帯広協会病院
2020.03.31 記事
帯広協会病院の総合診療科は、2016年4月に開設して以来、多くの患者さんを受け入れています。堀責任医長は地域包括ケア病棟の責任者も務め、外来から入院、そして在宅復帰まで見据えた医療を展開し、その過程で、スタッフのチーム意識の向上などの影響がみられています。医事課の大須田良太課長は、総合診療医のそうした役割が病院の経営面でも良い結果につながっているといいます。
断らない医療で救急患者さんが増加
「総合診療科に行けば何とかしてくれる」
医事課は、さまざまなレセプト処理等で医師や事務スタッフと接するほか、支払い関連で患者さんとも接します。堀責任医長が来て以来、「総合診療科に行けばなんとかしてもらえる」「困っている患者さんが減った」という印象が強いといいます。
「認知症患者さんから、紹介状を持ってきた患者さんもしっかりと対応してくれています。なによりも、どのような患者さんでも受け入れていることで、当病院の経営面に大きく貢献しています」。
救急医療では、総合診療医が最初に対応する体制となっており、診療領域に拘ることなく、幅広く受け入れています。その結果、年間の救急搬送受け入れ数は、1,400台から総合診療科開設後は1,700台に増加しました。
話しやすい・聞きやすい
良好な関係作りが信頼につながっている
帯広協会病院では、呼吸器科が無い部分を総合診療医がカバーしています。さらに、他の診療科についても、まず総合診療科で診るケースがあり、それぞれの診療科では診療の専門特化が進みました。その結果、他施設からの紹介増もあって、外来患者数は年間5割増となったほか、入院患者も年間3割近く増え、「病院経営に非常に貢献している」と成果を強調します。
医事課スタッフは、診療報酬の算定を行っており、患者さんのさまざまな情報が必要になります。総合診療医は、何でも聞きやすく、さらに親身になって聞いてくれるので、医事課スタッフにとっても相談しやすいといいます。また、カルテの記入は明瞭完結で、他のスタッフが見てもわかりやすく、いつも多職種との連携を前提に業務を進めてくれていると感じるそうです。
「堀責任医長は、事務スタッフとも飲む機会を作ってくれて、飲みニケーションも上手い。普段から人間関係作りを大切にしているため、一緒に働いていて気持ちがいいです」。
話しやすい、聞きやすいという特徴は、地域の医療機関との連携でも役立っています。帯広協会病院では、消化器内科が最も紹介患者が多いのですが、次いで総合診療科となっています。「コミュニケーション力だけでなく、断らない医療の実践が地域から信頼される要因」と大須田医事課長は分析しています。