知事定例記者会見
- 日時/令和6年12月26日(木)14:30~15:27
- 場所/記者会見室
- 記者数/18名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
- 年末年始におけるくらしの安全・安心の確保について
- 今年を振り返って
記者からの質問
- 江差高等看護学院について(1)
- 物価高対策について
- 「年収の壁」見直しについて
- 高レベル放射性廃棄物について
- 次期エネルギー基本計画について(1)
- 泊発電所について(1)
- 泊発電所について(2)
- 泊発電所について(3)
- 江差高等看護学院について(2)
- 長谷川岳参議院議員との関係について
- 江差高等看護学院について(3)
- 次期エネルギー基本計画について(2)
- 今年の漢字について
知事からの話題
年末年始におけるくらしの安全・安心の確保について
私から二点、お話しさせていただきます。
一点目でございますけれども、年末年始における安全・安心の確保についてです。道民の皆さまに向けてお話しさせていただきたいと思います。
これから年末年始を迎えるわけでありますけれども、帰省や旅行などで人の移動が活発になります。不測の事件や事故の発生も懸念されるということがございます。本年、道内における刑法犯の認知件数については、11月末現在において、2万1130件と前年と比べて363件増加しています。空き巣や自転車盗難などの窃盗犯やSNSによる投資・ロマンス詐欺、また特殊詐欺などが増加しているという状況です。年末年始については、家を空ける機会、また、ネットやSNSなどを利用する時間も多くなると思います。例えば、旅行や帰省の予定などをSNSなどにリアルタイムで投稿すると、これはよくあることだと思うのですけれども、そうしますと一方で、留守を公言して、多くの方がその情報を得るということでもありますので、犯罪に利用されることも一部懸念されるというところもございます。道といたしましても、冬休み前の時機を捉えて、中高生を対象に、SNSを利用した犯罪に巻き込まれないための非行防止教室を開催してまいりました。このほか、道のSNSなどを活用した犯罪に遭わない、関わらないよう注意喚起に取り組んでまいります。道民の皆さまには、ご家族やご友人との間で注意の声掛けをいただくなど、いつもより多くコミュニケーションをとっていただくということや、空き巣や詐欺などの犯罪に巻き込まれることのないよう、お一人お一人が安全・安心への意識を高めていただいて、十分にご注意いただければと思います。
また、今年の本道の交通事故の死亡者数ですけれども、12月24日現在で102名というところであります。前年と比べますと、26名減少というところであります。この時期は、路面凍結によるスリップ事故や、日没が早いことによる歩行者と車との接触事故も懸念されます。ドライバーの皆さまには、車間距離を十分確保し、急加速、急ブレーキ、急ハンドルなどを避け、安全な速度で運転いただくと。積雪で見通しが悪くなるわけでありますので、歩行者の存在にも十分ご注意いただければと思います。歩行者の皆さまには、道路を横断の際には、左右をよく確認いただいて無理な横断を絶対にしないということで、心がけていただきたいと思います。一方、飲酒運転による人身事故は昨年より増加したところであります。平成26年の小樽市での飲酒ひき逃げ事故から10年目の年として、根絶に向けて全道で取り組んできただけに、大変残念な状況になっております。道警におきましては、年末に向けて飲酒運転の取り締まり強化ということでお聞きしております。道におきましても、道民の皆さまへの注意喚起を強めていかなければならないと考えております。道民の皆さまには、年末年始は飲酒の機会も増えると思いますけれども、飲酒運転は悪質な犯罪であるということをしっかり認識いただいて、絶対にしないということで皆さまにお願い申し上げます。
最後に雪への備えであります。12月に入ってから、道内の日本海側で繰り返し大雪に見舞われております。後志、空知、檜山、宗谷管内など平年より積雪が多くなっている地域もございます。年末年始も日本海側で、雪の降りやすい天気が予想されています。帰省や旅行等で移動される方につきましては、気象情報、交通情報をこまめに確認いただいて、時間には余裕を持って行動いただくということと、雪による交通障害にも十分ご注意いただければと思います。併せて、屋根からの落雪や除雪作業中の事故にも十分ご注意いただくようお願いいたします。
以上でございますが、報道機関の皆さまにも、道民の皆さまが、年末年始を安全・安心にお過ごしいただけるように、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
今年を振り返って
二点目でございます。定例の記者会見につきましては、本日で最後ということで、何も緊急的なことがなければ、そういう状況でございます。記者クラブの皆さまには、本年一年間、道政情報の発信に対してご理解、ご協力をいただきました。このことを、心から皆さまに感謝を申し上げます。
