広報誌ほっかいどう 2023年11月号
【もくじ】
1 特集 環境と経済・社会の調和を目指すゼロカーボン北海道
2 アドベンチャートラベル・ワールドサミット(ATWS)通信
3 ピックアップ 地域情報
4 高校生のマナビバ
5 地域おこし協力隊CAFÉ
6 道からのお知らせ
7 道議会レポート
1 特集 環境と経済・社会の調和を目指すゼロカーボン北海道
脱炭素化と経済の活性化や持続可能な地域づくりを目指す「ゼロカーボン北海道」。
洋上風力発電をはじめ、道内各地で取り組みが進んでいます。
道内の温室効果ガス排出量を2030年までに48%削減(2013年度比)、2050年までに実質ゼロを目指す「ゼロカーボン北海道」を進めています。
(1)北海道は洋上風力発電の好適地
北海道の豊かな自然は、太陽光、地熱、バイオマスなどの多様なエネルギー源として、国内随一のポテンシャルを有しています。「ゼロカーボン北海道」の実現のためには、環境に十分配慮しながら、これらのポテンシャルを最大限に活用していく必要があります。北海道は全国的にみても風力発電に適した風況が得られる地域です。
中でも、海上に風車を設置して発電する洋上風力発電は、全世界で導入が拡大し、コスト低減が見込まれ、地域への経済波及効果も期待されることから、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた切り札として、近年期待が高まっています。
そうした背景から、ことし5月、道内の5区域が国により再エネ海域利用法における洋上風力発電の「有望な区域」に選定されました。
今後は、国と道、市町村、漁業関係者などで構成される法定の協議会を設置し、促進区域の指定に向けて議論を進めていくことになります。
協議会では、地域・漁業との共存共栄策や、漁業影響調査など、選定事業者に求める事項のほか、地域の将来像について議論し、全会一致で意見をとりまとめます。こうしたプロセスを経て、国から促進区域に指定されたのち、事業者の公募・選定が行われ、洋上風力発電施設の建設・運転へと進んでいきます。
(2)石狩湾新港の洋上風力発電施設が12月末に本格稼働
一方、一般海域とは別に、小樽市と石狩市にまたがる石狩湾新港では、港湾区域内において、国内最大級の洋上風力発電施設が建設され、ことし12月末に商用運転を開始する予定です。
これらは再生可能エネルギー会社のグリーンパワーインベストメント(本社・東京)の施設で、高さ約196mの大型風車を14基設置。年間で最大約8万3,000世帯分を発電できる能力を持ちます。
道では、こうした取り組みから得られるさまざまな知見も参考にしつつ、「有望な区域」の道内5区域をはじめとする洋上風力発電の導入に向けて検討を進めていきます。
北海道のポテンシャルを発揮できる洋上風力発電の導入を進めることにより、関連産業の立地促進など環境と経済・社会の調和した北海道づくりにつながることが期待されています。
(4)INTERVIEW
北海道での洋上風力発電の導入に向けて、海洋生態系に詳しい学識経験者にお話をうかがいました。
○北海道大学北方生物圏フィールド科学センター センター長・教授 宮下 和士(みやした かずし)さん
地域の将来像を見すえた合意形成が重要です。
●日本で洋上風力発電の導入が進む背景と、北海道の優位性について教えてください。
日本はエネルギーの大半を輸入化石燃料に頼っていますが、持続可能な社会の実現を目指すうえで、再生可能エネルギーへの転換が急務とされています。そこで、世界的に普及の進む洋上風力発電が日本でも有望視され、資源の約3割が北海道に集中していることで注目が高まっています。
●海洋環境への影響で考えられることは?
いままでなかった場所に施設ができるとなれば、影響はゼロではありません。例えば、海流の変化、稼働に伴う低周波音などの影響が考えられます。プラス面では、新たな水産資源が居つきやすい漁礁の効果もあるといわれています。また、風車によって景観も変化しますが、人工物が建つことを良く思わない人もいれば、再生可能エネルギーの拠点としてプラスにとらえる人もいます。要は、地域の中でいかに納得のいく議論をし、合意形成を行うかが重要なポイントだと思います。
●地域で理解を深めるために大切なことは?
