利尻島国保中央病院
2021.03.26 記事
利尻町職員の根上光さんは、2015年から利尻島国保中央病院の事務部長を務めています(2021年3月定年退職)。「病院と町の調整役が自分の仕事」と語る根上事務部長に、総合診療医への期待や病院の課題をお聞きしました。(インタビューは2021年1月、オンラインで行われました)
病院と町の調整役を担う事務部長
利尻島国保中央病院を運営する国保組合は、利尻町と利尻富士町で構成されていますが、組合長は利尻町長が務め、管理も利尻町が行っています。町からは事務部長、総務係長、経理担当者の3人が派遣されています。事務部長の仕事は、院長(現在は淺井副院長)が決めた診療方針に基づいて、資金調達を町と協議するなど、主に経営に関する町との調整役だといいます。根上事務部長はこれまで町職員として、交通安全、観光、国民健康保険など、さまざまな分野を担当してきました。病院では、事務部長を含めて通算10年以上勤務しています。
総合診療科は淺井副院長が開設しましたが、淺井医師の赴任前は、内科と外科の外来が分かれていました。「1人の医師が両方診た方がよい」というアドバイスで、現在のかたちになりました。患者さんには受付時に「どの先生にかかりますか」と聞いて、指名された先生に診てもらうようにしました。「その医師がかかりつけ医となって、全てを任せられるのは患者さんにとってもメリットで、島民からの信頼と安心につながっていると実感します」。
島に興味をもってくれる医師の確保が課題
病院の建物は、築35年が経過して老朽化しています。厚生労働省の具体的対応方針の再検証対象病院になっていますが、「改築については将来像を見据え、現場の医師も交えて町と協議しながら進めていかなければなりません」といいます。
離島では医師確保が常に課題です。過去には、管理者が頻繁に交代する時期がありました。「医師に長く定着してもらうためには、医師もプライベートが大事だということを、島民に理解してもらうのが重要だと思います。淺井医師のように、島に興味をもってくれる医師に来てもらうことが理想です。『最北の離島で働いてみませんか』というPRをしていますが、離島で暮らすことや離島医療のメリットについても発信していかなければなりません」。