知事定例記者会見
- 日時/令和6年6月7日(金)14:30~15:20
- 場所/記者会見室
- 記者数/18名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
- 洋上慰霊の実施について
- 北海道・熊本県観光交流プロモーションなどについて
記者からの質問
- 洋上慰霊の実施について(1)
- 洋上慰霊の実施について(2)
- 北海道・熊本県観光交流プロモーションなどについて
- GX金融・資産運用特区について(1)
- GX金融・資産運用特区について(2)
- 知床地域の携帯電話エリア化について(1)
- 知床地域の携帯電話エリア化について(2)
- 生成AIの利活用について
- 北海道の合計特殊出生率について
- 知床地域の携帯電話エリア化について(3)
- 知床地域の携帯電話エリア化について(4)
- 知床地域の携帯電話エリア化について(5)
知事からの話題
洋上慰霊の実施について
私から二点お話しさせていただきます。
一点目でございます。ロシアのウクライナ侵略の影響で、日露関係が厳しい状況の中で、四島交流等事業の再開の見通しが立っていないということを踏まえて、先月14日に、私から直接、総理に対して、事業の1日も早い再開に向けた日露政府間での協議の進展を要請したところでございます。国においては、北方墓参等、四島交流等事業の再開に向けて外交交渉を継続してきたと承知しているところでありますが、現時点においては、墓参をはじめとする四島交流等事業の見通しが立っていないという状況にあると伺っています。私としては、北方墓参の再開が第一という考えに変わりはないわけでありますが、そうした外交交渉の状況を踏まえて、千島連盟など関係団体と協議を行い、「せめて四島(しま)の近くで慰霊したい」という元島民の皆さまの思いを叶えるため、苦渋の選択ではありますが、洋上慰霊を8月中旬から9月中旬に実施することとし、今後、関係団体と具体的な内容について調整を行ってまいります。
また、洋上慰霊は私も参加して、四島(しま)で亡くなられた方々の御霊に対し、哀悼の意を捧げるとともに、元島民の皆さまからさまざまなお話や思いを直接お伺いできればと考えております。なお、参加の時期につきましては、今後、洋上慰霊の具体的な日程等が決まり次第、皆さまにもお知らせしたいと思っております。
これが一点目でございます。
北海道・熊本県観光交流プロモーションなどについて
二点目でございます。
熊本県とは、昨年の8月に半導体関連産業に関する連携強化に向けた協定を締結したところでありますが、協定では、観光交流の拡大についても協力して取り組んでいくとしています。昨年度はくまモンやキュンちゃんが相互に訪問して、魅力発信を行うなどの連携を強化してきたところであります。
昨年度の2月に北海道と熊本県を結ぶチャーター便が運航されました。大変好評であったと伺っています。そしてこのたび、グリーンシーズンの北海道をお楽しみいただける7月26日および29日に、再びチャーター便を運航していただけるということになりました。この時期に合わせて、相互でプロモーションを実施するなど、道と県が連携したさまざまな取り組みを行うことといたしましたのでご紹介いたします。
まず明日8日から9日までの2日間でございますが、北3条広場「アカプラ」で開催する「大ほっかいどう祭×よさこいソーラン祭り わっしょい!祭×祭」に熊本県が出展し、旬の観光情報やチャーター便の紹介、くまモングッズが当たる抽選会を行います。
8日でございますが、昨年、北海道でカニやイクラを食べながら親交を深めたくまモンとキュンちゃんが再会すると、揃って会場に応援に駆け付けるということなど、楽しいイベント盛りだくさんということでありますので、皆さまにもぜひ足を運んでいただければと思います。この機会に道民の皆さまにも、ぜひチャーター便で熊本県を訪れていただいて、観光やグルメを楽しんでいただければと考えています。また、チャーター便が運航されます7月26日には、阿蘇くまもと空港において、北海道の観光をPRするイベントを開催する予定でもあります。こうした取り組みを積み重ねながら、観光交流をより一層進めていくので、チャーター便の利用促進や観光交流プロモーションについて、ぜひ報道関係の皆さまにもご協力いただければと思います。
私から以上です。
記者からの質問
(北海道新聞)
洋上慰霊に関してお伺いします。墓参そのものは、さかのぼるとコロナ禍だった20年からずっとできない状況が続いていまして、現在できる見通しが立っていないというのはウクライナ侵攻を背景にした日露関係が影響している部分が大きいのですけれども、墓参ができない時期が長期化していくことに対して知事はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
(知事)