今年は能登半島地震、また、各地の大雨など全国で大規模災害が相次ぎました。北海道におきましても、河川の氾濫、山火事などの災害に見舞われ、今季国内初となります農場での高病原性鳥インフルエンザも道内で発生いたしました。また、長期化する物価高が国民生活に影響を及ぼしており、道民の皆さまの命と暮らしを守る思いを、一層強くした一年でもありました。物価高につきましては、先日、国から新たな総合経済対策が示されました。道といたしましても、今まさに経済対策の検討を進めているというところでございます。
本道のさらなる飛躍に向けた歩みが着実に進んだ一年でもありました。国家プロジェクトである次世代半導体につきましては、私自身もニューヨーク州を訪問させていただいて、州政府関係機関と連携の枠組みを構築するとともに、EUV露光装置が搬入されて、パイロットラインの稼働に向け、製造拠点の整備が着実に進んだということがあります。また、国からも「AI・半導体産業基盤強化フレーム」ということで、2030年度までに、全体として10兆円以上の公的支援を行うという閣議決定もあり、補正予算も可決というところであります。また、道内においては、北海道・札幌「GX金融・資産運用特区」が国に認められました。GX特区における道税優遇措置に係る条例も可決いただきました。こういったことなど、全道域でGX関連産業の集積に向けた取り組みを進めてきた一年でもありました。また昨日は、道も求めてまいりました北海道と本州を結ぶ海底送電ケーブル、これは1.8兆円のプロジェクトでありますけれども、日本海側に敷設するこのプロジェクトに対し、事業者から応募意思表明が2件あったことが公表されるなど、具体化に向け動きが進んでいるというところであります。また、本日の夕方には、国の「GX2040ビジョン」の素案が示されるとお聞きしております。再エネ供給拠点、そして利活用拠点、こちらにおける産業の集積について、ぜひ記載していただきたいということで期待しているところでありますし、これまで強くこの点を要望してまいりました。北海道は、再エネポテンシャルが非常に高いわけでありまして、その北海道に産業を集積するという意思決定をぜひ、本日していただきたいと考えているところでございます。また、こうした動きが仮に本日行われたならば、投資案件の動きをさらに加速することにつながってくると思います。
また、食に関しましては、「食料・農業・農村基本法」が四半世紀ぶりに改正されました。食料安全保障の確保が法の基本理念に盛り込まれたところであります。北海道の農業は、国内最大の食料供給地域としての期待に、これまでも応えてまいりました。食料安全保障に貢献することができるよう、北海道を重点地域に位置付けることを強く国に求めてまいりました。こちらについては、来年の3月(の基本計画策定)に向けてということでありますけれども。
ぜひ、こういったエネルギー、デジタル、食の分野におきましては、北海道のしっかりとした位置付けを明確にした上で、北海道の価値を押し上げていきたいということで取り組んでまいりましたが、われわれのそういった意思が国を動かしている、そういう一年でもあったのではないかと思っています。
また、地域の皆さまの念願が叶い、「日高山脈襟裳十勝国立公園」が誕生いたしました。多様な生態系が残る自然は世界に誇る貴重な財産であります。ヒグマ管理計画の改定など、ヒグマとのあつれきの低減にも取り組みながら、この豊かな自然の保全や魅力の発信にも努めてまいりました。
このほかにも、観光入込客数がコロナ禍前の水準に回復しつつあることや、全国最多、千人を超える地域おこし協力隊が北海道で活動いただくなど、さらには、アンテナショップ「どさんこプラザ」におきましては過去最高の売上を更新し、中食・外食に向けた新たな道産米である「そらきらり」のデビューの発表など、さまざまな分野で北海道の未来につながる可能性を実感する一年でもあったのではないかと思います。これからも道民の皆さまの命と暮らしを守ること、この取り組みを最優先としつつ、人口減少をはじめとするさまざまな課題に直面している中で、この問題を解決するために、北海道の創生に取り組んでいきたいと考えています。
新しい年が皆さまにとって明るい希望に満ちた年となるよう、心からお祈り申し上げます。記者クラブの各記者の皆さまも、良い年をお迎えいただければと思います。まだこれから質問がありますけれども、本当に記者会見へのご協力ありがとうございました。
記者からの質問
(HTB)
道立江差高等看護学院のパワハラ自殺問題についてお伺いします。亡くなった学生の遺族による訴訟の中で、道は第三者委員会が認定したパワハラ4件について、該当しないというふうに主張されたと伺っております。この点について知事、どのようにお考えでしょうか。
(知事)
この件につきましては、現在係争中の案件でありますので、コメントは控えさせていただきたいと思いますけれども、今後も適切に対応させていただきたいと考えています。
(HTB)
