、国家全体の話なので、熊本県とか北海道だけではなくて、ほかの県でも半導体については取り組みをしていますので、まさに日本全体(で取り組んでいく)。また、ヨーロッパ、アメリカなどとも、人材の交流をラピダス社はしていくわけですけれども、そういった取り組みもしながら、人材の育成、確保、また技術者、研究者の確保といったものは総力を挙げてやっていかなければいけないと思います。
(毎日新聞)
今回の連携協定を通じてですね、例えば道が今後目指される製造、研究とかの複合拠点にですね、TSMCの技術者を招くとか、そういったことも将来的には目指していきたいお考えとかあるのでしょうか。
(知事)
今の時点で、その辺は、道としては考えてはおりません。と言いますのは、熊本県の場合とは違うのですよね。TSMCの何か工場ができるわけではなくて、2ナノの線幅の(半導体を)国内主要企業が出資したラピダスという会社が作るという形でありますので、人材の育成、確保、特に研究部門、技術部門に係る確保については、ニューヨークに人材を送って、国の事業承認も受けて取り組みをしていますし、また、関係する企業との連携ということで取り組みを進めておりますので、そこは会社の判断として今後も行っていくのだと思います。ただ、半導体の人材育成という広い考え方で考えますと、そこの育成というのは当然、熊本県や九州、北海道、それ以外の地域も、それぞれほかのところも経済産業省の出先が事務局にもなっていますけれど、育成機能というのをやっていますので、そこは当然、各地域でしっかりやりながら、連携もとりながら、やっていくということになると思います。
(北海道新聞)
洋上風力発電を巡り、自民党の秋本真利衆院議員に、風力発電会社日本風力開発側から多額の資金が渡ったとされる疑惑で、東京地検特捜部が本日、収賄容疑で秋本氏の関係先を家宅捜索しました。日本風力開発は、石狩市沖で道内最大となる総出力300万キロワットの洋上風力発電所の建設を計画するなど、道内ともですね、事業で深い関わりがあります。この疑惑への受け止めと、知事が掲げる洋上風力の発電推進ですとか、各種事業への今後の影響についてどうご覧になっているか教えてください。
(知事)
まずは、私もこれをニュースなどで拝見いたしましたけれども、現在、捜査中ということでありますので、コメント自体は控えたいというふうに思っています。
いずれにしても、わが国では2050年のカーボンニュートラルの実現ということで、北海道におきましても「ゼロカーボン北海道」ということで、取り組みを進めています。その中で再エネの状況で考えますと、洋上風力のポテンシャルがわが国随一なのは北海道でありますので、これを活かしていくことの重要性については変わらないものでありますが、再エネの事業の推進にあっては、当然のことですけれども、透明性、公平性といったものを保ちながら進めていくことが必要だと考えています。
(日本経済新聞)
現在、道が検討を進めている観光振興税、宿泊税についてお伺いしたいと思います。先日ですね、宿泊税に関する有識者や観光団体関係者のですね、懇談会の初回の会合が開かれました。その際にですね、2020年の取りまとめの意見の集約の段階では、100円をベースにした考え方が案としてまとめられておりましたけれども、先日の懇談会の場では、複数の委員から、200円などですね、もうちょっと金額を引き上げるべきであるとか、一律ではなく宿泊料金に合わせて段階的に料金を設定するのも良いのではないかというような意見もあり、今後そうしたところで議論が進んでいくのかと思いますが、現段階でですね、知事として、料金、金額の水準感ですとか宿泊税のあり方について、有識者の方の意見も踏まえて現在の所感をお願いいたします。
(知事)
これは第1回の懇談会ということであります。コロナ前の検討経過を道のほうから説明させていただきまして、その後の社会情勢の変化なども踏まえた新税の使途や税制のあり方などについて、ご議論をいただきました。
今ご質問にありましたけれども、全道一律100円の定額制という案に対して、中長期的な視点から、安定財源を確保するためには、税額を引き上げることも必要ではないかというご意見や、今お話のあったご意見などもありました。この点は座長をはじめとする複数の委員から出たという報告を受けたところであります。
道としては、こうしたご意見も踏まえまして、納税者の皆さんの負担感なども考慮しながら、今後の観光施策の推進に必要な財源の規模や、そのための税額について、検討を進めていきたいと考えています。
(NHK)
寿都町と神恵内村の高レベル放射性廃棄物の最終処分場に関する件で質問させていただきます。先日、8月2日まで行われていた国のパブリックコメントに、道としても考え方を提出したというふうに伺っておりますけれども、あえてこのパブリックコメントに道としての意見を出したということの狙いとですね、また、来るべきタイミングでは、次の調査をどうするかという判断がまた迫られると思いますけれども、あらためてですが、現時点での、知事の今のお考えをお聞かせ願えればと思います。
(知事)
