令和7年 知事年頭所感
北海道知事 鈴木 直道
新年明けましておめでとうございます。皆様とともに新たな年を迎えられたことを、大変うれしく思います。
昨年を振り返りますと、能登半島地震や各地での大雨など全国で大規模災害が相次ぎ、宮崎県沖で起きた地震では、初めて「南海トラフ地震臨時情報」が発表されました。また、秋には、道内の農場で高病原性鳥インフルエンザが発生し、防疫対策に取り組むとともに、物価の高騰による影響が長期化しており、本道経済の活性化を図るなど、道民の皆様の命と暮らしを守る思いを一層強くする年となりました。
こうした中、本道のさらなる飛躍に向けた歩みが着実に進みました。
国家プロジェクトである次世代半導体の製造拠点ではEUV露光装置が搬入され、着実に整備が進むとともに、北海道・札幌「GX金融・資産運用特区」が国に認められ、さらに、国の「GX2040ビジョン」の案が示され、国内随一の再生可能エネルギーのポテンシャルを有する北海道が、GX産業の適地として国内外から一層注目されようとしています。私自身、ニューヨーク州を訪問し、州政府関係機関と連携の枠組みを構築したところであり、先進地の知見も活かしてGX・DX産業の集積を目指します。
また、念願が叶い「日高山脈襟裳十勝国立公園」が誕生しました。多様な生態系が残る自然は世界に誇る財産であり、ヒグマとのあつれきの低減を図りながら、豊かな自然を守り、その魅力を広く発信してまいります。
観光入込客数がコロナ禍前の水準を回復しつつある中、本道経済の発展に資する観光振興が図られるよう、宿泊税の導入に向け、検討を進めてきました。引き続き、関係の皆様の声を丁寧に伺ってまいります。
そのほかにも、全国最多1,000人以上の地域おこし協力隊の活動や、パリオリンピック・パラリンピックにおける本道ゆかりの選手の活躍、アンテナショップ「どさんこプラザ」の過去最高売上の更新、北海道米「そらきらり」のデビューなどがありました。
昨年、新たに策定した北海道総合計画では、北海道の力が日本そして世界を変えていく、そして、一人ひとりが豊かで安心して暮らせる地域づくりを進めていくことを、めざす姿として掲げ、この実現に向けた取組の中で、様々な分野で北海道の未来を切り拓く可能性や輝きを実感することができたと思っています。
新しい年は、この計画を基盤としながら、道民の皆様の暮らしを守り、豊かな未来を築いていくため、大きな一歩を踏み出す年にしたいと考えています。
防災体制の確立など命と暮らしを守る取組を最優先としながら、産業振興により地域経済を活性化し、さらには、我が国の食料・経済安全保障において役割を果たしてまいります。国内最大の食料供給地域として、農林水産業の持続的な発展に取り組むとともに、次世代半導体製造のパイロットライン稼働を大きな弾みとし、再生可能エネルギーや広大な大地、冷涼な気候など多彩な強みを最大限に活かして、AIなどのデジタル関連をはじめとする新たな産業や人、投資の呼び込みを加速させてまいります。
そして、社会全体で子どもを支える「こどもまんなか社会」の実現への取組や、地域を支える人材の確保・育成を進め、さらに、戦後80年となる本年、一刻の猶予も許されない北方領土問題の解決に向け、返還要求運動に粘り強く取り組みます。
本年は、道庁赤れんが庁舎のリニューアルオープン、知床世界自然遺産の登録20周年、ウポポイの5周年、北海道で57年ぶりの全国菓子博、北海道豊かな海づくり大会の初開催など、様々な節目の年でもあります。
こうした機会も捉え、本道の自然、文化、産業などを国内外に発信し、人口減少をはじめ直面する課題を乗り越えていけるよう北海道の創生を進めてまいりますので、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
本年が、皆様にとりまして、輝かしい未来に向けた素晴らしい年となりますよう心からお祈り申し上げ、新年のご挨拶といたします。