視覚障がい者向け広報「ほっかいどう」令和7年3月号

広報誌ほっかいどう 2025年3月号

【もくじ】
1 特集 次世代半導体を北海道から世界へ
2 北海道宿泊税条例について
3 地域おこし協力隊CAFÉ
4 高校生のマナビバ
5 ピックアップ 地域情報
6 道からのお知らせ
7 道議会レポート

1 特集 次世代半導体を北海道から世界へ

次世代半導体の量産製造を目指すRapidus株式会社(以下、ラピダス社)が、千歳市への製造拠点立地を表明してからもうすぐ2年。
ラピダス社の立地を契機として、道内では、さまざまな取り組みが進められています。

○次世代半導体の必要性
半導体は、スマートフォンやパソコン、自動車、家電などあらゆる電子機器に入っている部品です。情報の記憶、数値計算、論理演算などの知的な情報処理機能により、電子機器の頭脳部分として中心的な役割を果たしています。
今後、生成AIの拡大などによって、データ通信量や電力需要の大幅な増加が見込まれる中、高性能で低消費電力の次世代半導体は、日本のカーボンニュートラルの実現に貢献するとともに、経済安全保障の鍵となる重要な中核技術です。

・世界の生成AI市場(出典:総務省情報通信白書)
2020年 140億ドル(2.1兆円※)
→2032年 約1兆3,000億ドル(約195兆円※)
およそ100倍
※1ドル150円で計算
・世界のデータ通信量(出典:NOKIA)
2020年 507 EB※/月
→2030年 4,819 EB※/月
およそ10倍
※EB=エクサバイト(1エクサバイトは10億ギガバイトに相当)
・世界の電力需要(出典:国際エネルギー機関WEO2024)
2023年 26兆kWh※
→2050年 60兆kWh※
およそ2.5倍
※kWh=キロワットアワー(1時間あたりの消費電力量を表す単位)

○ラピダス社が量産製造を目指す次世代半導体
回路線幅2ナノメートル※1世代のロジック半導体※2
※1 2ナノメートル=10億分の2メートル(髪の毛の約5万分の1)
※2 スマートフォンやパソコンなど電子機器の「頭脳」
電子回路の幅(回路線幅)を狭くして、微細な部品をより多く配置することで従来の半導体(7ナノメートル世代)よりも、性能効率が45%向上、消費電力も75%削減できるとされています。
→AI、自動運転、5G、データセンターなどさまざまな分野での利用が見込まれます。

○次世代半導体プロジェクト
●プロジェクトの進捗状況
ラピダス社の次世代半導体製造拠点は、令和5年9月から本格的な建設工事が始まっており、令和7年春からの製造試作ライン(パイロットライン)の稼働、令和9年からの量産開始に向けて、プロジェクトはスケジュールどおりに進捗しています。
令和5(2023)年:工場着工
→令和6(2024)年:EUV露光装置搬入開始
→令和7(2025)年:パイロットライン稼働
→令和9(2027)年:量産製造開始

●EUV露光装置
先端半導体の製造に欠かせない装置「EUV露光装置」が、令和6年12月、ラピダス社の次世代半導体製造拠点に搬入されました。特殊な光で非常に細かい回路を焼き付ける装置で、導入は日本初となります。

●関連するインフラ整備など
道では、千歳市や関係機関などと連携・協力し、次世代半導体の製造拠点の整備に必要な用水施設・周辺道路といったインフラ整備を進めています。また、製造拠点の稼働に向けて、排水先となる千歳川のPFAS※調査を行っています。
※有機フッ素化合物

●ラピダス社のプロジェクトの成功に向けて、同社のエンジニアたちがアメリカ・ニューヨーク州で次世代半導体の量産技術の確立に向けて研究を進めています。北海道への想いを持ったエンジニアの声をご紹介します。

・松本悟(まつもとさとる)さん
出身地である北海道に貢献したい、半導体を通じて社会に貢献したいという気持ちが強く、ラピダスに転職しました。北海道で次世代半導体の量産に向けて、力を尽くしていきたいと思います。

・岩谷晶子(いわやあきこ)さん
北海道の美しい自然にあこがれて、何回も訪れています。ラピダスの仕事は、国にとって重要な意味を持つということを理解した上で、エンジニアたちと一丸となって、研究開発にまい進しています。

○道の主な取り組み
道では、ラピダス社の立地という好機を最大限に生かし、半導体の製造、研究、人材育成等が一体となった複合拠点を実現するとともに、再生可能エネルギーなど本道の強みである産業振興と合わせて、本道経済全体の成長に結びつけていくため、オール北海道で目指すべき指針となる「北海道半導体・デジタル関連産業振興ビジョン」を令和6年3月に策定し、さまざまな取り組みを進めています。