元島民の皆さまも高齢化が進む中で、例えば私もこの洋上の慰霊に参加させていただく中で、元気にご自身で歩かれていた方が杖をつかれながら、本当に今年がこの慰霊に参加するのも最後になるかもしれないという言葉を私も直接お伺いしながら、まさに待ったなしの問題であるということで政府にもお話ししてまいりました。今回も洋上での慰霊となったことについては、まさにこれは苦渋の判断であります。やはり四島(しま)に行って墓参をしたいということがみんなの望みであります。ですから、結果的にはこういった洋上での慰霊が繰り返し毎年行われる状況になっていますが、われわれとしては望んでこういう形になっているわけではないわけです。ですから外交交渉も含めて、政府にはしっかりとこれからも取り組んでいただきたいと思いますし、これが元島民の皆さまの総意であるということをしっかり訴えていきたいと思います。
(北海道新聞)
少し細かい点になるのですが、去年は合計6回やったと記憶しているのですが、今年は先ほどおっしゃった期間の中で回数というのは決まっているのでしょうか。
(知事)
まだ日程等詳細については(決まっていませんが)、今日、まずは大まかな8月中旬から9月中旬に実施するということをお話しさせていただきました。団体からも募集の関係とかもあるので、もうこれがギリギリのタイミングなのですね。私たちとしては交渉をしっかり進めていただいて墓参を実現したいということである一方で、この洋上の慰霊をするのであれば、一定の期間をもって募集しなければいけないということを考えますと、今回この発表がギリギリのタイミングだと思っています。ですから、これからさまざまな詳細を詰めて、多くのご希望の方が参加いただけるような形で進めていきたいと思っています。
(NHK)
今の質問に関連してなのですけれども、先日総理にお会いしに行った時に「えとぴりか」の活用についても総理から言及があったかと記憶しております。当然ながら一刻も早い現地での墓参というものは当然求められるべきだと思いますけれども、それとは別に知事も、先日の官邸でのぶら下がりの時には、いわゆる国民的にも関心を高めてほしいというご発言もありました。この「えとぴりか」の活用について具体的に、例えば今後どのような形の活用が見込めるかとかということで、もし何か現状お考えなどあればお聞かせいただければと思います。
(知事)
これは以前も、北方領土の問題を多くの方に理解していただくべく、(「えとぴりか」を)活用させていただいたということはあるのですが、さらなる活用に向けて総理のご発言もありましたけれども、現在検討いただいているということであります。私としては、この「えとぴりか」をはじめとして、この北海道における元島民の皆さまの思いを、国内外多くの方に知っていただく機会をより増やしていくことが、大事だと思っています。ですから、この洋上での慰霊についても映像も撮影させていただきながら、幅広く発信もさせていただいています。より多くの方に、これはわが国における重要な問題であると、また北海道だけの問題でもないわけですので、そこは、あらゆる機会を捉えて、働きかけや啓発を行っていきたいと思っています。
報道の皆さんにもこの洋上の慰霊を毎回取り上げていただいて大変感謝しておりますが、元島民の皆さんの声も含めて、ぜひ報道していただけたら大変ありがたいと思っています。
(NHK)
明日の熊本県との観光の関係で、くまモンやキュンちゃんは本当にカニやイクラを食べられるのかというのが少し聞いてみたいところでもありますが。
(知事)
私もそれを(担当部に)どういうことなのかと聞いて、私も写真を見たのですけれども、くまモンとキュンちゃんがイクラ丼とかを前に写真は撮っていました。
(NHK)
本当に食べているかどうかは。
(知事)
本当に食べているかどうかはご想像にお任せします。
(NHK)
今回またチャーター便が飛ぶということで、多分2回目になるのかな。
(知事)
そうですね、冬の便(以来の)。
(NHK)
2回目になると思うのですけれども、最終的にはおそらく、先日、(当時の熊本県知事)蒲島知事もいらっしゃった時に、最終的にはいわゆる定期便という発言もありました。現時点で前回好評だったという話もありましたけれども、その定期便の就航に向けての手応えですとか、可能性ですとか、今の議論の状況などについてもし何かありましたら。
(知事)
やはり熊本県の皆さまも、大変多くの方が北海道に、前回雪まつりの時期に来ていただきました。本当に多くの方に搭乗いただいたということで、大変好評でございました。今回は北海道は本当に人気の時期であり、さらには夏休みが始まると、そういうタイミングでのチャーター便になりますので、今回も含めて冬と夏という形で、展開ができることになりました。これもそういった意味では双方の連携が生み出した一つの形だと思います。ここにしっかり搭乗率を上げながら多くの方に利用いただく、これが結果としては、かつてあった直行便につながってくると思いますので、双方向のPRも含めてしっかりやっていかなければいけないと思っています。