文献調査、また概要調査に関するという考え方などについては、たびたびですね、記者会見をはじめ、さまざまな場面でお話ししてきました。国では、寿都町、神恵内村で実施された文献調査の取りまとめに向けて、文献調査段階の評価の考え方の案を策定して、先月から広く意見募集ということでしています。道としては、高レベル放射性廃棄物の最終処分のあり方については、国民的な議論が必要な問題であると、国やNUMO(原子力発電環境整備機構)において十分な情報提供と丁寧な説明を行うべきであるということとともに、最終処分地の選定に当たっては、国が主体となって候補地を絞ることが必要であると考えています。このため、このたびの意見募集に対しては、道からは、NUMOが道内で実施する文献調査報告書に関する説明会の回数や場所の選定について、道の意見に最大限配慮すること、最終処分事業の全国での理解促進に向けた取り組みの加速、市町村からの発意を主とする選定プロセスの見直し、こういったものを求める意見を提出させていただきました。
今回、説明会の回数、場所の部分については、今までこの場であまり申し上げてこなかった点です。特に、文献調査報告書の内容を周知する説明会ですけれども、最終処分法の施行規則、省令において、報告書の縦覧期間である1カ月の間に、関係都道府県内で開催しなければならないということになっています。また、この説明会の日時や場所を決めるときは、知事および町村長の意見を聞くことができると規定されています。ですので、この1カ月間にやりますという状況で、期間が決まっているので、そういったことも踏まえると、北海道はほかの県と比べて広いわけです。さまざま関心を持っている町村もあるわけですので、やはりこれは広域分散という本道の特性も鑑みると、丁寧な説明になるようにということで、この回数や開催場所については、意見を提出しようということで、提出させていただきました。
(北海道新聞)
知事の看板政策のゼロカーボン基金に関してお伺いしたいと思います。今回ですね、100億円を積み立てるために、企業局の収益金から70億円、財政調整基金からですね、25億円を充当しました。企業局の収益金というのは施設改修にも使えるものですが、今回の基金への取り崩しで、大半を取り崩したと聞いていて、財政調整基金はそもそも災害などの不測の事態に対応するために確保しているものだと思います。先の道議会では規模ありきとしてですね、拠出方法を問題視する声もありましたが、なぜ今回の財調とですね、収益金を取り崩す必要があったのか、また拠出方法は適切だったのか、ご認識をお伺いできればと思います。
(知事)
これは以前、同様の趣旨のご質問もこの場でいただいたのではないかなというふうに思いますが、道では2月の(北海道議会)定例会で改正をさせていただいた「北海道地球温暖化防止対策条例」、通称「ゼロカーボン(北海道)推進条例」でありますけれども、こちらに基づいて、2050年の「ゼロカーボン北海道」実現に向けた取り組みを推進していくために必要な一定規模の財源を確保するため、これまでの新エネルギー導入加速化基金は60億円だったところに、支援事業の拡充などによって、基金規模を増額いたしまして、企業局の電気事業収益金からの繰出金70億円、民間企業からの寄附金5億円、一般財源から25億円を積み立てまして、中長期的な視点で継続的に施策展開を図るという観点から、この基金を設置させていただいたところであります。
(北海道新聞)
今、一般財源とおっしゃったと思うのですけれど、これ財政調整基金ということですよね、25億円のところというのは。
(知事)
そうですね。
(北海道新聞)
これの拠出方法は適切だったのかどうかというそのご認識はいかがですか。
(知事)
必要な規模を確保するために、さまざま財政議論を行った上で、(予算案を)議会に提案し、議決をいただいたものと考えています。
(北海道新聞)
では、必要不可欠な措置だったというふうなご認識でよろしいでしょうか。
(知事)
はい。
(北海道新聞)
あともう一点ですね、前回の会見でお話しいただいたと思うのですけれど、基金の今後、活用期間のめどだとかですね、政策の柱立てなどの方針を作るということをおっしゃったと思います。これをいつまでに作るのかということとですね、基金の透明性を確保するために、ほかに何か新たな対策というのを考えていらっしゃいますでしょうか。
(知事)
今ご質問にありましたけれども、来年度に向けて、寄附金の受け入れ促進にもつながるように、基金を充当する事業の柱立て、そして基金の活用期間の目安など、基金の活用に関する基本的な方針を整理、策定して、より効果的でわかりやすいものになるように取り組んでいきたいと考えています。
(北海道新聞)
いつ頃までに作るというのは。
(知事)
来年度に向けて適切な時期に行っていきたいと考えています。
(北海道新聞)
特に新しい対策、ほかに対策は今のところ考えていないのですよね、これ以外で。
(知事)
まずは議会の議論を踏まえた必要な取り組みを、適切に進めていきたいと考えています。
(毎日新聞)
