知事定例記者会見
- 日時/令和7年1月30日(木)15:00~15:25
- 場所/記者会見室
- 記者数/16名(テレビカメラ1台)
会見項目
知事からの話題
- NUMOの説明会における経産省やNUMO幹部の発言について
- 赤れんが庁舎のリニューアルオープンに向けたPRの取組について
記者からの質問
- 高レベル放射性廃棄物について
- 次世代半導体複合拠点の形成について
- オーバーツーリズム対策について(1)
- オーバーツーリズム対策について(2)
- 宿泊税について
知事からの話題
NUMOの説明会における経産省やNUMO幹部の発言について
私から二点、お話しさせていただきます。
まず一点目であります。今月23日に東京都内で開催されました最終処分事業に関する対話型説明会におきまして、「北方四島に最終処分場を建設してはどうか」との出席者からのご意見に対しまして、経済産業省の幹部が、「魅力的な提案だ」と発言した旨や、NUMOの幹部も、「一石三鳥四鳥」などと発言したという報道がありました。この報道を受けまして、道では、経済産業省およびNUMOに事実確認を行いました。事実確認を行った上で、一昨日、直ちに経済産業省とNUMOに、北方領土は北海道の一部であり、容認できない軽率な発言であることなどの申し入れを行ったところでございます。その申し入れ以降でありますが、昨日、武藤経済産業大臣から私のほうに電話がありました。「当省職員の軽率な発言で、お騒がせして申し訳ない」とお詫びがありました。お詫びとともに、「『魅力的』という言葉を使ったことは軽率だったと考えており、以後このようなことがないよう徹底していく」という話がありました。私からは、北方領土は北海道の一部であり、元島民の方々がふるさとに対する強い思いを抱いている中で、このたびの発言は、北方領土問題に対する理解や配慮に欠けているということ、また、全国で理解活動を進めているにも関わらず、北海道の一部である北方領土に最終処分場を造ることを肯定していると誤解されるものであることから、こうした発言は大変遺憾であり、今後このようなことがないよう、国やNUMOからの説明は細心の注意を払い、丁寧な説明を徹底していただきたいとお話しいたしました。大臣からは、あらためて丁寧な説明を徹底していきたいと発言があったところでございます。
さらに本日、NUMOの山口理事長から私に電話がありました。「当機構理事による『一石三鳥四鳥』という発言について、軽率であり、申し訳ない」とお詫びがありました。また、「昨日の釧路での説明会でも謝罪させていただき、明日の根室での説明会でもしっかりと謝罪したい。あらためて緊張感を持ち、地域の皆さまの心情に配慮した丁寧な説明を徹底していきたい」というお話がありました。
いずれにいたしましても、最終処分の問題は国民的な議論が必要であります。道としては、エネルギー政策の責任を持つ国が、全国での最終処分事業の理解促進に努めるべきと考えています。引き続き国やNUMOに対し、国民の皆さまへ丁寧な説明を行うよう求めてまいります。
これが一点目です。
赤れんが庁舎のリニューアルオープンに向けたPRの取組について
二点目でございます。
赤れんが庁舎のリニューアルオープンについてです。本道を代表する歴史的建造物である赤れんが庁舎につきましては、建物の適切な保存と展示内容の充実などを図るため、令和元年度から改修工事を進めてまいりました。本年7月25日に、魅力的な施設として6年ぶりにリニューアルオープンするところであります。今回は「さっぽろ雪まつり」におけるPRの取り組みについての紹介です。
2月4日火曜日から「さっぽろ雪まつり」が開催されるところです。大通会場7丁目の大雪像は、赤れんが庁舎になります。赤れんが庁舎が大通会場の大雪像になるのは今回が初めてです。現在、陸上自衛隊をはじめとする関係者の方々による雪像制作が進められています。私も先日、激励にお伺いしたところでありますけれども、雪まつりの開催に先立ち行われる「大雪像完成引き渡し式」に出席させていただく予定であります。道としても、半年後に迫ったリニューアルオープンに向けて、雪まつりの期間中に同会場内の大型ビジョンの動画放映や、PRブースを設置して、パネルや雪像模型を展示いたします。また、先般、赤れんが庁舎を覆っておりました仮囲いが撤去され、建物の全体が見えるようになりました。国内外から多くの方々が訪れる雪まつりの開催に合わせまして、約2年半ぶりとなりますが、2月4日火曜日から、赤れんが庁舎のライトアップを再開いたします。リニューアルオープンの効果が全道に波及するように、節目節目でPRを展開して盛り上げていきたいと考えております。報道の皆さまにも、積極的に取り扱っていただければ大変ありがたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。