(日本経済新聞)
今週火曜日に札幌市と北海道で要望されていたGX金融・資産運用特区に指定されました。国家戦略特区にもなりましたが、それにつきましてコメントも出していただきましたが、知事の受け止めをお聞かせください。
(知事)
この会見の場でも何度かやり取りがございましたが、6月4日に北海道が金融・資産運用特区として決定されました。国家戦略特別区域にも指定されたという形になります。この度の決定については、北海道と札幌市の強みを生かして、GXと金融を掛け合わせた新しい地方創生の取り組みとして、高い期待感が示されたものと受け止めています。GX産業の集積と金融機能の強化、集積に向けて、特区という新たな推進力を最大限活かしていく必要があると考えています。道としては引き続き、「チーム札幌・北海道」の構成機関をはじめ、関係機関の皆さまと連携しながら、わが国の再生可能エネルギーの供給基地となるとともに、世界中からGXに関する資金、人材、情報が集積するアジア・世界の「金融センター」を実現して、特区指定の効果を全道各地に広く普及させ、わが国の経済安全保障にも貢献できるように全力で取り組んでいきたいと考えています。
(日本経済新聞)
国からの緩和の実行もありましたけれども、地域独自の取り組みとして地方税の減免というのも記載されたかと思います。検討事項として入っていたかと思うのですけれども、今後検討されていくものだと思うのですけれども、現在想定されるのはどのような税目なのかとか、どれぐらい低減するとかも、ある程度免除するのかとかそういったところの今想定されているものがあれば聞かせてください。
(知事)
これはこの度の金融・資産運用特区の募集において、地方公共団体の取組方針として、地方税の減免措置等の税財政面に関する支援方針を記載することが必須ということで募集されました。必須とされる中で、この度の特区提案における北海道と札幌市が行う地域の主体的な取り組みの一つとして、「北海道で国際競争力向上に資するGX事業の設備投資を行う法人への税制優遇を検討」、「札幌市に初めて進出する金融系外国企業への税制優遇を検討」などの提案を行ったところであります。具体の税目、内容、そういった具体的な部分については、他都市の先行事例もありますので、こういったものも参考に道議会、そして有識者などのご意見なども伺い、検討を進めていきたいと考えています。
(日本経済新聞)
いつ頃までにとかというそういう何かめどとかはございますか。
(知事)
今回、資産運用特区、国家戦略特区の指定もいただきましたので、そのことを受けて検討ということで提案を行ったわけでありますので、先ほど申し上げたような道議会、そして有識者などのご意見等も伺いながら検討を進めていきたいと考えています。具体的な時期等について、今お話しできる状況にはございません。
(日本経済新聞)
同じく特区関連で、札幌市は先日の会見で市長が7月以降にも活用企業の募集を始めるとお話されていましたが、北海道としては同じ特区に指定されましたけれども、同じように募集開始される予定でしょうか。
(知事)
市長がどういう背景でご発言されたか直接聞いていないので分かりませんけれども、今後想定されるスケジュールとしては、事業者の公募というものが想定されます。国家戦略特区においては、この規制の特例措置を活用して事業を実施すると見込まれる事業者を公募するとされていますので、今後のスケジュールという意味では、そういった公募について言及があったと思っています。具体的な時期等については、今後、国とか札幌市などの関係機関と調整して、早期に募集が開始できるように準備を進めていきたいと考えています。7月にという具体的な時期の言及があったと聞いておりますが、どういった背景の下でご発言されたかは承知していません。
(日本経済新聞)
最後一点、このGXを進めていくというところで、再エネの活用というのも北海道の強みとして訴えられた部分かと思います。そういった中で、ラピダスの進出などもあり電力が逼迫するという懸念もあるかと思います。その中で今、経産省がエネルギー基本計画をまとめられていますけれど、その中にも原子力発電の活用というのも論点の一つとなっていますが、北海道には泊原発がありますけれど、その活用、再稼働について知事のお考えをお聞かせください。
(知事)
泊発電所については、現在、厳正な審査が続いているという状況でありますので、コメントできる状況にはないと思っております。いずれにしても、電力は安定的に、経済的に、そういった基本的な考え方の下、確保されるべきものである、また、多様性、そういうものも確保すべきであると考えているところであります。北海道においては、再エネポテンシャルがわが国随一という状況もありますから、そういった中で、ある意味では国においても、北海道への期待、また果たすべき役割、こういうものは大きいと考えています。
