知事定例記者会見
- 日時/令和7年1月24日(金)14:40~15:14
- 場所/記者会見室
- 記者数/19名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
なし
記者からの質問
- ヒグマ対策について
- バックカントリー事故について
- 部課長会によるパーティ券購入について
- 食料・農業・農村基本計画骨子(案)について
- 国の計画等への北海道の位置付けについて
記者からの質問
(NHK)
二点ありまして、まず一点目なのですけれども、クマ関係の話です。昨日、北海道猟友会が市街地でのクマ対応に当たっては、事前に自治体や警察との連携が不可欠だという趣旨の通知文を各支部に出しました。まず、これについての受け止めをお願いしたいのと、年末以降、道のほうでも各振興局ごとに警察や各猟友会とも協議してきたと思いますけれども、今後、今日始まった通常国会でも市街地での銃規制の法改正も見込まれる中で、この通知文とともに、どのようにいわゆるヒグマの市街地の対応をとっていくべきだと考えていらっしゃるかという部分について、ご所見をいただければと思います。
(知事)
北海道猟友会のほうから、昨年の一連の報道に対して、道猟友会としてもコメントを出したというところですが、不安に感じている会員や市町村もあるということから、ヒグマの出没が少ないこの時期に、猟友会として従来行ってきた捕獲対応はこれまでどおり協力していくことを、あらためて周知するために通知することにしたということで、北海道猟友会のほうからお聞きしているところです。
道としては、捕獲に従事される皆さんが安心して現場で活動することができるようにしていくことが重要であると考えています。質問にもありましたが、昨年末に市町村、道警察、猟友会などに参加いただいて、振興局ごとで開催させていただきました、意見交換会でのご意見などを踏まえて、今後、あらためて各振興局での会議において、鳥獣保護管理法の改正内容などの共通認識を深めていくとともに、各地域での出没対応訓練などを通じて、一層の連携を図っていきたいと考えています。
(NHK)
出没の例えば対応訓練みたいなものというのは、基本的に各振興局ごとに必要に応じて行うという基本的な考え方という理解でよろしいものなのでしょうか。
(知事)
エリアごとの振興局ごとに協議会の中で、年末にお話しさせていただきました。その意見交換の場でさまざまな意見が出ましたので、基本的にはそれを踏まえた中で、この会議を開催していくということです。さらに、そういったニーズに応じて、出没対応訓練などについてもしっかり協力しながら対応していきたいと考えています。
(NHK)
二点目になるのですけれども、話題変わりまして、バックカントリースキーの話になります。道内でもバックカントリースキーによる遭難者が今年相次いでいまして、道警のまとめですと、去年11月から昨日までなのですが、道内では27人が遭難しているという統計があります。いわゆる前年度の同じ時期と比べますと、前年度14人と確か聞いているので、倍になっているという状況の中で、まずこのバックカントリースキーについての知事のご見解を全般論として伺いたいのが一つと、今、遭難者の中で、特に外国人が多くを占めています。外国人以外も含めてですけれど、救助に当たってはいろいろな公的な税金なども使われているという側面もあるかと思いますし、特に外国人の場合ですと、いわゆる税金を払っていないという部分で、フリーライドみたいな部分についていろいろな思いを持っている道民の方、市民の方などもいらっしゃるかと思いますけれども、この点、外国人対策というべきなのか分かりませんが、インバウンドが増えている中で、その辺の部分も含めて今どのようにお考えか、もしお考えありましたらご所見をいただければと思います。
(知事)
北海道は、皆さんご承知のとおりパウダースノーが素晴らしいということで、良質な雪を求めて、国内外から本当に多くの方々にお越しいただいているところです。北海道としても、観光機構と連携して、アドベンチャートラベルということで、良質な雪を求めてこられる方々に対して、その魅力も発信しているところです。一方で、整備された区域外でのバックカントリーの中で、雪崩に巻き込まれるといったことなど、毎年事故が発生しているという状況です。これは当然のことですけれど、まず安全第一にそれぞれの地域のルールを守っていただいて、十分な備えをして、冬山を楽しんでいただくことから徹底していかなければいけないと考えています。道としても、道警や庁内外の関係機関の皆さんと連携して、昨年11月に「バックカントリースキー事故防止等に関する検討会」を開催させていただいて、早速この12月には庁内連携の上で、道のウェブサイトにおいて、安全情報の掲載、それと関係機関への周知を行っているところです。特に外国人の方々のそういった事故などもある中での、多言語での情報の啓発発信という取り組みも進めているところです。