●半導体関連産業の集積
・ビジネスマッチングセミナーの開催
道内企業の半導体関連産業への参入促進・取引拡大につなげることを目的に、「半導体関連産業参入促進セミナー」を開催しています。

・展示会への出展
セミコンジャパン、セミコン台湾など道外・海外で開催される半導体の国際展示会に出展し、道の立地環境の優位性などをPRしています。

●イノベーションの創出・人材育成
・アメリカ・ニューヨーク州との連携
令和6年8月、産学官連携による半導体の研究開発の先進地であるニューヨークを訪問し、ニューヨーク州経済開発公社及びニューヨーク・ クリエイツとの三者で覚書(MOU)を締結し、半導体の研究開発や人材育成等での連携に関する枠組みを構築しました。

・高校生向け出前講座・小中学生向け体験教室の開催
大学・高専から講師を招き、半導体を中心とした理系分野における若年層の関心向上などを目的に、高校生向け出前講座や、小中学生向け体験教室を行っています。

●地域経済の活性化
産学官によるネットワークの構築・強化
道内の大学や高専、半導体・デジタル関連企業などと連携し、道内企業の半導体関連産業への参入促進、産学官連携による地域経済の活性化に取り組んでいます。

●「地方大学・地域産業創生交付金(内閣府)」の採択について
道では、次世代半導体をトリガーとして半導体の複合拠点を実現し、地域経済の活性化につなげるため、札幌市・千歳市と共同で「地方大学・地域産業創生交付金(内閣府)」の申請を行い、採択されました。
この事業では、北海道大学と公立千歳科学技術大学の持つリソースを活用することで、道内の半導体人材の育成体制を強化し、半導体企業と共同で先端研究を進めるとともに、半導体エコシステム構築に向けた産学官によるネットワークの構築・強化などを行うこととしており、今後、道及び両市において、関連する予算案を議会に提案していく予定です。

○GX産業の集積に向けて
●さまざまなプロジェクトが進む北海道
北海道では、ラピダス社の次世代半導体プロジェクトのほか、大規模データセンターの立地や、北海道と本州を結ぶ海底直流送電の整備など、今までになかった投資規模のプロジェクトが進んでいます。

●GX2040ビジョン
GXを推進するための新たな国家戦略である「GX2040ビジョン」(案)では、再生可能エネルギー(以下、再エネ)が豊富な地域への産業集積の加速が盛り込まれ、国内随一の再エネのポテンシャルを有する北海道が、GX産業の適地として国内外から一層注目されようとしています。

●GX産業の集積に向けて
道では、道内各地の多様な再エネのポテンシャルを活用し、国内外から投資を呼び込み、再エネ供給拠点のみならず、再エネの利活用拠点として、全道域でのGX産業の集積や地域振興を図っていきます。

※GX(グリーントランスフォーメーション)とは、脱炭素社会への変革と経済成長を同時に実現させるための活動のことです。
※環境省が運営する「REPOS(再生可能エネルギー情報提供システム)」の潜在的な導入量(導入ポテンシャル)の推計によると、都道府県別で風力発電、太陽光発電、中小水力発電では北海道が1位、地熱発電では2位となっています。

▲道庁次世代半導体戦略室 TEL.011-206-6189

2 北海道宿泊税条例について

広報紙「ほっかいどう」令和7年1月号に掲載した「観光振興を目的とした新税(宿泊税)の条例案」については、令和6年第4回北海道議会定例会において、一部修正の上、令和6年12月12日に可決されました。

【新税の枠組み】
○対象施設:道内の旅館・ホテル、簡易宿所、民泊

○税率:1人1泊あたりの宿泊料金が
・2万円未満···100円
・2万円以上5万円未満···200円
・5万円以上···500円

○非課税事項
・修学旅行などの学校行事
・宿泊料金による免税点はなし

【修正の内容】
「北海道宿泊税条例」に次の内容が追加されました。
宿泊料金に対する割合により市町村宿泊税を課す市町村(いわゆる定率制)であって、当該市町村が道に対し、道が徴収すべき宿泊税の額に相当する額を交付する場合は、この条例の規定を適用しない(道税を課税しない)