私からは以上です。
記者からの質問
(北海道新聞)
NUMOの件なのですけれども、今日、山口理事長から知事は電話をいただいたということですが、知事のほうからは理事長に対して、あらためてどのようなことをお伝えになったのでしょうか。
(知事)
(経済産業)大臣にも申し上げたのですけれども、北方領土は北海道の一部であり、元島民の方々のふるさとに対する強い思い、こういうものを抱いている中で、NUMOの幹部の方の発言は、「一石三鳥四鳥」という発言でありました。この発言は、そもそも北方領土問題に対する理解、配慮に欠けておりますし、また、最終処分場を造ることを肯定すると誤解されるということがありますので、重ねてさらに申し上げたのは、今回の説明会というのは、NUMOが主催で行っていまして、これは昨日、経済産業大臣からお詫びの連絡もございましたけれども、NUMOからは何らご連絡等がない状況の中でありました。本日の午後にご連絡をいただいたという状況でありますから、やはりそういった報道がなされている中で、しっかり反省に立つ中で、本来連絡もいただきたかったというところがございますし、その点などについても、二度とこのようなことがないように、併せて、私からは申し上げたというところです。
(日経新聞)
一昨日28日に、内閣府の地方大学・地域産業創生交付金に、道は札幌市などと採択されたかと思います。道が目指す半導体の複合拠点の形成にも、重要な役割を果たすものかと思うのですけれども、コメントもいただきましたが、あらためて受け止めを伺わせてください。
(知事)
これは、ラピダス社が進める次世代半導体の製造、それに併せて、製造のみならず、研究、人材育成の複合拠点の実現を、北海道として目指しているという状況の中で、このたび、採択された事業につきましては、札幌市、千歳市とも連携し、さらには北海道大学、公立千歳科学技術大学のリソースを活用することで、半導体人材の育成と研究開発を一体的に進めていこうというものであります。
北海道が目指す、製造のみならず、研究、人材育成等が一体となった複合拠点の実現に向けた中核的な事業と考えているところです。国からこの採択をいただけたというのは、大変ありがたいことだと思っています。
また北海道は、このGX2040ビジョンの案においても、GX型の産業構造の転換につなげていく地域ということで、経済産業省また国家戦略としても取り上げていただいています。そういった中で、本事業を進めていくということで、本道への半導体関連産業、そして研究機関の集積、それを支える人材育成を一体的に進めることによって、北海道の経済の持続的な発展と雇用の創出につなげていきたいと考えています。
(日経新聞)
数カ月後にはラピダス社も試作ラインの稼働が迫っている中で、本格的に道内でもこの半導体産業というのが動き出す年に、今年は入っているかと思います。そういう意味で、今回の採択の取り組みに限らず、今後、半導体の拠点形成だったりとか、ラピダス社以外の産業の集積というところも必要になってくるかと思うのですけれども、道としてどのように取り組んでいくかというところをお聞かせください。
(知事)
GX全体の取り組みとして、特に国の中で、AI・半導体については、とりわけ成長が期待される産業という中で、「AI・半導体産業基盤強化フレーム」などに代表されるように、10兆円を超える公的支援を行っていくことを発表され、さらには、このGXビジョンの中でも、そういった国家戦略上の位置付けを明らかにして、今、パブリックコメントや通常国会においてさまざまな審議が行われています。北海道としては、昨年、議会にもご理解いただいた中で、GX関連投資をさらに促すための全道域を対象とした税制の優遇、また「Team Sapporo-Hokkaido」で展開する中でのGX金融・資産運用特区、さらには現在検討中の進出企業に対する助成制度のさらなる充実、こういったものなど、全道で波及効果をしっかり創出していきたいと考えております。
また、これから来年度に向けた予算の査定作業が本格的に始まっていきますので、今回の採択も踏まえた中でさまざまな検討をしていきたいと考えています。