関連なのですが、係争中であるというのは十分承知しているのですけれど、公というか道庁を訴えた裁判でもあるので、ある程度、道民も知る必要もある部分があるとは思うのですが、この道が設置した第三者委員会の認定についてですね、知事もこの場で、令和5年10月の記者会見では、第三者委の報告で教員によるパワハラが認定された、監督責任を有する道にも問題があるとされ、遺族に謝罪したというふうにお答えいただいているのですけれども、現在そのような主張をされているということは、この謝罪の前提が崩れることになるのですけれども、このこと自体が間違いだったというような、今、認識でいらっしゃるのでしょうか。
(知事)
係争中ですから、そこはまさに弁護士と、しっかり議論をしながら対応していくという中でありますので、その点についてはコメントは控えたいと考えています。
(HTB)
この関連最後で伺うと、これまでですね、知事は何度も記者会見で質問が出て、謝罪もされて、中身の説明もされてきたという中で、この会見は道民一般が見ている中でやっていますけれども、そういう意味では、言っていることと、今の状況を見ればやってることが違うというふうにとられるところもあるのですが、そういう意味で、道民との信頼関係を毀損する行為とも思えるのですけれども、その点について、知事はどのようにお考えでしょうか。
(知事)
私は道民の代表として、知事として仕事をしています。また、道と係争中でありますから、当然のこととして、その対応についてしっかり判断をした中で向き合っていますので、ですからこの記者会見の場で申し上げることは控えたいと思いますが、今後も適切に対応していきたいと考えています。ここで、この係争中の案件について申し上げることは控えるべきだと思います。
(NHK)
先ほどの冒頭の知事のお話の中で、物価高対策についての話がありました。まさに今月、国のほうで補正予算案も成立し、昨日、道議会の各会派からもいろいろな要望などもありましたけれども、通常の議会開会の考え方でいうと、次の一定(第一回定例道議会)って多分2月になると思いますが、このいわゆる物価高対策に関してですね、一定で対応しようと思っていらっしゃるのか、もしくはそれよりも早く、例えば臨時緊急議会みたいなことを考えて、そちらのほうで速やかに、少なくとも対応を考えていらっしゃるのか、その辺の物価高対策への対応の仕方について、今どう考えていらっしゃるかお聞かせください。
(知事)
まず、昨日は各会派のほうからさまざまなご要望をいただきました。具体的に申し上げますと、エネルギーや食料品などの物価高に対する対策、また中小・小規模事業者、医療・社会福祉施設、一次産業への支援、こういったさまざまなご要望をいただいたところであります。私からは、各会派から、こういったご要望をいただいた中で、ご要望についてしっかりと受け止め、厳しい状況にある方々の声に真摯に耳を傾けながら、地域の経済状況や支援ニーズを丁寧に把握してまいりたいということと、これから市町村のほうでもさまざまな対策の検討が行われているという状況でありますので、そういった市町村や関係機関とも連携して、影響の緩和に努めてまいりたいということで発言させていただいたところであります。
先ほど日程というか、スケジュール的なお話もありましたけれども、まさに今、さまざまな検討を庁内においても進めているという状況でありまして、道としては可能な限り、できるだけ早く対策の具体化を進めていきたいと思っています。
これを議会にご提案できるような内容をつくるのは、われわれの仕事であります。また、いつ、どういった形で議会を開会するのかについては、これは議会側との調整も当然必要になってくるわけでありますので、まずはわれわれとして、可能な限り、できるだけ早く具体化を進めるということであります。それを踏まえた中で、結果として、できるだけ早く皆さんにお届けするということにつながっていきますので、時機を逸することなく対応していきたいと考えています。
(時事通信)
年収の壁についてなのですが、自公(自民党・公明党)の税制改正大綱にですね、123万円の引き上げが盛り込まれました。以前178万円に引き上げられた場合に、道の財政としては500億円の減収となるというふうな試算がありましたけれども、この123万円という水準に対する所感と、道財政への影響をどう認識しているかお聞かせください。
(知事)
年収の壁ということで、本当に多くの方がまさに政策議論に関心が集まったというところだと思いますが、今回の内容については、扶養する大学生年代の子の所得要件を103万円から150万円に引き上げる特定扶養控除の見直しもありました。また、いわゆる年収の壁については、所得税の基礎控除と給与所得控除、合わせて20万円、個人住民税の給与所得控除の額10万円を引き上げるということであります。
今、申し上げたような大学生などの働き控えの解消、これによる労働時間の拡大、そして国民一人一の所得の増加に一定の効果が期待できる結果になったと受け止めているというところであります。ただ、この年収の壁につきましては、今後も引き続き三党で協議を続けるということでありまして、不透明な状況が続くということであります。そういう意味では、協議結果でさらなる見直しをされた場合について、これは国において地方への対応が検討されるということになるかと思っておりますけれども、仮に今回を超える、恒久的な見直しが行われる場合については、これまでも申し上げてきたのですけれども、地方自治体における行政サービスの低下を招くことのないよう、国と地方の協議の場などで地方の意見を聞いた上で、国においては確実な財政措置を講じていただく必要があると考えています。