観光機構におけるSNSの発信、今後もそういったことなども行いながら、このバックカントリー事故の多い自治体との協力もいただきながら、旅行者に向けた安全啓発活動をしっかり進めていきたいと思っています。それと、これは大事なポイントとして、北海道は「アドベンチャートラベルガイド認定制度」というものを開始していますけれども、この認定(制度)においては、バックカントリー分野も設けて、安全管理に関する研修を受けたガイドを紹介しています。この認定制度以外にも、これまでもガイドなどを担ってきた方々がいらっしゃって、それぞれの地域の情報、「今日は厳しい状況なので、バックカントリーには適さない」などの判断をされて、ガイドのこういった指導の下で安全に対応されているという実例があるわけですので、こういった地元をよく知るガイドの皆さんの活用、重要性についてもより理解していただくということで、とにかく安全第一、そして地域のルールを守っていただくことを徹底しながら、楽しんでいただくことが大変重要だと考えています。
(北海道新聞)
3週連続で大変ちょっと恐縮なのですが、部課長会費による政治家のパーティー券購入問題について聞かせていただきます。先週の会見では、道庁不正経理の際にですね、30年前になりますけれども、策定された改善プログラム、この存在の有効性などについてお聞きしたわけなのですが、その改善プログラムでは、部課長会費による政治家のパーティー券の購入、これを禁止していることを定められたものでして、それ自体を知事自身が、先週の私とのやり取りの中で認められずに、内規と認められずにですね、調査を行わないというような考え方を繰り返しおっしゃったかと思います。見解について、私自身、道庁のOBであるとか、複数の大学教授とか専門家、あと、現役の道庁の幹部の方とか、職員の方からもさまざまな異論をお伺いいたしました。例えば、改善プログラムは最も重要な位置付けで、通達より優先されるべきだとか、知事らの対応について、道民目線とは思えない、それと知事らは問題から逃れるようにするのではなくて、実態調査して再発防止を図るべきだ、こういった声をお聞きしたのですけれども、道としての対応方針というのはその後変更されるということはないのでしょうか。
(知事)
さまざまな声を真摯に受け止めなければならないと思いますけれども、まずこれは前回も申し上げてきたことなのですが、この部課長会というものが何なのかということですけれども、部課長会については、毎月私費で、個人のお金を集めて、会員相互の親睦の会とか、慶弔費、こういったものなどに対応する、これは民間企業にもあるような任意の親睦の団体であるということです。部課長会ということで、今日初めてこの(定例記者会見の)ライブを見ている方もいるかもしれませんので、この部課長会というのは、まずそういうものですということです。このパーティー券については、総務部部課長会からは、購入はあったけれども、直ちに法に抵触するものとは認識していないものの、誤解を招かないように、今後、部課長会では購入しないこととしたということで聞いているというところです。まず、これを前提として、申し上げたいと思います。
そして、質問にあった改善プログラムですけれども、改善プログラムの当時は、これは私費ではなくて、公費から捻出した経費、それと私費で集めた部課長会費、これを一元的に管理していたと、これは今だったら信じられませんけれども、その公費から捻出した経費なども含めて、このパーティー券を購入していたということなのです。こういったことを踏まえて、不正経理問題、この改善に取り組むための方針として、公私の区分を厳格にするため、公費によるパーティー券の購入、ですからこの私費ではなくて公費によるパーティー券の購入や、組織としてのあっせんに基づく購入を禁止するとしたものです。ですから、この点はそういうことで当時あったということです。これを受けて、具体的な施策として別途通達を出しています。綱紀の保持や適正な予算執行の観点から、公費による購入、そして組織としてのあっせんに基づく購入を禁止するということで、職員の皆さんにも周知を図ってきたというものです。
先ほど、さまざまな方々から、さまざまなご意見があったということ自体は、これは受け止めなければならないと思いますけれども、今申し上げたような、時系列や改善プログラム、そして通達の取り扱いについて、まずはこれを情報として皆さんにご理解いただきたいと思います。そして今回の件については、私費で運営されている親睦の団体です。部課長会費によるパーティー券の購入については、これは私費で運営されていますので、公費でパーティー券を購入しているというものではないということは分かっていただけると思うのです。なので公費による購入には当たりません。
組織としてあっせんした事実もないということですので、プログラムや通達には違反していないということですので、先ほど少し質問の中でプログラムの受け止めに関する認識の違いが若干あったのかと思うのですけれども、プログラムにも違反していないし通達にも違反していないということです。ですから、道として調査する考えはないということです。いずれにしても、これは職員は、公務員として、公であろうが私的なことであろうが、公私問わず、法令などに違反するとの疑念、誤解を招くことがないように、適切に対応しなければならないと考えていますので、今後ともしっかり対応していただきたいと思っています。
