職員に向けた仕事始めのあいさつ
令和7年1月6日(月)記者会見室
職員の皆さん、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
昨年末、国において、新たな総合経済対策の裏付けとなる補正予算が決定をしました。道としても、道民の皆様、そして事業者の方々に一日も早く支援をお届けできるように、年末年始、関係する職員の皆さんには、予算の編成作業など、準備を進めていただきました。また、雪害対策をはじめとする危機管理対応など、休日返上で勤務をいただいた職員の皆さん、そして、それをお支えいただきました、ご家族の皆様に対しましても、心から感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
さて、新たな年を迎えました。この1年、皆さんと道政を進めていくに当たって、改めてになりますけども、北海道を取り巻く状況を俯瞰しつつ、私からお話をさせていただきたいと思います。
今、AIの更なる普及により、消費電力の増加が見込まれると。電力だけではなくて、データ取扱量をはじめとして、爆発的に増加するということが予想されています。世界の電力需給の見通しとして2倍、2. 5倍だとか、国内においても1. 5倍とか1. 6倍だとか、しかも、そのエネルギーというのはグリーンエネルギーでなければならないということもあって、世界全体でエネルギーの安定供給、グリーンエネルギーの安定的な供給というものに対しての関心が高まっています。こういう電源を確保することと、使用電力を圧倒的に抑制する省エネをどうしていくのですかと、こういう問題があると思うのです。
一つは、グリーンエネルギーをどうやって確保していくのか。また、確保したとしても、それを省エネルギーで効率的に使っていくためのキーテクノロジー、それを解決するのが次世代半導体ということ。このAIという、爆発的に増加する市場の中にどう参入していくのですか、エネルギーをどう確保して有効利用していくのですか、それをどう社会実装して、利便性と安全性を確保しながら、AIをはじめとする次世代技術を活用していくのですか、ということを考えたときに、次世代半導体、2ナノの半導体をどこが世界で最初に量産していくのかということに、非常に大きな関心が高まっているという状況です。まさにそれを今、今年ですね、北海道でパイロットラインが稼働するのが、数ヶ月後という状況になっています。
また、不安定な国際情勢といったものによって、エネルギーの問題もあるんですが、もう一つは、食料の安全保障。安定的に食料を確保していく、供給していく、このことへの懸念が非常に広まっています。これは我が国のみならず世界的課題なわけです。そして、日本においては、四半世紀ぶりに、食料・農業・農村基本法が昨年の5月、改正されました。そして、その中の基本理念の一つが「食料安全保障の確保」ということで位置付けられました。皆さんご承知のとおり、北海道の食料自給率は200%を上回る状況です。首都東京は1%という状況です。食料安全保障を担うのはどこなのかと言ったときに、私は北海道の役割は極めて重要だと思っています。
今申し上げたような世界の動きがある中で、グリーンエネルギーを確保しなきゃいけないけど、どうなっているのですかと言ったら、北海道には我が国随一の再生可能エネルギーのポテンシャルがあります。そのキーテクノロジーとなる、世界で競争している次世代半導体はどこで作るのですかと考えたときに、その次世代半導体の製造拠点は、国としては北海道で整備をしていこうということです。AIを活用するに当たって必要となる大規模なAIデータセンターはどこに立地するのですか。国内最大級のデータセンターは北海道での立地の表明がありました。東京、大阪の補完代替として役割を担うのが、北海道、九州と位置付けられました。
北海道は、食の問題、エネルギーの問題、AIをはじめとしたデジタル、次世代半導体、こういったところで、我が国の維持、また発展にとって欠くことのできない役割を既に担っているわけであります。そして、まさに今年、それが前に進む、一歩を踏み出す、そういう年になるというところまで来ました。