そして影響額につきましては、今回の見直しについて、国の粗い試算の中で(178万円の場合)4兆円程度としていたものが、今回については約500億円から1千億円程度ということで、発言があったということなのですが、国の試算の前提条件等について明らかにされておりませんので、この4兆円から、500億円から1千億円程度とだいぶ減収額が変更になりました。可能であればこの前提条件等を明らかにしていただくことが大切なのではないかと思います。こういった国の試算が事実なのであれば、道の影響額についても、前回よりは限定的になることが見込まれるのではないかと思っておりますが、今後、こういった積算の内容、前提条件などについても注視しながら、精査をしていきたいと思います。
(時事通信)
先ほど三党での調整が続くとおっしゃいましたけれども、年明けに、国民民主党の第2ラウンドが予想されますが、道の予算編成の真っ只中の時期と重なることになりますが、例えばさらなる引き上げがあった場合に、道としては減額補正で対応するですとか、今の段階で予算編成の面でどのような対応が想定されるか現段階で方針があれば。
(知事)
それは北海道だけではなくて、都道府県や市町村に、仮に178万円ということを目指した中で財源対策を講じない場合に、かなりの影響があるということについては、国と地方の協議の場、これは知事会だけではなくて、市長会とか、町村会とかそういう皆さんが入った中で、これまでも再三再四お話しさせていただいているというところであります。ですので、確実な財政措置を講じるということが、われわれとしては前提として、こういう議論が行われるということを、まずしっかり伝えていくということだろうと思います。
この年収の壁、手取りを増やすということについて、われわれが反対ということで何かを申し上げているわけではなくて、国としてさまざまな影響をしっかり考えた中で、政策の議論をしていただいて、政策を実行する時に生じる課題に対しては、その対応のあり方についても併せて考えながらやっていただく、これは当たり前のことだと思うのです。これだけ巨額の財源を必要とする政策について、なかなかそういった議論が十分ではない中で、進めていくことに不安を感じている方も少なからずいると思いますので、そこはしっかり対応していただくことが必要かと思います。
(産経新聞)
二つほどお伺いさせていただきます。先月30日からNUMOが寿都町を皮切りに神恵内村、札幌市などで文献調査報告書の説明会を開いています。先日の知事会見の中では、札幌会場については、担当職員に行ってもらって、報告を聞きたいというお話をなさっておられました。既に報告をお受けになっていると思いますが、率直な感想ですとか、受け止めのほうからお聞かせいただけますでしょうか。
(知事)
説明会の状況については、前回もお話ししましたけれども、担当が参加する中で、例えばご質問の中に、道の考え方などについて質問などがあった時に、国がどういう形で発言されているのかだとか、また、説明会の全体の運営の中で混乱なく進んでいるのかとか、そういったことなどを把握しているというところであります。今、私のほうではそういった報告を受けているというところです。
(産経新聞)
この説明会の中ではですね、書面で質疑応答が行われておりました。いわゆる、参加者が話を聞いたことに対して、紙で質問を出して、それがNUMO側が選んで回答するというものです。非常に多くの質問が出ていまして、その回答というのはどうも選ばれてしまうのではないかと、都合のいいものを選んでしまうのではないかというような懸念の声も、現場では数多く聞きました。あとは、どうしても一方通行になって、次の質問にまわるということで、質問に対する深みが足りないというようなことで、ぜひ対話型の質疑をやってほしいというような声も現場で聞いています。このことについて、差し支えなければ知事の受け止めと、NUMO側のほうに何か求めていきたいことがあれば。加えて、現時点で、両町村とも次の概要調査に進められますよというような結果が出ていますけれども、知事の最終判断に至る中での、現時点での見解もあらためてお伺いできればと思います。
(知事)
そこは繰り返し申し上げているとおり、文献調査から概要調査、これに移行する場合は反対の意見を述べる考えであるということに変わりはないということです。NUMOの説明会の記事などを私も拝見した中で、実際どういう状況になっているのかということで、担当にも聞きました。そうしたところ、説明会においては、限られた時間の中で、できるだけ多くの方々にご質問いただけるようにということで、あらかじめ質問票に質問を記載いただいて提出することをお願いしているということで、当日回答できなかったものも含めて、基本的には全て、後日、NUMOのホームページに掲載して回答するということで、口頭発言の部分が、なかなか(当日回答の)対象にならない、ただ、これを聞きたいなということで会場で書いた場合、その場では回答が無いのですけれども、後日、書いたことについては、回答が掲載されるということでした。ですので、ここは少しもっと丁寧に、まず会場の方にこういった状況になっていますということをご説明するということが一点あるのかなと思います。
