特集 みんなで支えよう!子どもの未来づくり
ケアラー支援の取り組みを、道内に広げていきます。
ケアラー(家族介護者)という言葉を聞いたことがありますか。道では、ケアラーを地域で支えるしくみづくりに取り組んでいます。
ケアラーとは
ケアラーとは、介護やお世話を必要とする家族や身近な人に、無償でケアを行う人のことです。道内に約26万8千人※いると推計されています。家族から頼りにされる一方で、誰にも悩みを相談する機会のないまま、社会から孤立していくことが心配されています。
※平成28年社会生活基本調査(国)
ヤングケアラー
18歳未満のケアラーを指すヤングケアラーは、家庭内のデリケートな問題であることや、本人や家族に自覚がないといった理由から、支援が必要であっても表面化しにくい状況にあります。年齢や成長度に見合わない過度な責任や負担がかかることで、子どもの成長や学びに影響を及ぼすことのないよう、周囲が支援できる環境づくりが大切です。
道の取り組み
道では、ケアラーに対する地域社会の理解を深め、一人一人のケアラーが必要とする支援につなげられるよう、ことし4月に「北海道ケアラー支援条例」を施行しました。道はこれに基づき、関係機関と連携しながら、道内のケアラー支援を進めています。
道のケアラー支援の取り組み
1.認知度向上に向けた普及啓発
- SNSの活用
- ポスター、リーフレットの配布(予定) など
2.ケアラーの早期発見や相談の場づくり
- 市町村職員への研修
- 北海道ヤングケアラー相談サポートセンター開設(ことし6月・江別市)
- ヤングケアラーコーディネーターを道内8カ所に配置 など
3.ケアラー支援のための地域づくり
- 当事者交流のためのサロンの設置促進
- 市町村へのアドバイザー派遣 など
ご相談ください
家事や家族のお世話をする中で不安を感じたり、困っていることがありませんか。小さなことでも一人で悩まず、お住まいの市町村の窓口などにご相談ください。
18歳未満の方は、専門相談窓口の「北海道ヤングケアラー相談サポートセンター」にご相談ください。
北海道ヤングケアラー相談サポートセンター
江別市東野幌本町7-5(セリオのっぽろ内)
フリーダイヤル 0120-516-086
メール hokkaido.young.carer2022@gmail.com
北海道ケアラー支援有識者会議座長にお話をうかがいました。
「世帯まるごと支援」の考え方でケアラーのために役立ちたい。
北海道ケアラー支援有識者会議 座長
(北海道社会福祉協議会ケアラー支援推進センター長)
中村 健治(なかむら けんじ)さん
●本道のケアラーの実態は?
時代とともに世帯構成が縮小した今の社会で、昔の「家族介護力」を維持することはもはや困難といえます。
ケアラーは、家族の世話をするために自分のことを我慢しがちで、人知れず悩みを抱えてしまう傾向があります。特に、18歳未満のヤングケアラーは、大人が担うようなケアの責任を引き受け、学業や進路選択に影響を受けることもあります。道の調査による「中学2年生の約26人に1人がヤングケアラー」という結果【グラフ参照】は、クラスに1人の割合でヤングケアラーがいるという実態を表しています。
●どのようなケアラー支援に取り組んでいるのでしょう。
道のケアラー支援条例は、ケアラーの幸せな生き方をサポートするという理念に基づく先進的な条例です。ケアを受ける人だけが主役ではなく、「ケアをしているあなたも大切な人」という認識に立ち、世帯をまるごと支援していけるよう、センターとしても取り組んでいきます。
●私たちにできることは?
誰もが人生の中で、ケアをしたりされたりという経験をするはずです。道民の皆さん一人一人がケアラーについて理解を深め、周囲にケアラーがいたら、気づいて、声をかけてあげてほしいと思います。