(北海道新聞)
今、知事のお答えの中で、その改善プログラムの文言としてですね、公費の区分を厳格にするため、職場でのパーティー券の購入およびあっせんは一切禁止するという表現で、私が認識している、改善プログラムの文言としては、購入およびあっせんの後に、個人的なもの、部課長会費によるものも含め一切禁止するというふうなことが盛り込まれているというふうに認識してるのですけれども、これは削除されたということなのでしょうか。
(知事)
削除されていないです。
(北海道新聞)
これはどうなっているのですか。
(知事)
今ご指摘のとおりそのまま書いてあります。だから先ほど言ったように、公私、公費によるものと私的なものが一元的に管理されていて、パーティー券を購入されていたのです。不正経理問題の時ですけれども。そういうことがあるので、公私の区分を厳格にするために、公費によるパーティー券の購入は、これは駄目ですよと。そして、組織としてのあっせんに基づく購入は駄目ですよということで、当時、方針として禁止ということにしたというものです。私もあらためてこの当時の状況などの説明を受けて、当時どういった趣旨、そういう状況の中でこれが策定されたということを説明を受けて、今申し上げたような状況で禁止されているというところです。
(北海道新聞)
公私の区分を厳格にするため、職場でのパーティー券の購入およびあっせんは、個人的なものを、部課長会費によるものも含め、部課長会費によるものも含めと書いてあるのですけれども、これが改善プログラムに書いてあるのだけれど、改善プログラムには違反しないのですか。
(知事)
だから先ほど言ったように、禁止されているのは公費によるパーティー券の購入、そして組織としてのあっせんに基づく購入、これを禁止したということですね。
(北海道新聞)
含めというふうに書いてあるこの言葉の意味が、私の解釈が間違っているということなのでしょうか。含めと書いてあるのですけれども。
(知事)
当時は公費と私費が混ざった中で、一元的にパーティー券などを購入していたのです。これは、パーティー券だけではなくて、いろいろな問題があったのですよ。そういう状況の中で、この方針が作られて、禁止されたというところです。
(北海道新聞)
部課長会費によるものも含めというふうに改善プログラムに書いてありますから、普通に考えたら、その部課長会費によるパーティー券の購入というのも禁止しているのかなというふうに読み取れるかなと思うのですけれども、そうではないのですか。
(知事)
今、申し上げたような禁止事項というか、禁止したものは公費によるパーティー券の購入、これは駄目ですよと。組織としてあっせんに基づく購入、これも駄目ですよということで、この当時、禁止ということにしたものであるということです。
(北海道新聞)
分かりました。ちょっと話がかみ合わないという指摘も受けたのですけれども、そういうことになりますね。
(日本農業新聞)
農水省の食料・農業・農村基本計画のことでお伺いいたします。今週の水曜日に、農水省で審議会が開かれまして、そこで新たな基本計画の骨子案が示されました。去年から知事はいろいろな場面で、北海道を基本計画に位置付けてほしいみたいな発言をされていらっしゃいましたけれども、骨子案には新たに盛り込まれた品目ごとのKPI目標で、麦、大豆、ジャガイモ、てん菜、牛肉、生乳で主な産地の一つとして北海道が位置付けられております。このことに関して、ちょっと二つ伺いたくて、まず一つ、知事はどう受け止めていらっしゃるかということと、もう一つ、これから今後の会合で具体的な数値目標とかも、より詰まったことが出てくると思うのですけれど、北海道として、国に今後どういったことを求めていきたいか、この二点をお願いします。
(知事)
これはさまざまな場面で繰り返し申し上げて来たのですけれども、今、食料安全保障の強化などを柱とした食料・農業・農村基本法が、四半世紀ぶりに改正されました。わが国において、やはり食料供給地域である北海道の果たす役割、期待はますます大きくなるという状況の中で、記者の皆さんもそうですし、道民の皆さまもそうですし、国民の皆さまもそうだと思うのですけれども、北海道は食において大きな役割を果たしてきたということは、多くの方々が「そうだよね」ということで、認識してくれている話だと思うのですけれども、ただ一方で、こういった法律に基づいて位置付けがされていないということで、食料自給率1パーセント未満の東京都も、食料自給率200パーセントを超える北海道もある意味同じで、47分の1という状況で、これは私はおかしいと(主張してきた)。なので、この食料安全保障の強化などが評価される中で、やはり基本計画の中には北海道を重点的な地域として位置付けるべきであるということで、主張を繰り返してきました。