私も知事になって6年目ですけれども、最初、例えば海底直流送電の話だとか、北海道の価値を上げるんだという話をしたときに、それは国がやることなんじゃないかということを言っている方もいました。ただ、繰り返し、北海道の必要性を、価値を国に提案することによって、国が動いて、まさに国が北海道の位置付けを変えてきて、それを国家戦略に位置付けるという状況まで、この数年で来たというふうに思っていますので、まさに、この日本、そして世界に貢献する、そしてそのことが北海道の発展に直結する。そういう大きな期待を、私は(北海道が)背負っていると思います。
今まで北海道は、可能性がある、可能性があると言われ続けてきた。でも、その可能性を生かしきれずにいたところも、率直にあるのではないかというふうに思います。しかし、その可能性が可能性で終わることなく、今、その役割を期待されるところまで来た。そしてそれが、政府の政策、閣議決定をはじめ、法律、立法行為、制度というもので位置付けられてきている。このことを、まず職員の皆さん一人一人が自覚することによって、それぞれの部局がしている仕事は、まさに我が国を牽引する仕事なんだ、北海道の発展を牽引しているのは我々なんだと、職員の皆さんには、これまでも頑張っていただいてきましたけれども、これからも、今年も、そういった思いを胸に、取組を進めていただきたいというふうに思っています。
さて、先ほど申し上げた次世代半導体の製造ですけれども、これは建物としては9割近くできているということです。パイロットライン稼働までも8割近く進んでいます。順調に推移して、昨年末を迎えました。いよいよ今年は、そのパイロットラインが動き出すという年であります。そして、年末にはG X 2 0 4 0ビジョンの素案が出ましたけれども、私がかねてから申し上げてきた通り、再生可能エネルギーのポテンシャルがある本道にこそ、新しい産業集積をすべきであるということを国に申し上げてきました。国が、総理出席のもと、年末のGXビジョンの会議において、再生可能エネルギーが豊富な地域に産業集積を加速していくことが、正式に盛り込まれたところです。北海道は命名から150年を超える歴史があるわけですが、かつて石炭産業を支えてきた北海道でありますけれども、今度は、再生可能エネルギーが豊富な中で、持続可能なエネルギーを生み続けることが期待される本道において、関連産業を集積させるという、国としての決定。例示としては北海道と九州、東北、が挙げられておりましたけれども、北海道には既に半導体やデータセンターが集積しているという例も記載がされています。
これはですね、職員の皆さん、ぜひ読んでみてください。これは政府の国家戦略方針ですから。北海道はどう位置付けられているのか。こういうことをぜひ、私は経済部じゃないですよとか、そういうことでなくて、ぜひ見てほしいと思います。職員として、また道民としても、今後の国家戦略の中で北海道がどう位置付けられるのか、これを知るということは非常に大事だと思いますから、ぜひ見てもらえたらなと思います。
そして、食料安全保障の確保に向けては、昨年の5月に食料・農業・農村基本法が、四半世紀ぶりに改正されて、今年の3月までに、改正法に基づく基本計画というものが作られることになっています。今まで北海道は、食料供給基地だとか、食料供給地域だとか、疑いようもない役割と期待を果たしてきた自負が、みんなあると思うのですけれど、ただ、そこは、全く位置付けられたものではありません。ですから私は、四半世紀ぶりに基本法が改正された中で、例えば先ほど申し上げたような、東京は食料自給率1%、北海道は200%で、東京と北海道は本当に同じ位置付けなのかと考えたときに、私は、やはり北海道が果たす役割は大きいというふうに思っています。そしてそれを昨年から、大臣をはじめ皆さんに強く話をしてきています。
今、この基本計画は、審議会の中で議論がされています。計画部会の中には、水戸部農政部長が北海道を代表して臨時委員として入って、北海道の重点的位置付けについて、みんなを代表して、懸命に発言をしてくれています。ぜひ、先ほど言ったようなGXは、北海道が拠点、集積の場になるんだということを政府が決めました。ですから次は、食の部分で、北海道は極めて重要な役割があるんだということを、やはりしっかり位置付けてもらう。このことを、私は農政部じゃないんですということではなくてですね、道庁の職員みんなで、これを勝ち取っていかなきゃいけないというふうに思っています。