(HBC)
オーバーツーリズム対策についてお伺いします。中国で春節を迎えて、道内には多くの外国人観光客の方が来ております。先日、小樽市の線路に立ち入った中国人観光客の方がはねられるという事故も起きていて、オーバーツーリズムの問題が大きくなってきていると思っています。道としては、現状、オーバーツーリズム対策としてどのようなものを行われているのか、また、来週から雪まつりが始まりますが、ここにおいて何か新たに対策していること、することがあれば教えてください。
(知事)
今、ご質問の中にもありましたけれども、小樽市において、外国人観光客の方がお亡くなりになるという死亡事故が発生いたしました。大変痛ましい事故であります。お亡くなりになられた方に対しまして、心よりお悔やみを申し上げたいと思います。
小樽市においても、今般の事故が生じる以前から、中国に向けた観光情報サイトの中で、小樽市を紹介するページの目立つ場所に、「道路に飛び出さない、はみ出さない」などの注意喚起の文言を入れるなどの取り組みを行ってきたと承知しています。また同様に、JR北海道におきましても、駅やホームページなどで注意喚起を実施してきたというところであります。今、お話がございましたけれども、全国的にも観光客の方が増加、これに伴って観光客が集中する一部地域においては、習慣の違いや理解不足によって、例えば、農地などへの無断侵入、ゴミの不法投棄、線路への立ち入り、交通渋滞などさまざまな問題が発生しています。それぞれの地域の方々、そして市町村、企業など、これまでも対策や注意喚起などを行ってきているところであります。北海道としても、観光機構をはじめとする関係機関と連携させていただいて、チラシやホームページなどの啓発と発信も行ってきています。このたびの小樽市での事故を受けまして、新たにJR札幌駅の観光案内所においては、外国人観光客に対する注意喚起チラシの配布をはじめたところです。また、美瑛町やニセコエリアなどで、国の支援制度を活用して、オーバーツーリズムの未然防止や抑制といった取り組みも進めてきているところであります。北海道としては、これらの取り組みの成果も踏まえながら、今後とも国、市町村、関係団体の皆さまとも連携して、こういった情報の発信などの取り組みをさらに進めていかなければならないと考えています。そして、地域と観光客の皆さまが良好な関係の下で、持続可能な観光の振興を図っていく、これがポイントというか重要であると考えておりますので、観光振興に向けて、そのような取り組みを皆さんと連携して進めていきたいと考えています。
(HBC)
確認なのですけれども、JR札幌駅での新たなチラシの配布の主体はJRという形になるのですか。
(知事)
これは協力して配布を開始したと聞いております。
(HBC)
各自治体で例えば、観光地への立ち入り制限ですとか、警備員の配置とか、それぞれがやられていると思うのですけれども、道としてはやはりどちらかというと、情報発信というのをやっていくというのが、主たる取り組みになっていくという形ですか。
(知事)
要は、立ち入り禁止もそうですし、その地域のルール、これは地域というか国もそうですが、そういった状況が正しく伝わらない中で起きてしまう、そういったことも多いと思っています。また、魅力的だと感じてくださる地域にお越しいただくことと、ルールなどを守っていただきながら地域との良好な関係を(どのように)作っていくかについては、それぞれの地域で置かれている状況、背景、こういった違いなどもあります。先ほど申し上げたオーバーツーリズム対策は、北海道においては国の先行モデル地域として指定をいただきながら取り組んできた事例などもあります。また、そもそも想定していなかったような地域が魅力的だということで、多くの方がお越しいただく中で、当初想定していなかったような課題が出てきているような状況もあるとお聞きしています。そういった地域の情報をしっかりと観光機構、また関係機関とも情報共有した中で、こういった対策をしたことで効果があったという事例については、共有しながら北海道も関わって対応していく必要があると思いますし、また何より、そういったルールや情報を知っていただくことが、非常に重要ですから、そこは多言語での発信も含めて、より力を入れていかなければならない点だと思っています。これは地域単位で、それぞれがやることに限界があるというところでもあると思うので、そこは北海道としても力を入れてやっていくべきだろうと思っています。