科学的根拠に基づき、透明性の高い議論を進めることだと思います。漁業者はもちろん地域に住む皆さんが洋上風力発電の導入・検討を「自分ごと」として考え、自らの意思で判断することが大切ですね。
北海道発の洋上風力発電が進むことは、エネルギーの地産地消につながります。環境・経済の両面で地域が恩恵を受けられるよう、将来像を見すえた合意形成が重要だと思います。
▲道庁ゼロカーボン産業課 電話011-204-5327
(4)興部町の取り組み
世界初の実用化に向けてバイオガスからギ酸とメタノールを製造
興部町は、酪農業・水産業を基幹とする1次産業のまち。2014年度にバイオマス産業都市に認定され、2016年からは町営の「興部北興バイオガスプラント」を中心に、バイオマス資源の活用に向けた取り組みを進めています。
バイオガスプラントでは従来、家畜ふん尿をメタン発酵処理することにより、バイオガスを発生させ発電に利用してきました。
また、近年では、興部町と連携協定を結ぶ大阪大学が開発した技術を用い、バイオガスから常温・常圧でギ酸とメタノールを製造する取り組みを進めており、2022年、その実証拠点となる世界初の光化学プラントを同じ敷地内に設置しました。
今後はギ酸とメタノールを連続製造するシステムの実用化を行い、ギ酸は町内の酪農家向けに飼料添加剤として供給。メタノールは災害時の燃料利用などを視野に、エネルギーの地産地消を目指しています。
▲興部町まちづくり推進課 電話0158-82-2132
(5)家庭のCO2排出量「見える化」アプリ 北海道ゼロチャレ!家計簿
北海道は全国と比べて、家庭でのCO2の排出割合が高いことをご存じですか。北海道全体での排出量を減らしていくには、道民の皆さん一人一人の取り組みが重要です。
道では、環境省北海道地方環境事務所と連携し、家庭におけるCO2排出量を「見える化」できるスマートフォンアプリ「北海道ゼロチャレ!家計簿」を開発しました。北海道ゼロチャレ!家計簿に登録し、電気・ガス等のいずれかの消費量を2ヶ月分以上入力した道内在住の方の中から抽選で100名の方にゼロカーボンノベルティセット(マグボトル、ミニスマホスタンド、ブランケット)がもらえるキャンペーンを11月30日まで実施中です。応募期間の終了までに過去にさかのぼって2ヶ月分以上入力すれば応募可能です。詳細については、キャンペーンサイトをご確認ください。この機会にぜひアプリをご活用ください。
▲道庁地球温暖化対策課 電話011-204-5190
2 アドベンチャートラベル・ワールドサミット(ATWS)通信
世界64カ国が参加した「アドベンチャートラベル・ワールドサミット北海道・日本(ATWS2023)」
9月11~14日に、アドベンチャートラベル・ワールドサミット北海道・日本(ATWS2023)がアジアで初めてリアル開催され、世界64カ国から750人以上のAT業界関係者が参加しました。
今回のサミットでは、体験ツアーや商談会を通じて、世界各国から参加した皆さんに道内各地の魅力を肌で感じていただきました。道内の関係者も、海外での経験や貴重な情報を参加者から得ることにより、今後の取り組みに弾みが付くなど、今回のサミットは大きな効果をもたらしました。主催したアドベンチャートラベル業界団体「Adventure Travel Trade Association(ATTA)」とATWS北海道実行委員会では、共同声明を発出。引き続き、世界的なATの適地として北海道をアピールできるよう取り組んでいきます。
▲ATWS北海道実行委員会事務局 電話011-206-6944
3 ピックアップ 地域情報
北海道の各地域から話題をお届けします。
(1)函館市
世界遺産や国宝の縄文文化に触れてみませんか
函館市縄文文化交流センターは、世界文化遺産に登録されている史跡垣ノ島遺跡に隣接しており、国宝「中空土偶」などの縄文時代の遺物を展示。さまざまな体験メニューで縄文文化を楽しく学ぶことができます。
▲函館市縄文文化交流センター 電話0138-25-2030
(2)蘭越町
ことしもおいしい「らんこし米」ができました
夏は温暖で、昼夜の気温差も大きく、米作りに最適な環境の蘭越町。尻別川のほとりに開ける豊穣な大地で実った「らんこし米」は、一粒一粒に天の恵みを受け、質も味も最高ランクの評価を得ています。ぜひ、ご賞味ください。
▲蘭越町農林水産課 電話0136-55-6517
4 高校生のマナビバ
新たな視点で学びを深める道内の高校生の話題をお届けします。
○余市観光協会と協働して町内の観光サイクリングマップを制作
北星学園余市高等学校では、余市観光協会でサイクリングツーリズムを進める地域おこし協力隊と協働し、実際に走って確認したサイクリングルート、生徒たちのイラストやコメントを盛り込んだ「余市サイクリングマップ」を制作。訪れた観光客に、余市の景色や歴史、特産品を楽しんでもらえるように、マップは駅や観光協会などで配布しています。今年度は、新たなコースを追加したリメイク版の発行に向けて奮闘しています。
●マップを作ったことで「余市のすごい!」を知りました
北星学園余市高等学校2年 ボランティア局員
浜田 來未(はまだ くるみ)さん 富樫 乙華(とがし おとか)さん
ボランティア局員のメンバーは10人ほどですが、活動内容により参加者を募ります。サイクリングマップの制作には、20人以上の生徒がイラストやコメントの作成に関わりました。
東コースは坂道が多く大変でしたが、果樹園で食べたアイスが余計においしく感じられ、走る人の気持ちがわかってよかったです。マップを作ったことで、余市にはおしゃれなカフェや美しい景色がいっぱいあることを知りました。個人的なおすすめは、海に夕日が落ちる景色。輝くような大麦畑やトウキビ畑も美しいです。
▲道庁学事課 電話011-204-5066
5 地域おこし協力隊CAFÉ
都会に住む人が課題を抱える市町村に移住し、才能や能力を発揮する地域おこし協力隊。今回は、無肥料無農薬による作物生産、食品加工・販売、食育活動を行う紋別市の隊員を紹介します。
○有機栽培の難しいビートだからやりがいがある!!