先日、道のいじめ問題審議会のほうで、道立高校の生徒さんの自殺が、いじめとの関連性を否定できないという結論が出されたということで、ちょっと伺いたいのですけれども、審議会のほうでですね、学校ですとか教育委員会が、ちょっと調査に非協力的だったのではないかというような指摘もありましたけれども、そのへんの知事の受け止めとですね、あと今後、いじめ、自殺の調査で解明をきちんとできるようにするために、知事のほうから何か取り組みをする考えとかありましたらちょっと教えてください。
(知事)
まず、「北海道いじめの防止等に関する条例」に基づいて、7月27日、道教委のほうから調査結果の報告書の提出がありました。未来のある高校生の尊い命が失われました。非常に残念であります。お亡くなりになられた生徒さんに心から哀悼の意を表したい。そして、ご遺族の皆さまにお悔やみを申し上げます。
このたびの調査報告書でありますけれども、調査を行った道教委の附属機関であります「道いじめ問題審議会」から、当時の学校や道教委の対応の遅れ、ご遺族の思いに寄り添うことができなかったことなど、さまざまな問題点について、厳しい指摘があったと承知をしています。
道教委においては、本調査結果を厳粛に受け止め、報告で指摘された事項等について、適切に対応していただきたいと思います。道としても、北海道の未来を担う子どもたちの大切な命、こういう命を守っていくという断固たる決意のもとで、道教委と一層の連携を図りながら、いじめ防止対策にしっかり取り組んでいきたいと考えています。
(毎日新聞)
なかなかこういう問題が起こりますと、学校側とか教育委員会が、その調査に消極的になりがちなことがですね、全国的にも続いているかと思うのですけれども、そのあたり今後、北海道としてですね、どのように対策を進めていきたいかというのをちょっとお考えありましたら教えてください。
(知事)
調査報告書の中では、道教委の重大事態調査への対応の遅れ、ご遺族の思いに寄り添うことができていないということなどの厳しい指摘がありました。いじめは、子どもたちの心身の健全な成長と、人格の形成に重大な影響を与える深刻な問題です。ささいな兆候であっても、いじめの疑いがあるという場合は、積極的に認知をし、速やかに、いじめを受けた子どもはもちろん、保護者の方の心情にも配慮しながら、丁寧に対応することが重要だと思います。
道教委においては、この調査結果を厳粛に受け止めていただいて、ご遺族の心情を受け止めた丁寧な対応はもちろんですけれども、報告書で指摘された事項等については、適切に対応し、子どもたちの命と心を守る取り組みを徹底してほしいと思います。
(北海道新聞)
今の関連なのですけれども、知事はご答弁でですね、道教委において厳粛に受け止めて適切な対応をということだったのですけれども、今後のプロセスとしてはですね、知事の附属機関である道いじめ調査委員会が調査をですね、適切かどうかを調べる段階に入るということで、対応の所管は知事部局に移るわけですけれども、ここに知事、どういう姿勢でですね、この事案に臨んでいくか、調査とどう向き合っていくかということを、あらためて教えてください。
(知事)
今申し上げたとおりでありますが、道教委の中で、対応の遅れなど、(ご遺族の)思いに寄り添うことができなかったなど、そういった問題点、厳しい指摘があるわけです。この報告を私は受けましたので、知事として、(条例に基づき)その報告内容について対応していきます。その上で、実際に道教委や学校現場においては、この指摘を受けた対応を検討していただかなければなりません。そこにしっかりつなげていくために、知事部局としての役割を果たしていきたいというふうに思います。
(北海道新聞)
別の話題で恐縮なのですけれど、札幌市中心部の道有地と、そこに立つ「プレスト1・7」について伺います。道は昨年2月、信託銀行との契約満了前に、これらを売却することが妥当とする事業総括をまとめています。一方で、今月1日の道議会総務委員会では、自民会派の委員から売却しない選択肢も含めて検討するよう求められ、道の答弁ではですね、社会情勢の変化等をあらためて確認するですとか、委員の指摘も含めてさまざまな意見を丁寧に伺うとご答弁があったのですけれども、ちょっとこのとき聞いていて、私よくわからなかったのですけれども、つまり、あらためて知事に伺いたかったのは、このプレストと道有地を売却が妥当としたですね、事業総括というのは見直して、売却しないということも含めて、またゼロベースで検討するという意味合いなのか、それとも、売却が妥当だとした昨年2月の考え方自体は維持しているのかという、このどちらなのかを教えていただきたかったのですけれど。
(知事)
簡潔に答えると、基本的な考え方を変更しているものではないわけでありますが、議会から、事業総括を取りまとめてから約1年半が経過しているということや、この間の本道を巡る社会経済情勢、そして札幌市内中心部の不動産市況の変化などを踏まえた対応が必要というご指摘がありました。ですので、道としても、こうした状況等をあらためて確認する必要があるというふうに考えています。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責 広報広聴課)