あと、説明会の運営に関する点については、とにかく丁寧に説明するというスタンスに立つことが大事かなと思います。何のために説明会をやるのかというと、やはり報告書の内容などを説明して、多くの方に知っていただくということで、そのことに対して疑問などがあった場合については、それにもしっかり応える中でやっていかなれけばいけないわけですから。そういった丁寧な対応と説明をしっかり意識した中での運営を心がけていただきたいと思います。また、開催結果などについては、随時、私も把握しながら、必要があれば開催状況の改善などについても申し上げたいなと思います。
(日本経済新聞)
昨日、政府のほうで案が出たエネルギー基本計画に関連して、一点伺わせてください。その中で、原子力発電の比率を2割として、原子力発電も最大限活用するという方針になったかと思うのですけれども、その方針に関して知事の受け止めをお聞かせください。
(知事)
エネルギー基本計画の原案ということで、「再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入するとともに、バランスの取れた電源構成を目指す」ということ、そして今ご質問のあった原子力については、「安全性の確保を大前提に、国が前面に立った理解活動、原子力防災対策等、再稼働の加速に向け官民を挙げて取り組む」ことなどが示されたというところです。この基本計画は原案なので、今後、パブリックコメントの実施など、国民の皆さまの声を踏まえながら、今年度中に策定するというスケジュールになっています。
道としては、原発については、何よりも安全性の確保が大前提であると。そしてこの安全性、必要性については、国が責任を持って、丁寧な説明を行って、国民の皆さまの理解と信頼を得ていくことが重要であるということで、申し上げてきたところであります。こういった考えの下、ぜひ国においては、取り組みを進めていただきたいと思います。
(日本経済新聞)
原発関連で、泊の原子力規制委の説明が先日終了して、このまま合格となれば、次は地元同意という段階に移るかと思います。これまでの会見の中でも、新港であったり、陸送というのがポイントだというふうに挙げられていたと思うのですけれども、こちらに関して、その安全性という観点でまだ不透明な部分だったり、そういうふうなことがあるという上で、ポイントだというふうに挙げていただいているということですか。
(知事)
燃料等の搬出入については、これは構外に新たに整備する荷揚場などから、発電所まで陸上輸送を行うということであります。ですので、この点については、現在は具体的な内容について検討を進めている段階と承知しているところです。これは先ほどエネルギー基本計画のところでも申し上げましたけれども、発電に係る安全性を確保していくということが不可欠と認識しています。まずこれは、北電において陸上輸送にかかるリスク対策も含めて講じる安全対策についての検討を行っていただくと。そしてその内容を、これは規制委はもとより、関係機関、地元をはじめとする道民の皆さまにご理解いただけるように、しっかり説明していただきたいということを考えておりますし、これはすでに北電にもお伝えしているというところであります。
(日本経済新聞)
知事としては、説明というのがされない限りは、そもそも判断するに値しないというか判断もされないという認識で間違いないですか。
(知事)
前提として、この審査については、審査上の論点について一通り終了したということでありますが、これは今後も規制委においては、例えば自然災害に関する「まとめ資料」であったり、設置変更許可申請書を修正した書面、または審査書案の取りまとめ、さらにはパブリックコメント、こういった審査が継続されますので、道としては審査については、状況を注視していきたいと考えているところです。さらに先ほど申し上げたような点については、私としては、やはり規制委に説明していただきたいと考えていますので、北電にもそのように求めております。これはやる、やらないについてまだ明らかではありませんが、私としてはしっかりやってほしいと思います。
(北海道新聞)
今の他社さんの原発再稼働関連のお話に関連してなのですけれども、規制委に説明するように北電に求めているということではありますけれども、規制委に対して、北電から聞いてほしいと、北電の説明を受けてほしいと。要は安全性に関する審査対象として、その陸送の部分とかを審査対象に加えるようにということを求めていかれたりする考えはおありなのでしょうか。
(知事)
まずは、北電が説明すると。ただ、その具体的な内容についてはまだ検討してるという状況ではあるのですが、具体的な内容を早く検討を進めていただいて、その上で説明の主体というのは北電になるわけですから、規制委にぜひ説明したいと北電が言うのが筋なのではないかなと思いますけれども。