人間、食べていかなければ生きていけません。今、申し上げたような食の問題。また、経済活動を行うに当たってエネルギーは極めて重要であって、国家戦略としてどう位置付けていくのか。そのエネルギーを生かした中でのAIをはじめとする産業、また次世代半導体、こういったお話も申し上げましたけれども、私は、やはり北海道は食やエネルギー、デジタルの分野で、我が国を牽引する立場をしっかり勝ち得た中で、日本を牽引し、世界をリードしていく、そういう気概を持って、政策を前に進めていくことが重要だし、今年、その一歩を踏み出すことができるというふうに思っていますので、ぜひ皆さん、力を貸してほしいというふうに思います。
そして、人口減少、少子高齢化、非常に重要な課題になっています。今、地方創生が新しい形で、国としても進めていくということであります。まだ詳細が示されてないので、そこもしっかり見ていかなければいけないと思うんですけども、北海道としては、そこをしっかり見ながらも、北海道創生総合戦略の策定に向けて検討を進めていくことと、大人中心だった社会を子ども中心に変えていく「こどもまんなか社会」の実現に向けた条例を制定していく準備を進めていくことを、皆さんと取り組んでいます。
今申し上げたように、国内の情勢、そして世界の潮流は大きく変わってきます。食料や経済の安全保障で、北海道のプレゼンスも急速に高まっている。こういう状況の中で常に私達は、その先を見て、道民の皆様のために、そして北海道の地域のために、次の一手というものをみんなで考えていかなければいけない、そういう役割を我々は担っています。
道庁は、私は北海道最大の「企業」だというふうに思っています。それは、職員の数もさることながら、14振興局をはじめ地域の取組をしっかりサポートをして、北海道の未来への一歩を作っていく、そういう仕事が道の職員の皆さんに求められているし、これまでも、諸先輩方を含めて、そこに真剣に向き合ってきた歴史がありますので、ぜひ今申し上げたような世界の潮流、日本における北海道の位置付け、こういうものも意識をしながら、さらに先の一手を、みんなで考えていこうということを、ぜひですね、前向きに皆さんと議論をしていきたいし、取り組んでいきたいというふうに思っています。
ぜひ、このチャンスに、北海道の価値を高めていく。私は、もともと東京都の職員だったんですけれど、東京都の職員は、都民ではない人が結構多いんですよ。東京都以外から通って、働いている。でも、道庁の職員は、多分、ほかの県から通勤している人はいないよねと思うんですけれど、だから、北海道が良くなるというのは、みんなの生活が良くなるということですから。そして、それで給料をもらって、みんなで前を向いて働ける、こういう仕事ですから。そして、皆さんの仕事が北海道の歴史を作る、そういう仕事でもあるので、ぜひ今年も、この変化の波を捉えて、しっかりみんなと前に進めていきたいと思っています。
一方で、この国を見ると、国会情勢も変わってきていますし、アメリカのトランプ大統領も今月就任されるということや、先ほど申し上げたような世界情勢も不安定さがあるということを考えると、今までも繰り返し言ってきたんですけれど、国の政策動向もそうですし、世界の動き、新しい技術革新、そういうことも含めて、やはり幹部職員の皆さんに特に、より一層、一段高くアンテナを構えてもらう必要が、どうしても出てくるなというふうに思っています。今年1月、また通常国会が始まります。また、アメリカのそういう動きもあります。そういう状況の中で、世界もいろんな不確実性が高まっています。ですから、これは世界的グローバルな話ですよね、これは国政の話ですよねということではなくて、道民の生活に影響を与えるあらゆる分野について、アンテナを高く持ってやってかなければいけない。それを一段、そのギアを上げるということをやらなければいけないというふうに思っていますので、私もそうしていきたいと思っているんですが、私も体一つしかないので。私も毎日、全部の新聞と全部のテレビとか、ニュースを見ていますけれど、広報の人に聞いても、NHKとか民放とか、全部の新聞、夕刊はだいぶなくなったけれど、夕刊とかも含めて、私は見てますという方、意外に結構少ないですよね。いろんなメディアの発信というのも、非常にいろいろと取材を重ねて発信をされてますから、そういうことにも皆さんも関心を持っていただけるとありがたいなと思っています。
そのアプローチの仕方についても、それぞれ縦割りというのが弊害としてよく言われますので、本当に職員もかつてに比べて減った状況の中で、どうやって組織を回していくかと考えたら、今まで以上にみんなで協力してやっていきましょうということに、どうしてもなりますので、縦割りのアプローチというところから、やっぱりみんな一丸となって、政策もかなり横串で展開されることが多くなってきましたから、そういうアプローチへ。それと多種多様な業務分野、また地域の視点というところから取組のクロス、相乗効果が、やっぱり今の時代には大事なので、これは道庁が強みを持っている分野だと思うので、ぜひ、ここは力を貸してほしいと思っています。