(HBC)
私のほうからもまずはGX特区の件でお伺いいたします。今、知事のほうからも地域施策の検討状況の説明がありましたけれども、今回、金融・資産運用の特区ということで、なかなか一般の道民の方には、どう変わるのだろうというのが何か伝わりにくい部分があると思うのですけれども、今回の特区指定によって道民にどういうメリットがあるのかですとか、今後の暮らしがどういうふうに変わっていく可能性があるのかというのを、あらためて知事の言葉でお伝えいただけますでしょうか。
(知事)
まずは、現在さまざまな取り組みが進んでいます。例えば洋上風力発電だとか水素プロジェクトなどの再エネを活用した産業集積の動きというのが今あるわけです。それがさらに加速していく、その強力な推進力にこの特区がなっていくということをまず皆さんにはお話ししたいと思っています。そして、こうした取り組みを通じて、どういう効果を期待し、または創出していくのかについては、この道内の各地域にGX産業の立地が促進されていく、そのことによって、道内企業の事業が拡大する、また参入が促進されることによって、雇用の創出が図られ、地域が活性化していく、こういったことにつなげていく。そしてそのために必要となるのが、巨額の資金需要に応えることが可能な投資環境の整備、こういうものがどうしても必要になるわけです。
ですので、世界中から資産運用会社等の金融機能を北海道・札幌市に呼び込むということで、GXのポテンシャル自体は全道にあるわけです。札幌市に集中してとかそういうことではなく。ですので、そういった機能を呼び込むことで全道域でのGX産業の振興を図っていく。そしてこの特区の指定の効果を全道各地に広く波及させていく。そして経済も大事ですが環境も大事ですので、経済と環境の好循環を実現して、持続可能な地域社会の構築を進めていくということですので、簡単に言えば今持っている北海道のポテンシャルをより生かしていくためには、そういった国家戦略特区、また金融・資産運用特区、こういうものを活用しながら、その強みを生かして、さらに動きを加速させていくために提案しています。
事業者だけの話なのかと言うと、この環境を守りながら経済を活性化していくというゼロカーボンの取り組み、またGXの取り組みについては、これは持続可能な地域を、発展とともに構築していく上でやはり必要な取り組みでもありますので、そういう意味では広く、これは道民のみならず国に貢献していくという意味では、広く全国にも貢献できる内容だと思っています。この点を分かりやすく説明するために、今後も札幌市やチームの皆さんとも連携しながら、お伝えしていければと思っています。
(HBC)
少し話題が変わりまして、今まさに経済と環境という話も出たのですけれども、知床半島の携帯基地、電話機の基地局の整備についてお伺いいたします。今日午前中に委員会も開かれていましたけれども、昨日斜里町の町長が総務省と環境省を訪れて環境保全の観点から工事の着工を見合わせるべきとの説明をされたと聞いています。一方で羅臼町のほうは漁業者の安全確保の観点から引き続き整備を希望しているという話も伺っています。地方の自治体で意見が割れているという状況になるのですけれども、この基地局整備についてあらためて知事として道としてのお考え、意見というのをお聞かせください。
(知事)
これは、担当部のほうから、昨日斜里町長が総務省と環境省を訪問したこと、そしてその内容については、あらためて斜里町から道に報告がある予定であると聞いているところでありますので、まずはしっかりと斜里町から報告を受け、内容を確認してほしいということで指示いたしました。
そして先ほど開催された委員会の中では、基地局整備の影響などについて議論がされて、世界自然遺産の価値への影響については、さらなる調査や議論が必要などの意見が出されたということで報告がありました。
知床は世界自然遺産でありますので、十分な環境保全がなされるべきというふうに考えています。専門家の方々から、本日もご意見が出されたということでありますので、こういった意見などを踏まえて国においては、適切な配慮をいただきたいというふうに考えています。
(HBC)
道として両町に対してとか現地で例えば調査をするだとか、何か道としての動きというのを考えられていますか。
(知事)
まずは、斜里町長が総務省と環境省のほうに行かれて道にも報告したいということでございますので、そこをしっかりお伺いするということが必要かなと思います。また先ほどお話しした、本日行われた(会議で)その有識者の中からさまざまな意見が出されたということであります。そういった内容をしっかり踏まえていただきたいと、道としても考えているところです。