(北海道新聞)
ちょっと私の勉強不足かもしれないですけれども、その北電が言うのが筋で、規制委に対しては現時点ではまだ求めていらっしゃらないということなのですね。
(知事)
原子力規制委員会においては、これまでもさまざまな安全性の確認を行われてきていますが、これは基本的には北電が規制委に説明するのです。説明した内容について、これが駄目だとか、これはどうなのだと言って、また再提出するという状況なのですね。だからまずは北電が、これを説明するというのが、基本的にはあるのだと思うのです。だから、それをまずやるかどうかという話があるのだろうと思いますし、ただ、内容をまだ検討しているという状況ですから、まず、検討をしっかりしていただいた上で、説明できる内容を整えて、私としては説明していただきたいですが、それは北電としてどう判断するのかというところはあると思っています。ただ、私はやはり、規制委はもちろんなのですけれども、地域の地元の方とか、道民の方にも、やはり説明する必要があるのではないかというのが私の立ち位置なので、それは今、求めているので、そこは真摯に対応していただけたらと思っています。
(NHK)
今の関連で一応確認なのですけれど、まさに昨日かな、今週、説明が終わったのは、プラントに対するいわゆる安全性の説明は終わったというのが今の状況だと思うのですけれども、それとは別に、陸上輸送というのが新たなその課題として出てきたので、今の段階では、プラントの安全性の議論から話は外されていると思うのですけれども、それを知事としては、それも当然、原発を動かしていく上での、いわゆる安全性というカテゴリーの中の一つに入るので、それは当然、北電が規制委のほうに自主的に説明を求めていくというのが当たり前なのではないかというスタンスで、お話しされているという理解でいいですか。
(知事)
やはり北電が自主的にこれを説明すると。誰に説明するのですかと言った時に、規制委に説明するというのが必要なのではないかというのがわれわれの考え方です。それだけではなくて、これは地元の方にも何も説明していませんでした。新聞記事が先に出て、皆さんが知ったという状況でしたので。地域に戸惑いもあったと聞いております。そういう地元、また、道民の皆さまも当然、新聞を見て知ったという状況ですからね。そういったことなども考えても、規制委は、専門的な方々ですからそこに説明するのと、あとは地元の道民の方に、説明するというのをこれは北電がどう考えるかというのはあるとは思いますが、私は必要なのではないかと考えた中で、北電のほうにもお願いしていると。ただ、ここについての、さっき言ったような、具体的な内容がまだ検討中ですよということだったり、説明しますとかしませんとか、そういったところについてはまだ何か回答があるとか、そういう状況ではないというところです。
(NHK)
あれって平成25年かなにかの設置変更許可申請を多分出していると思うのですけれど、北電が。設置変更許可申請の中に、まさに話として入っているわけではないから、今、審査をする対象にはなっていないものを、いわゆる全体の今後の審査、その安全性を国が担保するという、そのスキームを考えた時には、当然やはり入ってしかるべきなのではないかという認識ですか。
(知事)
やはり皆さん懸念の声もある中で、北電が主体性を持って、規制委に説明するということが私は必要だと思っております。これは、どういう回答になるのかは今は分かりません。
(朝日新聞)
少し質問が戻ってしまうのですが、冒頭他社さんがお尋ねになった江差高看の件で、一点だけ教えてください。今回、道は裁判に臨むに当たって、以前の謝罪は撤回するということでよろしいのですか、スタンスとしてそれだけ知りたいのですが。
(知事)
まず謝罪は謝罪として、これは道として対応したということは事実です。現在はこの案件について係争中でありますから、その対応についてはコメントを控えたいと思います。
(朝日新聞)
謝罪したことはそれはそれだけれども、その内容を変えるかどうかについては言えないという、そういう理解でいいですか。
(知事)
これはもう個別係争中の案件ですから、そこはしっかり道として、これはそこに向き合って対応していくという状況の中で、今後も適切に対応していきたいと思っています。
(HBC)
今年の春に、職員への威圧的な言動が問題になった長谷川参議への対応についてお伺いいたします。いわゆるこのパワハラ騒動と言われるこの騒動も、以前と以後で、道の長谷川参議に接する際の体制というのが、どのように変わったか教えていただけますでしょうか。
(知事)
これは、私のほうから長谷川参議には度々、改めるべきは改めなければならないということで、申し上げてまいりまして、私もそういった威圧的な発言などについては報告を受けますと。現在のところ報告が上がってきている状況にはないというところであります。そして、道としての対応ですけれども、これは長谷川参議だけではない話なのですが、組織外からハラスメントを受けた場合などの職員からの相談窓口の周知と、また、旅行命令および復命の取り扱いの徹底、庁外からのハラスメントへの対応ガイドラインの策定、こういった対応を行ってきたというところであります。職員が声を上げやすい、また、風通しの良い職場環境づくりにしっかり取り組んでいければと考えています。