そしてもう一つ、これは年末も言ったかもしれないんですけれど、年末年始、北海道では、鳥インフルエンザの防疫措置を対応するという状況にはならなかったんですけれども、道民の方とお話ししたときに、あれは自衛隊の皆さんがやってくださっているんですよね、とかですね、道の職員がそういうことを懸命にやってくれているというのを、なかなか皆さん、知らない方が多いというのを率直に私も見聞きして感じました。道庁の職員のみんなが懸命に日々頑張ってくれている。縁の下の力持ちで、誰にも知られることなく、懸命に道民の命、暮らしを守るために、道の職員が頑張ってくれている。これは、ある意味の美徳というか、そういうところがあると思うんですけれど、でもやっぱり私は知ってほしいと思っています。職員がみんな懸命に頑張ってくれていることをやっぱり知ってほしい。
職員はやっぱり道民にとっても貴重な財産であり、その職員が活躍することが、北海道の発展に間違いなく繋がる。そのときに、その必要性を知っていただく上では、やっぱり我々も、いかに懸命に、道民の暮らし、そして命を守るために、日々懸命に取り組んでいるのか、こういうことを知っていただく、このことはやっぱり大事だと思っています。それは、テレビ、新聞、マスコミの皆様もいろいろ取り上げていただいているんですけれども、我々自身が、やはりしっかり、道民の方々に対して正しい情報を効果的に発信をすることも、今の時代は必要だと思っていますので、この点も、各部局、部長を先頭に、見回していただければ、本当に懸命に頑張っている職員がいっぱいいるということを、毎日感じていると思っています。ですから、そういうことをぜひですね、私ももちろんですが、幹部職員も発信していただけたらありがたいなと思っています。
そして、(令和6年4月の入庁式で)新規採用の職員の皆さんには、地域とともに歩んで、地域のために働いてほしいんだということだったり、新しい発想を大切に挑戦してほしいといったことを申し上げましたけれども、これはやはり、新規職員だけではなくて、何十年働いてきたベテランの皆さんも含めて、時代が本当に急速に変わっていますから、ぜひ新規採用職員と同じ気持ちで、絶えず地域とともに歩み、地域のために働く、新しい発想を大切に挑戦する、ベテランの皆さんがこういうことをしている背中を見れば、若い職員のみんなだって、そうしようというふうに思ってくれるということだと思いますので、ぜひこの点、みんなと一緒にですね、そういう目線を合わせて取り組みたいと思います。
そして、赤れんが(庁舎)も、リニューアルが7月25日で、ちょうど残り200日という区切りの日ということです。この赤れんがのリニューアルにあって、今もそうですが、懸命にこの取組を、大プロジェクトを進めてきてくれた建設部をはじめとして、関係する職員にも、建設に当たっている皆さんにも感謝申し上げたいと思いますが、この赤れんが庁舎もそうなんですけれども、やはり職員の皆さんも心機一転、初心に立ち返って、徹底した現場主義のもとで、培った経験、そして知識を発揮して、北海道のために挑戦しようということを、今年1年のスタートでみんなと確認をしたいと思います。
北海道の総合計画のめざす姿として、北海道の力が日本、世界を変えていくと、そして、誰もが豊かで安心して暮らせる地域づくりを進めていくということで、テーマ設定をみんなで決めました。既にこの歩みは始まっているわけです。道民の皆様の暮らしを守る、豊かな未来を築いていく、そのために、職員の皆さんと議論を積み重ねて、北海道の創生に向けて、今年も皆さんと懸命に歩みを進める、そういう1年にしたいというふうに思いますので、どうか、これからもよろしくお願い申し上げます。
年末年始、結構、通常より休みが長かったですから、そういう意味では少しエンジンがかかるのが遅いと言っている方もいるかもしれませんけれども、もう仕事は今日から始まっていますから、しっかりみんなでですね、今日から一日全力で、仕事に向き合って、素晴らしい1年にしていきたいなというふうに思います。
本年も、皆さんよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。