(朝日新聞)
今の関連でお伺いしたいのですけれども、道のほうにもいわゆる知床条例(北海道知床世界自然遺産条例)という条例があってですね、条例の中では必要に応じて、場合によっては国、関係省庁、自然公園法に関係するところの関係省庁などに要請するという項目があったりとか、道としても関与する余地のある条例でありますし、また今回の基地局についてはもう早い段階で道のほうも通信環境の改善に関することについては、ほかの当事者、事業者などと並んで宣言決議(知床半島安全・安心のための通信環境改善に関する宣言)をしているわけで、ある種当事者という部分もあると思うのですが、今、今日の科学委員会での議論をということがありましたが、もう少し踏み込んで言うと、道としては一番大切にしたいものは、今回の案件において何なのか、道が判断する公益とは何なのか、お伺いしたいと思います。
(知事)
それは地元の声を大切にすべきだと思っています。羅臼町、斜里町、それぞれ、この景観への影響とか環境保全に最大限配慮しつつ取り組んでほしいということで、これは斜里町も羅臼町も両方同じなのです。そういった状況の中、総務省また環境省も入った中で、これまで話をしてまいりましたので、そこは当然、最大限の配慮をいただきたいと思っています。そして地元の皆さんがさまざまな声を踏まえた中で、例えば斜里町が総務省や環境省に行って、お話ししているわけですから、そこをしっかりわれわれとしても、お話をお伺いする必要があると思っています。やはり大切にすべきはそういった地域の声、これが大事だと思います。
(朝日新聞)
今日、明かされた中で、ニカリウス(地区)のいわゆる新しい、どういったものが羅臼町側にできるかというものの具体的なイメージ図が示されました。その中では両翼合わせると70メートル、高さ10メートルに及ぶ巨大な太陽光パネルの壁ができるといったような具体的な姿も今回見えてきました。こういった案が後から後から出てきている状況にあるわけなので、道のほうとしても、もっと積極的に、条例もあるわけですから、情報開示など事業者もしくは国の関係省庁などに求めていくべきではないかと思うのですが、そのあたり知事はどうお考えでしょうか。
(知事)
広域自治体として必要な役割は当然果たしていきたいと思っています。関係する皆さんがこれまでもさまざまな議論を積み重ねた上で今の状況を迎えていますので、そういったこれまでの経過も踏まえながら、必要な役割を果たしていきたいと思います。
(STV)
生成AIについて二点伺います。来週10日から道庁の一部の業務で生成AIの利用を開始するということですけれども、あらためて期待感を伺いたいというのが一点と、あともう一点、相模原市では、市長が市長の議会答弁案を実験的に生成AIで作成して、それを読み上げるという事例が3月にあったのですが、これはかなりPRの面が大きいと思うのですけれども、知事ご自身が直接関わる部分での、この生成AIの活用について、何か今お考えになっていることがあれば教えてください。
(知事)
議会の答弁については、当然のことながら知事答弁にあっては、直接私自身が確認しながら、さまざまやっているものですから、ここに導入するということは現時点で考えていないわけであります。生成AIについては、令和5年の10月30日から半年間かけて300名の職員を選定して試行を行いました。そしてアンケートを行いました。そのアンケートでは職員から今後も活用したいということで、業務で有効だという意見が多数を占めました。そして業務の効率化にも一定程度の効果が認められたということがありますので、これらの結果を踏まえて、6月10日から生成AIサービスの利用を開始するということとしています。そして10日から開始するに先立ちまして、6月5日から職員がその利便性や危険性を理解するためのオンデマンド研修を実施しています。職員は、これを必ず受講するという形をくぐって、この生成AIを利用するという形にしています。これまでの試行結果も踏まえた中で、そういった形で運用したほうがいいだろうということで、こういう形をとらさせていただきました。ですから、10日から使う方は全てこういった研修を受講した上で活用するという形になります。この生成AIサービスを活用することによって、例えば、イベントの企画案、キャッチコピーのアイデア出し、こういったクリエイティブな作業を中心に、道庁全体の業務の効率化や質の向上につなげていくということを期待しているところです。
(北海道新聞)
厚生労働省が5日に2023年の人口動態統計を発表しました。その中で合計特殊出生率が道内は1.06と過去最低で、全国も最低だったのですけれども、都道府県別で東京都に続いて2番目に低いという結果でした。まずこの結果について知事の受け止めをお願いします。
(知事)