▲道庁観光振興課 TEL.011-206-6896

3 地域おこし協力隊Café

都会に住む人が課題を抱える市町村に移住し、才能や能力を発揮する地域おこし協力隊。今回は、デジタル人材の育成に取り組む釧路市の隊員を紹介します。

○最先端の機器と設備で、デジタル人材の育成をサポート!
釧路市出身 小野寺理江(おのでらりえ)さん

関東で建築設計の仕事に携わっていましたが、将来は釧路市に戻りデジタル技術の経験を伝えたいと考えていた時に、デジタル人材の育成とキャリア教育を目的とした多世代交流拠点「デジラポ」ができることを知り応募しました。「デジラポ」では、子どもたちが最新のデジタル機器に触れ、イベントを通じて幅広い世代の方々と交流しています。この取り組みを通じて子どもたちに、ものづくりの楽しさや、デジタル技術を活用したさまざまな職業があることを知ってもらいたいと思っています。

4 高校生のマナビバ

新たな視点で学びを深める道内の高校生の話題をお届けします。

○道内企業と連携し「苫工半導体展」を開催北海道苫小牧工業高等学校では、地域の企業と連携し、地域住民の半導体に関する理解促進につながる活動を行っています。令和6年度は学校独自の取り組みとして、苫小牧市や千歳市の企業などと連携し、「苫工半導体展」を開催しました。
北海道苫小牧工業高等学校情報技術科2年
草島蓮(くさじまれん)さん
羽澤柊斗(はざわしゅうと)さん

○「苫工半導体展」の開催が自分自身の学びを深める機会になった
授業では、半導体の働きやプログラミングを学んでいます。地域の皆さんに半導体についてもっと知ってもらいたいという思いを込めて、地元の企業の方にご協力をいただき、「苫工半導体展」を開催しました。半導体は一見難しいイメージですが、来場した小中学生に興味を持ってもらうことができ、自分自身にとっても学びを深める機会になりました。半導体を使ったものづくりは、今後増えていくと思うので、今学んでいることを将来にしっかりと生かしていきたいです。

▲北海道教育庁高校教育課 TEL.011-204-5705

5 ピックアップ 地域情報

北海道の各地域から話題をお届けします。

(1)函館市
発見、驚き、感動!「はこだてみらい館」
はこだてみらい館は、巨大高精細LEDディスプレイで迫力ある映像が体感できる「メディアウォール」や、360度に広がる映像でVR体験ができる「360studio」など、子どもから大人まで楽しめるコンテンツを通じて、最先端の技術が体験できる施設です。プログラミング体験や3Dプリンターを使ったものづくり体験、科学ワークショップも人気です。

▲はこだてみらい館 TEL.0138-26-6000

(2)稚内市
稚内市青少年科学館で科学の素晴らしさを学びませんか
稚内市青少年科学館は昭和49(1974)年に開館した歴史ある科学館です。道内最古のプラネタリウムでは、稚内で見える星や星座などの投影やデジタル映像番組の上映が行われているほか、天文台や実験室も完備され、遊びながら科学の素晴らしさを学ぶことができます。また、南極観測船の模型など、ここでしか見られない貴重な資料が展示されています。

▲稚内市青少年科学館 TEL.0162-22-5100

6 道からのお知らせ

道庁からのお知らせなどをお伝えします。詳しくは、各ウェブサイトをご覧ください。

(1)確定申告はご自宅からe-Taxで
所得税・個人事業税・住民税の確定申告の税務署及び市町村窓口受付期間は、2月17日(月)~3月17日(月)です。なお、スマートフォンやパソコンなどから、所得税の確定申告書などを作成し、e-Taxで提出することができます。
▲道庁税務課 TEL.011-204-5060

(2)旅券(パスポート)申請に関するお知らせ
現在、マイナポータルからオンラインにより、パスポートの更新申請が可能ですが、3月24日(月)から新規申請も可能になります。併せて手数料が変更となります。詳細は、ウェブサイトをご覧ください。
▲北海道パスポートセンター TEL.011-219-3388

(3)旧優生保護法補償金等支給法に関して
旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた本人または特定配偶者(本人または特定配偶者が死亡している場合はそのご遺族(配偶者、子、父母、孫等))を対象に、本人1,500万円、特定配偶者500万円を支給します。詳細は、旧優生保護法に関する相談支援センターにお問い合わせください。
▲旧優生保護法に関する相談支援センター TEL.0120-031-711

(4)戸建て住宅の無料耐震診断のご案内
地震に対する不安の解消と住宅の耐震改修などを促進するため、木造住宅を対象とした耐震診断窓口を開設していますので、ぜひご活用ください。
耐震診断申込書はウェブサイトからダウンロードできます。
▲道庁建築指導課 TEL.011-204-5097

(5)令和7年度北海道行政職員・公立小中学校事務職員採用試験の総合案内の公表
令和7年度の北海道行政職員採用試験及び公立小中学校事務職員採用試験が行われます。
試験日などを記載した総合案内を、2月下旬に公表します。詳細は、ウェブサイトをご覧ください。
▲人事委員会事務局任用課 TEL.011-204-5654