(HBC)
長谷川参議のみならずの対応というふうに伺っていますけれども、例えば、その面談をする際に、国会議員と面談をする際に、録音をするですとか、録音を共有するとか、こういった対策、対応というのはとられているのでしょうか。
(知事)
私は録音について、札幌市が全て録音するとおっしゃっていましたけれども、果たしてそんなことが現実的にできるのかなと思いました。というのは、いろいろな打ち合わせがありますから、記者の皆さんも録音することもあるでしょうし、取材の中で全部録音しているかと言ったら、信頼関係の中で録音しないことも取材活動ではあるのでしょうし、率直な意見交換を妨げるということも一方であるのではないかと思いますし、必ずしも全ての場面で録音するということは、私はちょっとなかなかこれは難しいのではないかと、当時言ったような記憶がありますので、そういう一律の録音というのはしていませんけれども、ただ、事務とか事業の実施の方針等に影響を及ぼすという重要な打ち合わせとかの場合は、これは文章を作成するとなっていますので、一言一句というよりは、大事なポイントはこういう話でしたということで、作成することになっています。なので、道はそういう扱いになっています。
(HBC)
先ほど、威圧的な言動はその後報告はないという形だったと思うのですけれども、例えば、参議に関連する案件で、参議から業務指示が過多であって、それを負担に感じるですとか、そういった形の報告ですとか陳情みたいなものというのは、知事の耳にする範囲で入っていますでしょうか。
(知事)
これも私のところにそういった声は上がっていないというのと、先ほど申し上げたようなハラスメント窓口だとか、威圧的言動があった場合等の相談ということで、寄せられていますかということで、その都度確認をしっかりしていますけれども、そういったものは寄せられていないという状況であります。
(HBC)
関連してもう一点だけ。先日この会見の場でもちょっと話題になっていましたけれども、12月13日の名古屋市での「STATION Ai」の視察の件でした。こちら長谷川参議も参加されていた案件だと思うのですけれども、道も副知事以下4名ですかね、参加されたと思うのですが、今回の道としての参加の経緯と目的を教えていただけますか。
(知事)
私も個人的にもこの「STATION Ai」自体は関心を持っていましたが、そもそも札幌市と道と北海道経産局とで連携して「STARTUP HOKKAIDO」ということで取り組んでいます。スタートアップの創設をどんどんやっていきましょうということでやっています。それと、このGX金融・資産運用特区の指定もいただいて、その中で、国がデジタル行財政改革AI北海道会議を設置したのです。デジタル行財政改革の枠組みの中で、国がそういう先進的取り組みということで、北海道に設置ということになりました。その中で、われわれとしては、AIなどの新たな技術の実証フィールドとして北海道は活用できると思っていまして、この道内外のスタートアップに対して、ぜひこのフィールドとして、札幌市とか道央圏だけではなくて、全道でいろいろなテストフィールドがあるので、活用してもらいたいと、そして地域の課題解決にもつなげるのと、新しいビジネスの創出につなげたいということでこれをやってきました。そういう状況の中で、この「STATION Ai」については、日本最大級のスタートアップ支援拠点ということで、全国から結構視察が来ているという状況なのです。ですので、そこを訪問した中で、ハード面、いわゆる施設の工夫とか、ソフト面での支援策、こういった具体的な内容などについて伺うということと、われわれとして連携、協力について提案させていただいたのは、確かに国内の中でも最大級で、スタートアップ企業だとか、地元のトヨタとかも愛知県にありますから。そういう関連企業が集積しているのですけれども、ぜひ北海道をテストフィールドとして活用してほしいということでプレゼンもしてきました。ですので、ぜひこれが愛知県だけではなくて、そういういろいろな全国のスタートアップのみんなが、北海道でいろいろなチャレンジ、実証していくと、結果として北海道のいろいろな課題も解決していったり、やってみたら北海道で起業するのがいいなとか、そういうものにつなげていきたいということでありますので、今回の視察を契機として、ぜひ先進的な取り組みなので、連携した中で道内のスタートアップの支援、プログラムなどの充実につなげられたらと思っています。前回の会見の後、副知事からいろいろと話を聞いて、それは行くべきだなと思ったので、行ってきてほしいということで命令しました。
(HBC)
最後その点で確認なのですけれども、視察自体は午後4時から1時間半ぐらいの行程で、その後、懇親会という形だったと思うのですけれども、道としての公費負担というのは、これは行った職員の旅費のみという形になるのですか。