これは将来に関わる大変重要な問題であると考えています。今ご質問にあったとおり、全国平均が1.20、そして北海道においては1.06ということで、前年対比で0.06低下しています。都道府県別では質問にもありました東京都の0.99に次いで2番目に低い水準となったわけであります。国が4月に公表した別の調査でありますけれども、道内人口の約4割を占める札幌市においては全国平均を下回ると、その一方で平均よりも高い出生率の自治体も北海道の場合は複数あるという状況でありまして、そういった意味では北海道の地域特性も考慮しなければならない課題だとも思っています。
北海道を含む全ての都道府県が前年を下回っているという状況にあります。少子化の要因については、経済的な不安定さ、仕事と子育ての両立の難しさなど個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻むさまざまな要因が複雑に絡み合っているということがあると考えています。いずれにしても、これは北海道のみならず、わが国の将来にも関わる重要な問題であります。都道府県、市町村はもとより、国としてもしっかりとした対応を講じていかなければ、この問題を解決することは難しいと考えています。
(北海道新聞)
同じく5日に、少子化対策関連法(子ども・子育て支援法の改正案)が成立しまして、児童手当の拡充などが盛り込まれています。一方、今の知事のお話にもあったように少子化は複雑な要因でして、若年層への経済的支援とかまだ十分ではないという意見も出ています。北海道は特に出生率が低い地域の知事として、国にどういった対策を求めていますか。
(知事)
これは全国知事会でもたびたび議論になるのですが、日本全体の状況という意味で考えますと、やはり東京一極集中をどう考えるかということに関する視点でよく知事会でも議論になります。やはり子の出生率が一番低いのが東京都なのですけれども、一方で人口が最も集積している。北海道においても、札幌市は非常に人口が多いのですが出生率は低い。一方それ以外の地域は全国を上回るような出生率のところもあるという状況もあります。ですので、そういったいわゆる国の一極集中の問題をどう考えるのか、そして(少子化の)要因としては経済的な不安定さ、そして仕事と子育ての両立の難しさ、こういったことも指摘されていますし、また、さまざまな結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む要因が指摘されていますので、ここは都道府県や市町村が、もちろんしっかりやっていかなければならないのですけれど、日本全体のあり方をどうするのかということについては、やはり国もしっかりと対策を考えていかなければ、日本、わが国全体の非常に大きな課題でもありますので、先ほどお話しのあった、いわゆる子育てに関する支援、これを国として強化していただくというのは必要なことなのですが、例えば日本全体の一極集中のあり方とか、そういったところにどう向き合うのかということなど、ここはやはりどうしても、国として考え方を整理しなければならないところがあるのではないかと思っています。また、その人口全体をどう捉えるかによって、社会保障全体の考え方も議論になってきますので、その点についてもやはりしっかり議論していく必要があるのではないかと思っています。
(北海道新聞)
最後一点、今知事の話の中にもあった東京一極集中、知事自身は東京一極集中は是正すべきとお考えですか。
(知事)
やはり過度な東京都への一極集中自体は、東京都自身の課題でもあるのです。人口が集中することが必ずしも都市経営においてメリットばかりかというと、非常に行政面積の少ない中で人口が集中していますので、課題がありますし、また今いる人口の数の母体が大きいですから、例えば高齢化のポイントが1ポイント2ポイント上がるだけで、そのサービスを受けるであろう方の人数というのは、他の地域に比べると人口規模が大きいがゆえに急激に必要な量も出てきますし、そういう意味では、さまざまな課題はこれまでも指摘されてきたところです。人口減少という局面に日本全体が入っていく中で、いよいよそういった一極集中の問題に対してどう考えていくのか、またそれぞれの地域の強みとか、課題もありますから、そういった日本全体でそれぞれの地域が特色を発揮できるためにはどういった形がいいのかということについては、人口減少の状況に入った中で、しっかり考えていく必要があるのではないかと思っています。この一極集中がもたらすさまざまな課題が指摘されて久しいわけですけれども、そういう今の時代背景の下でいよいよ本格的な議論をすべき状況にあるのではないかと思っています。私ももともと東京都の職員でしたから、そういった意味では、東京都で働いていたわけでありますが、そういう課題があるのではないかと思っています。
(NHK)