(NHK)
今の質問に関連してなのですけれども、もちろん情報発信というのは当然大事なコンテンツの一つだと思いますが、やはり全国的に見ても、このオーバーツーリズム対応というのがすごく顕在化してきていて、全国的な課題になっている側面もあるような気がしています。特に北海道に関しては、さっきおっしゃっていただいたような小樽市もそうですし、美瑛町とか富良野市とかニセコ町とか、いろいろな地域でそれぞれのいろいろな課題があって、その十把ひとからげにこういう対策をすれば問題解決するというわけではないと思うのですけれども、やはりいろいろなパターンのある課題みたいなものを、道のほうで、例えば聞き取ったり収集したりして、国のほうにしっかり上げて、国のほうに全体で、今のまさにこれからますます多分増えていくようなこのオーバーツーリズムの課題をもっと真剣に検討してもらいつつ、国全体もしくは北海道が主体的に立って課題解決に当たっていく姿勢みたいなものを、国にも多分伝えていかなければいけないと思いますし、道としても当初予算でどういうことをやるのか分からないですけれども、もっと積極的にやっていかないと、地域に住んでいる住民の方々が既に、もうやはり外国人への忌避感というか、もうあまり来てくれるなというような声も、私も話を聞いているとそういう声も出てきているので、割と真剣に考えて、待ったなしの状況で対応していかなければいけないかなという気がしています。
質問が長くなりましたが、あらためてなのですけれども、その辺の知事としての危機感とか、要するに対策のスピード感みたいなものをどのようにやっていかなければいけないと思っていらっしゃるのかというのを、ぜひもう一度あらためてお願いできればと思います。
(知事)
今、質問にあったとおりで、これまでも必要な対策については、国にしっかり求めてきた中で、全国的な先駆的なモデル地域に指定いただきながら、その取り組みの実践ということをやっています。その取り組みについては当然、他の地域にも共有しながらやっていますけれども、ただやはり質問の中にもあったように、地域ごとにその状況が異なるというところもありますので、これは北海道の場合は14の振興局があって、管内の市町村の首長の皆さまをはじめとした、地域課題を共有する機能もありますから、そういった振興局の協力も得ながら、北海道全体としてしっかり危機感を持って対応していく必要があるということはそのとおりだと思います。
そして、観光立国北海道ということで、その実現に向け取り組んでいる。そして、北海道観光の果たす役割は、国全体の観光振興の観点からも大きな期待をいただいています。ですから、そういった点についても、国としての対策の重要性についても、併せてしっかり首長の皆さまとともに国に対して求めていく、これも重要だと思いますので、この点も当然、充実強化していかなければいけないと思います。ただ、いずれにせよ魅力的な地域として多くの方にお越しいただいて、それが悲しいことにその地域との軋轢(あつれき)を生むような形になってしまうことは、それは来てくださる方も地域の方も双方が望む形ではないと思いますので、良好な関係の下で観光振興が図れるように、引き続きしっかり汗をかいていく必要があると思っています。
(北海道新聞)
宿泊税の関係で教えてください。先日、後志管内留寿都村が2026年、来年の4月に定率制で宿泊税を導入する方向で検討していることが明らかになりました。道が、道税相当額を納めることを条件に課税免除とする対応を表明したことを受けて、当初予定していた段階的定額制から転換したということです。まず、この留寿都村の方針転換について知事はどのように受け止めているか教えてください。
(知事)
留寿都村のほうで、それぞれ首長または議会、さまざまな関係団体、協議の枠組みがある中でご判断されているということだと思っております。道も、(宿泊税の)導入を検討している地域とは、日頃から情報の交換をさせていただいています。それは留寿都村についても同様でありますので、今後ともそこは丁寧に情報交換を行いながら、お考えなどもお聞きしながら、また、われわれも今、総務省に協議させていただいていますので、そういう状況などもお伝えしながら、対応していくということで進めていければと思っています。
この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責 広報広聴課)