(知事)
旅費だけなのでしょう。当然。
(総合政策部次世代社会戦略監)
旅費のみの支出でございます。
(HTB)
ちょっと戻ってしまうようで、先ほど他社さんの関連でもあるのですけれども、江差高看の関係で、今回、道が設置した第三者委員会の認定を、道が否定するということになっているのですけれども、個別の案件ではあるのですが、そういうことについてどのようにお考えかというところと、一般的にそういうことはあり得るのかどうかというのをお願いします。
(知事)
繰り返しで申し訳ないのですが、現在係争中ですから、コメントは控えさせていただきます。
(HTB)
最後にこれだけいいですか。弊社取材の中で、遺族側もこのような、道が変わったことについて悲しいというふうにお話しされている中で、知事自身はこれまで謝罪をされてきたわけですけれども、先ほど知事が判断されるというふうにおっしゃっていましたが、今回この方針が変わったことについても知事が判断されたことなのでしょうか。
(知事)
方針が変わったとか変わっていないとか、個別のそういった状況についてお話しする状況にはないと思いますが、今後も適切に対応したいと思っております。私は知事として、道民の皆さまの付託を得て道政を預かっていますから、道民の皆さまに対して、しっかりと仕事で向き合った中で、適切に対応しているということを申し上げたいと思います。
(毎日新聞)
ちょっと戻って申し訳ないのですけれども、エネルギー基本計画の見直しのことでちょっと伺いたいのですが、今、原案の段階で、再エネを4割から5割、原発2割、残り火力ということで、再エネと原発を引き上げて火力を減らすというこの方針についての知事の受け止めと評価をお願いします。
(知事)
再エネについては、エネルギー内訳が示されていて、北海道への期待が高まるということではないかと思います。原発については8パーセントから20パーセントまでということで、例えば、今、原発が稼働しているところ、稼働していないところはいろいろあります。そういう状況の中で、2040年までにどういうプロセスを考えた中で、こういった割合や考え方になっていくのかというのは、まさにこのエネルギー政策を預かる国として、どういう考え方の下で原案を取りまとめているのかというのは、国民に対して説明する責任があるのではないかと思います。
(毎日新聞)
あらためてになるのですけれども、さまざまな政治家の方がですね、原発に対する評価というのをされてきて、政策を話し合ってそういうことを決めていると思うのですけれども、知事の中ではですね、その原発の活用についてはどのようにしていくべきとお考えなのでしょうか。
(知事)
安全性をしっかり確認していくことが重要だと思います。
(毎日新聞)
安全性が確認できたものについては、活用していったほうがいいという理解でいいですか。
(知事)
私がその点を申し上げると、具体的に泊発電所の話になってきますから、そこは審査中なので申し上げる状況にはないと思います。
(毎日新聞)
その再稼働の審査結果が出てですね、容認するかどうかというところで、あらためて知事の考えを表明されるという形になるのでしょうか。泊原発の再稼働を認めるか認めないかという時が来るのだと思うのですけれども、その段階で知事の原発に対する考えを表明されるという理解でよろしいのでしょうか。
(知事)
当然です。それは泊については、今は予断を持って申し上げる状況にはないというところです。それぞれ原発立地地域、それぞれの県や、また、立地地域などと、さまざまなそういった説明やプロセスを経て、稼働の可否について判断しているわけですから。それは、それぞれの地域において、そういった議会議論や地域での議論を踏まえた中で判断されているという状況だと思います。エネルギー基本計画のところは、数字として20パーセントと出ていますから。だから何かしらの考えがあって数字を積み上げていくということなのでしょうから、そこは説明する責任があるのではないかということを申し上げたいと思います。
(毎日新聞)
話が変わって申し訳ないのですけれども、今年1年を振り返ってですね、漢字1字で表現していただいて、あとその理由を教えてください。
(知事)
漢字はこの字ですね。「生まれる」という、「生」という字にしました。毎回、1字ってすごい難しいなと思うのですけれども、ただ1月1日に能登半島の地震があって、まさに今も復旧復興、重要な状況です。生命を守っていくことについて、本当に今年1年、多くの方が意識したと思いますし、また、長引く物価高もあって、国民生活がやはり厳しい状況の中で、1年を過ごさざるを得なかったというところもあると思います。また、北海道においては、今日のGXビジョンがこれからどうなるのかとなりますが、再エネの関係で言えば、特区などの動きもさまざまありましたし、洋上の風力、こういう動きとかもあって、それぞれ再生可能エネルギーの取り組みの方向性、こういうものが大きく進んだ1年でもあったかなと思いまして、この1字ということにしました。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責 広報広聴課)