先ほどの話に戻ってしまって恐縮なのですけれど、知床の基地局の関係で、先ほど知事は十分な環境保護がなされるべきだと考えているということと、国には適切な配慮を求めていきたいというご発言をされていたかと思います。今日の先ほどの委員会では、やはり環境保護を重視すべきだという立場の専門家の方の決定においては、やはり調査が不十分だったというような指摘が結局相次ぎました。例えば、今ソーラーパネルが設置されるという方向ですけれど、昨今の事情で、いろいろな火災も起きていて、その火災が起きた時の対応というものが果たして十分になされているのかとかというような指摘も出されていました。知事がさっきおっしゃっていた十分な環境保護がなされるべきだと考えているというご発言から察するに、今回の、今事業が一旦中断していますけれども、やはり知事としても、いったんちゃんと十分な調査というもの、環境影響に対する調査というものを行ってからではないと、今の基地局配備については、やはり進めるのか、引くのかの判断というのはできないのではないかと、そういう今ご認識でいらっしゃるということでよろしいでしょうか。
(知事)
これはまさに、環境保全については十分なされるべきだと思っています。そして、本日はそういう専門家や有識者の方々からさまざまな指摘があったわけですから、それは事業の判断を国として行うにあっては、しっかりそういったことも踏まえた中で適切に判断していただきたいと思っています。その発言のそれぞれの状況が妥当なのか否かとか、そういうことは私自身どういう議論が詳細に行われたかについて今の時点で承知していませんが、これは国のほうでまさに意見を聞こうということで開催されているわけですから、そこに対して適切に対応する必要があると考えています。
(NHK)
これも多分繰り返しみたいな質問になってしまうかもしれないのですけれど、今回の事業、環境省が事業決定を許可するという判断に至ったその制度のプロセスとして、いわゆる例えば環境アセスですとか、今回のような科学委員会に対する必要な助言を求めるということが、いわゆる必須の作業として含まれていなかったというのが、おそらく今回こういうような形で問題が噴出している原因の一つなのではないかなと個人的には考えていますが、今回の問題についてになりますけれども、知事は、今回の事業が許可された過程において、やはり事前にそういうような環境影響を、もうちょっと例えば専門的な見地からなのか、自主的なのか分かりませんけれども、もっと詳しく調べる必要があったと思っていらっしゃるのかどうかについては、今どういうお考えですか。
(知事)
環境省のほうでも、オジロワシへの影響の懸念については、委員の方から指摘があって、それを受けて、5月23日にこの調査を行ったという状況です。ですから、そういう意味では指摘について一定の妥当性があるから調査が必要だということで行ったのだと思うわけで、そういう意味では、もしかしたら環境省としてはその必要性を、ある意味では認めているわけで、その指摘がある、なしに関わらず、結果的には必要なものであったということからすると、そこはもう少し課題もあったのかなと思っています。今回、さまざまな指摘もあったということですから、これまでのそういう状況なども踏まえて、適切に環境保全への配慮を行っていただくことが必要だと思います。
(NHK)
分かりました。最後の質問になりますけれども、あらためて今回の事業においては、環境に適切な保護がなされれば進めてもいいというふうに今、現時点で考えていらっしゃるのか、それとも、やはりなかなか現時点においても、やはり知床のあそこの地域というのは、かなり北海道の中でも、日本においても重要な自然の保護地域ではあると思うので、やはりちょっと再検討も含めて考え直す必要があると思っていらっしゃるか、その辺をどう考えていらっしゃいますか。
(知事)
景観ですとか、自然環境へ最大限配慮していくことがまず大事だと思います。その上で、これは知床の事故があって、地元の皆さんがこれは必要なのだということで、国に対して要望した中で現在まで議論が進んでいるという状況がありますから、地域の皆さんからこの痛ましい事故を踏まえて、環境へ最大限の配慮をした上で、二度と、そういう痛ましい事故が起きないために、通信環境の整備が必要だというところがスタートなのです。ですから、そういう意味では地域の声としてそういう思いがあるわけですから、そこは適切に対応していく必要があるのではないかと思います。
(北海道新聞)
知床半島の基地局整備についてお尋ねしたかったのですけれども、先ほど斜里町のほうから報告があるというようなお話があったと思うのですけれども、羅臼町のほうは予定どおり計画を進めてほしいというような方針を示されていると思うのですが、羅臼町側から意見を聞くようなことは今お考えでしょうか。
(知事)
それは当然、両方聞かなければいけないのではないですか。斜里町も羅臼町も。