(6)マイナ免許証が3月24日に運用開始します
マイナンバーカードが運転免許証として利用できるようになります。運転免許センターなどで手続きが可能で、免許情報は専用アプリで確認できます。住所変更などが楽になる、オンライン更新時講習が受講可能になるなどメリットがたくさん!
▲北海道警察本部運転免許試験課高度化推進室 TEL.011-251-0110

7 道議会レポート

定例会の概要などをお伝えします。令和6年第4回定例会(11/26~12/12)
(1)定例会の概要
知事から当面措置を要する経費について、所要の予算措置を講じるための令和6年度補正予算などの予算案3件と条例案21件、その他の案件13件が提案され、議決されるとともに、前会より継続審査の決算案件6件が認定されました。
また、議員および委員会から提出された会議案3件、決議案1件、意見案4件が原案のとおり可決されました。

(2)本会議・予算特別委員会の主な質問
次の取り組みなどについて議論されました。詳細はウェブサイトをご覧ください。
●宿泊税について
・今回の条例案の提案で、市町村や事業者、道民にどのような影響があるのか。
・5年ごとの条例案の見直しでは、何をどう見直し、どのような過程を経て、必要な措置を講
ずるのか。
・新税の使途やその検討プロセスをどのように考えているのか。
●経済対策について
・新たに閣議決定された総合経済対策を踏まえ、速やかにその効果を道全体に波及させるため、道としてどのように対応していくのか。
●GX金融・資産運用特区について
・GXの推進に当たり、自然環境との調和や地域との共生をどのように図っていくのか。
・特区の効果を全道に波及するため、どのように企業誘致の促進を進めていくのか。
・税制優遇を含む特区の取り組みの具体的な展開をどのように考えているのか。
●ヒグマ対策について
・ヒグマの捕獲に安心して対応できるよう、ヒグマ管理計画の改定において、どのようにルール化や体制整備を進めるのか。
・関係機関・団体との緊密な連携構築をどのように進めていくのか。

(3)「北海道カスタマーハラスメント防止条例」を制定
定例会招集日の11月26日に全会派の議員が共同して提案し、全会一致で可決しました。
この条例は、カスタマーハラスメント防止対策の基本となる事項などを定めることにより、社会経済の健全な発展に資することを目的としています。

(4)定例会のお知らせ
令和7年第1回定例会は2月中旬に開会の予定です。議会中継はスマートフォンでもご覧いただけます。

(5)ウェブサイトをご覧ください
議会中継・録画、議会日程、会議録、傍聴・見学案内、議会時報などをご覧いただけます。

▲北海道議会事務局政策調査課 電話011-204-5691

▲北海道の人口データをお届けします。(令和6年12月末現在)
総人口5,045,338人(前年同月より49,149人減)
(人口は毎月公表される統計資料に基づき直近のデータを掲載しています。)

▲広報(誌)「ほっかいどう」次号は令和7年6月の発行予定です。
北海道の公式ウェブサイトで、点字広報誌のテキストデータを公開しておりますので、パソコンやスマートフォンで音声読み上げソフトをご利用されている方は、お聴きになることができます。
発行/北海道総合政策部知事室広報広聴課
〒060-8588 札幌市中央区北3条西6丁目
電話 011-204-5110/FAX 011-232-3796

▲電話リレーサービス「ヨメテル」の開始について
電話リレーサービスは2020 年12 月1日に「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律が施行され、2021年7月1日より公共インフラとしてサービスが開始されました。
今般、2025 年1 月23日より、これまでの電話リレーサービスに加え、利用者が自身の声で相手先に伝え、相手先の声を文字で読むことを可能にする「文字表示電話サービス」(サービス名:「ヨメテル」)が新たに開始されました。
24 時間365 日のサービス提供や緊急通報への接続、通話の相手方との双方向での発信が可能となるなど、聴覚障害者等の自立した日常生活及び社会生活の確保に大きな意義を有するサービスとなっています。

【お問い合せ先】
◎電話リレーサービス カスタマーセンター(受付時間:9時30 分~17 時 ※年末年始除く)
公式サイト https://www.nftrs.or.jp/
メール/手話・文字チャット https://www.nftrs.or.jp/contact
電話:03-6275-0912
◎文字表示電話サービス(ヨメテル) カスタマーセンター
(受付時間:9時30 分~17 時 ※年末年始除く)
公式サイト https://www.yometel.jp/
メール/文字チャット/ビデオ通話 https://www.yometel.jp/contact
電話 0120-328-123

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