その点については、このたび農林水産省にもご理解いただいて、先ほどご質問にあった一昨日に開催された国の審議会において示された新たな基本計画の骨子案、これはまだ案なのですけれども、その点で初めて、北海道が「主要穀物などの主産地」であるということ、そして、小麦、大豆、ばれいしょ、てん菜、牛肉、生乳の主な産地は北海道であるということで、しっかり記載されました。皆さんからすると、当たり前ではないかと思うかもしれないのですけれど、でもこの位置付けがなかったのです。だから結局、わが国の農業を進めていく時に、北海道という文字、他の県は入っていませんから、なになに県とか一切。北海道が主要穀物などの主産地なのだということを明確に国として位置付けた上で、今後、必要な対策とか、必要な予算とかを議論していくのか、そうではなくて、47分の1で、東京都も北海道も同じで議論していくのか、全然違うわけです。ですから、やはり私はしっかりとこれは位置付けるべきだということで、お話ししてきた中で、今までにない、かなり思い切った農水省としての判断をされたということだと思います。農林水産大臣に対しては、農業団体や経済団体、消費者団体、市町村、18団体と道議会で、オール北海道でこのことについては、政策提案を行ってきました。そして、これも提案させていただいた中で、農政部長が審議会の臨時委員として、唯一参画して、積極的な発言を繰り返してきました。さまざまな機会を通じて訴えを続けてきたところでありまして、この3月に計画策定ということで、今、骨子案ですから、こちらに向けて新たな基本計画が本道で農業を営んでいる方、そして、それを今後どうしようかと考えている将来の世代の皆さまも含めて、この食料システムの関係者の皆さまに対して新たなこのチャレンジへの意欲とやる気がつながる、そういうメッセージになるように、国に対しては引き続きオール北海道で、この計画の骨子案が成案になるまで、働きかけを行って、食料安全保障は北海道がしっかり役割を果たすのだと、そして、その重要な位置付けをしっかり勝ち取るのだということを、引き続き進めていきたいと考えています。
(NHK)
今の質問に関連してなのですけれども、さっきの農業の基本計画もそうですし、この前のGXビジョンの時にも北海道の位置付けが一応明確化されたことがあったと思うのですけれども、今の話を聞いていて個人的に少しなるほどなと思ったところもあるのですけれど、知事は結構国のいろいろな計画に北海道という位置付けを明確化させるということにすごくこだわっているというか、それを目指しているところがすごくGXにしても農業にしてもあるなと思うのですけれども、それはつまり、北海道がいろいろな国の計画に位置付けられると、いわゆる47分の1という位置付けなのか、それか1分の1ということなのかで、いわゆる対国との例えば予算折衝の部分とか、国の投資を呼び込むとか、そういう部分において、すごく立ち位置が変わるからこそ、そういう文書への北海道の位置付けを明確化させたいというふうに考えていらっしゃるのか。多分その部分もあるのかなと思うのですけれど、ほかにも例えば、今のまさに当事者の農業だったらその農業に携わっている北海道の農業の方に対する、いわゆる北海道に関わる人間としてのプライド、誇りというか、そういうところにもメッセージとして響かせたいのか、何かその辺の位置付けにこだわる狙いみたいなものが、もし聞けたら嬉しいなと思ったのですけれども、どうでしょうか。
(知事)
私は、これは北海道にとっても必要だし、わが国にとっても必要だからこそ言っています。食料安全保障をこれから進めていく時に、どう考えたって北海道と東京都は同じではないです。昔は人口が増加して、予算も配分して、47都道府県横並びでいろいろなことをやれたかもしれないけれども、課題もグローバル化して、人口も減って、日本としてさまざまな新たな課題に対応していく時に、やはり各地域が持っている強みや必要性、その必然性も含めて、今回、列島改造ということで総理も言っていますが、私は経済の安全保障や、食料安全保障の観点からも、やはり北海道が果たす役割はすごく大きいし、そのことによって、わが国のそれぞれの安全保障も確実なものになると。先ほど食のお話もありましたけれども、過去から現在、また、未来に向けて、やはり農業者の皆さんだって、プライドを持って生産してくれています。それはもちろん北海道のためであり、わが国のためにも、主要な産地として、懸命に食を安定的に届けるために努力しているということもあるわけです。プライドを持って。でも一方で、その位置付けは47分の1だというのが今までの農業政策の考え方だったわけです。結局、農地や生産量も含めて北海道は非常に大きいので、そういう意味では予算措置なども結果論としては重点的な措置がなされることが多いのですけれども、ただ、今、こういう国全体をどうしようかという状況の中で、北海道にこういう役割を果たしてほしいということを、やはり国からもしっかり位置付けていただいた上で、そこに携わる方が将来希望を持って国のためにも、誇りを持って、地域のためにも、食料安全保障、また、このおいしい北海道の食を守っていく、そのための必要な取り組みは、国ももちろん、道も市町村も一緒になって対応していくということが私は重要だと。