(北海道新聞)
先ほど、地元の自治体の意見を聞いた上で道としての対応というのを考えていきたいという話だったと思うのですけれども、今後道が取りうる対応として、例えば地元自治体同士の意見が対立しているので、そこの調整に入るとか、あと道として、この条例に基づいて国に見直しとか推進してほしいとかということを要望していくというようなことをお考えということなのでしょうか。
(知事)
やはり関係者が複数の自治体が関係している、また国も複数の省庁が関係している、そういう状況の中で今、本日の有識者のご意見もそうですけれども、いろいろ課題が指摘されているという状況もありますから。そういった意味では、これは私の思いですが、まだ斜里町のお話とかも聞いていないですから。やはりそういう意味では、関係者が集まって、問題を共有することが必要なのではないかと思います。それは国も、道も、斜里町も、羅臼町も、関係する人が多数いるわけですから、今それぞれが国に行ったりとかいろいろしていますけれど、そういう意味では、その必要性というのはあるのではないかと思います。ですので、斜里町長のお話をお伺いしてということがまず大事かなと思いますけれど、これは今、私が思っていることですけれど。
(北海道新聞)
今、お話のあった両自治体の意見などを踏まえた上で、道として何らかの意見、発信というのをしていく、やはり必要があるのではないかというふうにお考えですか。
(知事)
道として、両町を代表して何かを言うというよりは、やはりみんな関係者が集まって話すというのがいいのではないかと思うわけです。間接的に伝言しているとかそういうことではないので。やはりスタートの時もみんなが集まって話しているわけですから。状況が今、そういう意味では、いろいろ課題も指摘されているわけです。それでずっとこの間、多分一回も集まっていないのではないですかね。
(北海道新聞)
例えば、知事からの呼びかけで、国とか斜里町、羅臼町がこう集まって、何かしらの会合というか、協議をする場というのを開くようなことも、今お考えということですか。
(知事)
まず、斜里町長のお話をお伺いしてからかなというふうに思っていますけれど。
(朝日新聞)
今の他社さんのフォローアップなのですけれども、この件、最初の始まりは直後の2022年の5月に、結局公開情報によりますと、長谷川岳参議院議員の呼びかけで各省庁が集まったというのが、少なくとも知られている範囲内では最初の動きだったと思うのですけれども、そして4月の時の会議も、長谷川さん、伊東衆議院議員とも集まって話をしたという形になっていて、その後に、いろいろ出てきたという経緯があります。なのでやはり政治主導の面があろうかと思うのですけれども、今後の集まって話し合うというフォーマット、知事はやはりどういうフォーマットがいいか、先日であれば例えば、JRの関係では機構に来てもらったりとかあるのですけれど、そのあたりちょっとまだ個人的なご意見で結構ですけれども、伺えればと思います。
(知事)
私は、率直に今申し上げたのは、要は斜里町長が、総務省とか環境省に行ったりされています。羅臼町長は、つくってほしいと言っているわけです。それぞれ確認しなければいけませんけれど、さきほど言ったように複数の自治体、また複数の省庁、また事業者の方もいらっしゃるので、そういう状況の中でさまざまな課題が指摘されているから、みんなでまず現状を共有して、ちゃんと話をしたほうがいいのではないかと個人的には今思っています、というお話をしたのです。なので、基本的には、これはまず、斜里町長のお話を聞いてからだと思いますけれども、そういうフラットというか、そういう関係する人たちが話をする場面というのが、必要なのではないかという考えです。
(朝日新聞)
今その点をお伺いしたのは、結局知床という場所が日本でいういわゆるナショナルトラスト運動の初期のほうの運動の一つであって、100平方(メートル)の運動とかいろいろある中での話だと思うので、今回の問題も道外も含めて、いろいろな環境関係の団体が声を上げたという経緯もあるので、そういった声を上げた人々も含むようなものなのか、道内のいわゆる地元のという、これまでのなされてきたフォーマットであるべきか、そのあたりご意見いかがでしょう。
(知事)
それは、今まで基本的には議論を積み重ねてきたメンバーがいるのでしょうから、そこが軸になるべきなのではないでしょうか。
(朝日新聞)
ということは、いろいろな要望書を出した団体とかというのは特に含まなくて良いという考えですか。
(知事)
それは、さまざまそういう意味では町とか、いろいろな形で団体の声というのをいただいているのだと思いますから、そこは、そういうものを受け止めていくという話なのではないでしょうか。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責 広報広聴課)