兵庫県神戸市出身 寺岡 聡希(てらおか さき)さん
ロンドンに本店を持つオーガニックレストランで働きながら、人の健康を考えた農業、食品加工・販売を一貫してやりたいと思っていました。協力隊として紋別市に移り住んだのは、条件の良い食品加工場があり、自分が望む事業を展開できそうだったからです。
現在、レストランで使えるような野菜を15~20種類ほど作っていますが、特に力を入れているのは、有機栽培が難しいビート。加工食品には湧き水を使用し、手作りシロップも、キムチの素も、子育て世代に評判です。ロンドン大学で学んだ経験も生かし、食の大切さを広めるコミュニティづくりを目指しています。
6 道からのお知らせ
道庁からのお知らせなどをお伝えします。
詳しくは、各ウェブサイトでご確認ください。
(1)SNSなどで誹謗中傷などを受けてお困りの方へ
インターネットは、私たちの生活を豊かにする道具ですが、使い方を間違えたり、悪用したりすると、凶器にもなります。
ウェブサイトや掲示板、SNS上で、プライバシーの侵害や誹謗中傷を受けた場合、情報の発信者やサイト管理者、プロバイダなどに記事を削除するよう要請することができます。詳しくはウェブサイトをご覧ください。
▲道庁道民生活課 電話011-206-6148
(2)北海道立図書館の電子図書館サービス
道立図書館では、道民であれば、お持ちのパソコンやスマートフォンなどから電子書籍が閲覧できるサービスを行っています。
オーディオブックや全国の旅行ガイドブックなど約6,800点のラインアップの中から、お好きな電子書籍を読むことができます。文字の拡大、音声読み上げ、印刷・ダウンロード(一部分)も可能です。詳しくはウェブサイトをご覧ください。
▲北海道立図書館 電話011-386-8522
(3)防衛省・自衛隊では自衛官を募集中
自衛隊は、防衛・災害派遣・国際協力などを担っています。陸・海・空に広がる多彩な職種・職域の中から自分を生かせる仕事を見つけませんか。
募集・採用の詳細は、自衛隊地方協力本部にお問い合わせください。
札幌地方協力本部 TEL.011-631-5472
函館地方協力本部 TEL.0138-53-6241
旭川地方協力本部 TEL.0166-51-6055
帯広地方協力本部 TEL.0155-23-5882
※北海道では、自衛隊法第97条に基づき、自衛官募集の広報を行っています。
▲道庁市町村課 電話011-204-5152
(4)少しの雨でも「土砂災害」にご注意を!
地震などで地盤が緩んでいる場合は、少しの雨でも土砂災害の危険が高まるおそれがあります。
大雨警報や土砂災害警戒情報に注意し、もしものときを考え、日頃の備えや、早めの避難を心掛けるようにしましょう。道では、土砂災害のおそれのある区域などを「北海道土砂災害警戒情報システム」内で公表しています。
▲道庁河川砂防課 電話011-204-5560
(5)こどもファスト・トラックをご存じですか?
北海道における「こどもファスト・トラック」は、妊娠中の方や子ども連れの方に優先的な配慮を行う取り組みです。例えば、来庁されたときに優先窓口へ案内したり、優先駐車場を設置したりするなど、施設状況に応じて実施しています。道立施設における取り組み状況など、詳しくはウェブサイトをご覧ください。
▲道庁子ども政策企画課 電話011-206-6309
(6)MONOテク(道立高等技術専門学院)の訓練生募集中!