ですから、経済安全保障でも、今、次世代半導体というキーテクノロジーを北海道から量産していこう、また、GX分野における投資も、やはり北海道に(してもらおう)、そのポテンシャルが大きいわけですから、そういったところをしっかり国家戦略上位置付けた上で、例えば投資にあっても予見可能性が生まれます。国として、中長期的な考えとして、北海道に重点的に投資していくということが打ち出されるのか、そうではなくて毎年度毎年度、その考え方が変わるかもしれないリスクにさらされながら投資検討していくのかということも違います。農業も基本計画はこれは5年ですから、そういう意味でその根幹となる部分の考え方をしっかりと位置付けた中で、道も市町村も、しっかり政策立案、実行していく、これが今までのある意味の地方創生の中で、10年前に足りなかったところでもあるのではないかと思っています。
ですから、列島改造ということで総理が言っていましたが、私は本当にそれを実現するということであれば、重点化なども含めて、国として日本全体をどうするのかということと、それに伴う具体的な政策、これを都道府県や市町村としっかり議論して実行していく、そういうことがないとなかなか日本列島全体での改造、こういうものにはつながらないのではないかと思うので、この点、引き続き、今の政府にも提案していますけれども、北海道からどんどん提案していきたいと思います。
(NHK)
最後の質問にさせてもらうのですけれども、今の話を聞いていると、やはり一昔前の経済が右肩上がりの時代、色々な地方に国として予算を平等にばらまいていた時代ではなく、やはり国の中でも財政が今、厳しい中で、それぞれの地域に、何が強みかということをちゃんと国としても考えながら、どこに予算を重点的に配分すると、地域がより発展するかということを考える上でも、そういういろいろな国の政策にいろいろな地域、北海道だけではないのかもしれませんけれど、明示させるということが、ひいてはいろいろな民間の投資を呼び込んだりとかして、その地域の発展に資するのではないかというお考えが頭の中にあるということなのでしょうか。
(知事)
例えば、分かりやすい例で言うと、半導体関連産業についても、熊本県のTSMCや北海道のラピダスがありますが、あれも「AI・半導体産業基盤強化フレーム」という枠組みの中で、今後、中長期的にも成長が期待される、また、経済安全保障上も必要な産業分野に対して、10兆円以上の公的支援を行うということを明確にした上で、その立地している地域、具体的には北海道や九州などに対して、政策実行して、これは今までのいわゆる国の考え方としてあまりなかったと思うのです。ただ、それが何か必然性がないところにやっているわけではなくて、大規模用地とか、水だとか、再エネだとか、いろいろな条件の中でそういった政府としての支援を行っています。食料安全保障も、人口も減って生産者も減少していますけれども、北海道は唯一、大規模化もしながら農地を維持している地域で、かつ、今、カロリーベースで24パーセント強、わが国の食の4分の1を担っている地域で、今後、さらにその割合が高まっていく。さらには、輸入穀物への依存が課題になっている中で、6、7割を北海道が生産しています。そういった地域への期待や、合理的な支援というところで考えると、やはり食料自給率1%未満の東京都と本当に全く同じなのかというと、私はやはり違うと思います。ですから、そういったところに対しては必要な目標を設定した上で、国と連携しながら、国民の皆さんの食を守るための取り組みが必要だということです。その結果として、私はやはり経済と食の安全保障の両方からも北海道が期待される中で、北海道経済をしっかり活性化させて、北海道の潜在力というのを、今まで潜在力でとどまってきたところをしっかり具体的な経済振興政策や産業政策でもって、その価値を上げていくということが、北海道にとっても極めて重要な考え方だと思っていますので、そこをやはりしっかりやっていくと。私はやはり、それこそ列島改造なのだと思います。総理は、ぜひそういう具体的な説明をすれば、楽しい日本というか、そういうのも誰も否定はしないと思うのですけれど、具体的にどうやって列島を改造するのですかといった時に、今、私が申し上げたような話を具体的にすると、少しそういう産業拠点の集積のイメージとか、国民にとって必要な投資なのだとか、そういったところが分かるのではないかと思うのです。なので、ぜひそういうことは総理にも、北海道の例としてこういうことがあるのではないかということは、お話ししたいし、ぜひ総理としても国民に話してほしいと思います。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責 広報広聴課)