全道に8学院ある職業訓練施設MONOテク(道立高等技術専門学院)は、2024年度の訓練生を募集中です。専門的な知識や技術・技能を身に付けて就職を希望する方はぜひご応募ください。詳しくは募集要項をご確認ください。
〈推薦〉
出願期間 11月1日(水)~11月20日(月)まで
選考日 11月24日(金)
主な試験内容 学校長の推薦、自己推薦共に提出書類とあわせ面接試験
〈一般〉
出願期間 11月21日(火)~12月11日(月)まで
選考日 12月15日(金)
主な試験内容 学力試験(国語、数学)・面接試験
▲道庁産業人材課 電話011-204-5359
(7)つながること、知ることで、安心と広がりのある生活に!
一般社団法人北海道視覚障害者福祉連合会では、視覚に障がいのある方のためのITサポートセンターを開設しています。
ITサポートセンターでは、IT機器による情報の入手や操作が困難な方に対し、IT機器の利用全般に関する相談と、機器の購入や使い方等に関するサポートや操作体験会、出張講座を行っています。
利用対象者は、視覚に障がいのある方や、そのご家族、支援を行う方などです。
ITを活用して、文字入力が出来るようになると、家族や友人とメールで会話を楽しめるほか、日頃思っていることや伝えたいことを文章にして発信することができます。
また、スマートフォンを使用し、お札の識別や商品パッケージの読み上げ、好きな場所での読書を楽しむことができます。また、安全に道路を歩行するための機能もあります。
ほかにも、一般社団法人北海道視覚障害者福祉連合会では、最新の新聞情報や福祉関連、日常生活に関する記事を点字、CDなどの音声版、メール及び音声コード付き拡大文字により、希望する方に無料で情報発信しています。
詳しくは、一般社団法人北海道視覚障害者福祉連合会へお気軽にお問い合わせください。
受付時間:平日9時から17時まで(土日祝日を除く)
▲一般社団法人北海道視覚障害者福祉連合会 電話011-271-0380
7 道議会レポート
定例会の概要などをお伝えします。
令和5年第2回定例会(6/22~7/14)
(1)定例会の概要
令和5年4月執行の第20回統一地方選挙後初となる今定例会では、知事から道政執行方針の説明と、その中の政策を積極的に展開していくことを基本とした令和5年度一般会計補正予算等の予算案8件と条例案12件、その他の案件6件が提案され、議決されました。
また、議員および委員会から提出された意見案7件が原案のとおり可決されました。
本会議では、知事などに対し、各会派から1人ずつ計4人の議員が代表質問を行った後、24人の議員が一般質問を行いました。
(2)本会議・予算特別委員会の主な質問
次の取り組みなどについて議論されました。詳細はウェブサイトをご覧ください。
●教育問題について
・教員の育成や確保
・教育の無償化
・教育環境の整備
・人材の育成への取り組み
●半導体産業について
・半導体産業の振興と集積促進
・拠点整備に向けた取り組み
●ゼロカーボンについて
・ゼロカーボン北海道の実現
・再生可能エネルギーの促進
・二酸化炭素排出削減に向けた取り組み
●観光振興について
・本道における観光財源の活用
・アドベンチャートラベル・ワールドサミット(ATWS)に向けた取り組み
・新型コロナウイルス感染症の5類移行後における観光客誘致への取り組み
●防災対策について
・巨大地震
・津波におけるハード面・ソフト面からの災害対策への取り組み
●道政運営について
・道の施策を推進するために展開する取り組み
(3)新任議員研修会が開催されました
8月8日、東京・砂防会館別館で新任議員研修会が開催され、道議会議員20人を含む約430人の都道府県議会議員が参加しました。
地方議会の基礎的な制度と運営について学び、議員の職務遂行に必要な共通知識を深めました。
(4)次回定例会のお知らせ
令和5年第4回定例会は11月下旬に開会の予定です。議会中継はスマートフォンでもご覧いただけます。
(5)ウェブサイトをご覧ください
議会中継・録画、議会日程、会議録、傍聴・見学案内、議会時報などをご覧いただけます。
▲議会事務局政策調査課 電話011-204-5691
▲北海道の人口データをお届けします。(令和5年7月末現在)
総人口 5,111,691人 男 2,417,587人 女 2,694,104人
前年同月比
総人口 47,674減 男 21,891減 女 25,783減
(人口は毎月公表される統計資料に基づき掲載しています。)
▲広報(誌)「ほっかいどう」、次号は令和6年1月の発行予定です。
点字版広報誌の送付を希望される場合は、発行元までご連絡ください。
発行/北海道総合政策部知事室広報広聴課
〒060‐8588 札幌市中央区北3条西6丁目
電話011‐204‐5110/FAX011‐232‐3796